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普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧


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第二話 平均という名の才能

可能な限り1日1投稿目指してがんばります。

痛い。

身体中が痛い。

というより、自分はまだ生きているのだろうか。


バンジージャンプのロープが切れた。

百メートル近い高さから落下した。

普通なら即死だ。


それなのに意識がある。


俺はゆっくりと目を開いた。

周囲は真っ白だった。

地面も空もない。

果てしなく続く白い空間。


「ここは……?」


『気が付いたか』


突然、頭の中に声が響いた。


振り返ると、一人の女性が立っていた。


銀色の長い髪。

透き通るような白い肌。

青い瞳は夜空のように深い。

その姿は人間離れした美しさだった。


「えっと……誰ですか?」


『神だ』


「神様!?」


即答だった。


『正確には、この世界を管理する神の一柱だ』


「一柱ってことは神様たくさんいるんですか」


『そこから聞くのかお前は』


神様は呆れた顔をした。


だが次の瞬間、その表情は少し真面目になる。


『安本大介。お前は本来死ぬ運命ではなかった』

「え?」

『あの事故は管理世界同士の干渉による不具合だ』

「不具合」

『簡単に言えば神のミスだ』

「神様でもミスするんだ……」

『する』


即答だった。


しかも少し目を逸らしている。

どうやら本当にミスらしい。


『お前は今、肉体の九割以上が破損した状態だ。本来なら魂ごと消滅していてもおかしくない』


俺は思わず顔を引きつらせた。

聞きたくなかった。


『だから補償として別世界への転移を認める』

「転生じゃなくて?」

『身体ごと転移だ。面倒なので治しておいた』

「面倒って言った今?」


神様は聞こえなかったふりをした。


『お前が行く世界はアルスフィア』


神様が指を鳴らす。


空間に巨大な映像が浮かんだ。

剣と魔法の世界。

城壁都市。

巨大なドラゴン。

魔法を放つ冒険者。


まるでゲームのような光景だった。


『レベルが存在する世界だ』

「レベル?」

『魔物を倒せば経験値を得る。一定量に達すればレベルが上がる』

「完全にRPGじゃないですか」

『概ねその認識でよい』


思わずゲーム好きの血が騒いだ。


『だが安心するな。死ねば普通に死ぬ』

「ですよねー」

『そしてお前には補償として加護とスキルを与える』


神様が手を差し出す。


眩い光が集まり始めた。


『まずお前は元の世界にいた頃から特殊な魂を持っていた』

「特殊?」

『平均の魂だ』

「なんか弱そう」

『最後まで聞け』


神様が少しムッとした。


『普通、人間には得意不得意がある。

炎魔法は得意だが水魔法は苦手。剣は扱えるが槍は使えない。

筋力は高いが魔力は低い。それが普通だ。だがお前には偏りがない』

「平均的ですから」

『そうだ』


神様は頷く。


『そして偏りがないということは、全てを受け入れられるということでもある』


光が身体へ流れ込んだ。


頭の中に文字が浮かぶ。


【神授スキル:万能適正】

・全属性魔法適正

・全武器適正

・全防具適正

・スキル習得補正


「えっ」

『炎、水、風、土、光、闇。全て使える』

「マジで?」

『剣も槍も斧も弓も短剣も鞭も扱える』

「マジで?」

『ただし初期性能は全部平均だ』

「ですよね」


思わず肩を落とす。


神様はニヤリと笑った。


『しかし忘れるな』


再び光が輝く。


【神授加護:均衡成長】

・全能力値が均等成長

・成長効率上昇

・成長上限補正


『普通の戦士は筋力だけ伸びる。

普通の魔法使いは魔力だけ伸びる。だがお前は違う。

レベルが上がる度に全てが伸びる。

筋力も、敏捷も、魔力も、精神力も、運も

例外なく全てだ』


息を呑んだ。


ゲームならよくある平均型。


だが現実なら。


全てを使える万能型。


しかも成長し続ける。


『弱い頃は器用貧乏。だが成長し続ければ誰にも真似できない存在になる。


神様は静かに微笑んだ。


『平均とは無能ではない。全ての可能性を持つということだ』


その言葉を聞いた瞬間

初めて、自分の人生が平均だったことを少しだけ誇らしく思えた。


『では行け、安本大介。お前の第二の人生だ』


神様が手を振る。


世界が光に包まれる。


落下する感覚。


眩い閃光。


そして。


目を開くと、そこは見知らぬ森の中だった。


――そのすぐ後ろで、巨大な魔物が目を覚ましたことも知らずに。

次の話より異世界なので表記を大介からダイスケに変えます。

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