表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧
第一章 アルトベルク編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/48

第十七話 初めての人型魔物

レベル5になってから数日。

俺は明らかな変化を感じていた。


ホーンラビット一撃。

マイコニド一撃。

角ネズミ一撃。


以前なら何度も攻撃していた相手が。

今ではほぼ一発で倒せる。


「強くなってるな……」


初めて実感した。

レベルアップの効果だ。


筋力22。

敏捷22。

体力22。


数字だけでは分からなかったが。

実際に戦うと違いは大きい。


「そろそろ次の段階でもいいかもしれないな」


金も欲しい。

魔法も覚えたい。

光と闇はまだ無理だ。

だが水、風、土。


まだ契約していない属性はいくらでもある。

問題は金だった。


◇◇◇



「ミーナさん」

「はい」

「不帰の森の入口付近って入っても大丈夫ですか?」


ミーナは少し考えた。


「入口付近なら大丈夫ですよ」


地図を取り出す。


「フォレストウルフが出るのはこの辺りです」


指差したのは森のかなり奥。


「だいたい森に入って鐘一つ分歩くくらい先ですね」


この世界ではだいたい3時間に1回鐘がなる。

1の鐘がおよそ6時。この世界の住人はこの鐘で目を覚ます。

2の鐘が9時頃でこのあたりの時間はギルドが混んでいる。

3の鐘が昼食時だ。だいたい5の鐘がなる頃にはみんな帰路についている。


「じゃあ入口だけなら?」

「問題ないと思います」


少し間を置いて。


「ただし自己責任ですよ?」


それはもちろんだ。


◇◇◇


翌日俺は不帰の森へ向かった。


森の入口。

転移した日に熊に追われた場所とはかなり離れている。

それでも少し緊張する。


「またレベル80とか出てくるなよ……」


誰にともなく呟く。

ゆっくり森へ入る。

すると数分で変わった草を見つけた。

葉がぐるぐる巻いている。


「なんだこれ」


しゃがみ込む。

図鑑で見たことがあった。


渦巻草は虫よけ薬の材料で買取価格は確か銅貨5枚


「おお」


当たりだ。

見た目はどう見ても蚊〇り線香だった。


「草の蚊取り線香だな……」


思わず呟く。

数本採取する。

今日は幸先がいい。


そう思った時だった。


ガサッ。

物音。

俺は振り向く。


そこにいたのは小柄な人影。


緑色の肌、尖った耳、ボロ布、手には棍棒。


「え?」


初めて見る。

図鑑で見ていない。

だが見た目だけで分かった。


「ゴブリン?」


相手も気付いた。


目が合う。

数秒。

沈黙。


そして。


「ギャッ!」


向こうが叫び、突撃してきた。


「うわっ!」


慌てて棒を構える。


◇◇◇


戦闘は思ったより長引いた。

強くはない。だが今までの相手と違う。


避ける。振る。距離を取る。

考えて動いている。


「人型って面倒だな!」


マイコニドなら突っ込んで終わる。

だがゴブリンは違う。

殴ろうとしてくる。

避けようとする。

駆け引きがある。


数分後。


「せいっ!」


棒が頭に命中。

ゴブリンが倒れた。

動かない。

討伐成功だった。


◇◇◇


問題はその後だった。


「討伐部位ってなんだ?」


考える。

ウサギは角。

マイコニドは傘。


「耳か?」


なんとなくマンガとかでは討伐部位で耳を切り取っていた気がする。

解体の文字が頭をよぎった。


「……」


嫌だった。

すごく嫌だった。

でも金になるかもしれない。

涙目になりながら耳を切り取る。


「うぅ……」


気持ち悪い。

初めての人型の解体。

終わった頃にはぐったりしていた。


◇◇◇


夕方。ギルドへ戻る。


「ゴブリンですか!」


ミーナが少し驚く。


「初討伐ですね」

「はい……」


俺は耳を提出する。

ミーナが確認する。

そして首を傾げた。


「魔石は取っていないのですか?」

「え?」

「魔石です」

「魔石なんてあるんですか!?」


今度はミーナが固まった。


「取ってこなかったんですか?」

「図鑑に書いてなかったので!」


数秒。

沈黙。

そして。


「あー……」


ミーナは額を押さえた。


「ダイスケさん」


嫌な予感がした。


「どの図鑑を読みました?」

「アルトベルク周辺魔物図鑑と初心者向け採取図鑑です」

「それだけですか?」

「はい」


ミーナは天井を見上げた。


「人型魔物図鑑があります」

「え?」

「魔物素材図鑑もあります」

「え?」

「解体資料集もあります」

「え?」


俺は固まった。

図鑑、2冊しか読んでない。


「やらかした……」


ミーナは小さくため息を吐いた。


「明日、図書館ですね」

「はい……」


俺は深く反省した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ