第十六話 初めての攻撃魔法
講習を受け始めてから数日が経った。
剣術。
槍術。
弓術。
そして毎晩の魔法練習。
昼は依頼をこなし、夜は宿でひたすらリトルファイアを使う。
そんな生活が続いていた。
ある日、ホーンラビット討伐依頼の帰りだった。
今日の自己ノルマの最後の一匹を倒した瞬間、視界の端に見慣れた文字が現れる。
【レベルが上昇しました】
「おっ!」
思わず声が出た。
久しぶりのレベルアップだった。
俺は、真っ先にステータスを開く。
【ステータス】
名前:ヤスモトダイスケ
レベル:5
加護:均衡成長
スキル:万能適正、ナイフ術 Lv1、採取 Lv1、解体 Lv1
筋力:22
敏捷:22
体力:22
魔力:22
精神:22
運:22
さらに
【剣術 Lv1】
「おお」
やっぱり講習には意味があったらしい。
さらに。
【槍術 Lv1】
「おっ」
【弓術 Lv1】
「おおっ!」
思わず笑みが浮かぶ。
せっかく受けた講習だ。
無駄になっていなくて嬉しい。
だが。
表示はそれで終わらなかった。
【スキル統合条件を満たしました】
「ん?」
【ナイフ術 Lv1】
【棒術 Lv1】
【剣術 Lv1】
【槍術 Lv1】
【弓術 Lv1】
【スキルの統合を開始します】
「え?」
【ナイフ術 Lv1】消失
【棒術 Lv1】消失
【剣術 Lv1】消失
【槍術 Lv1】消失
【弓術 Lv1】消失
「消えた!?」
【武器扱い Lv1】取得
慌てて確認する。
【武器扱い Lv1】
各種武器系スキルを統合した複合スキル
あらゆる武器の命中補正+5
「おお……」
思わず感心した。
ナイフも。
棒も。
剣も。
槍も。
弓も。
全部まとめて補正が乗るらしい。
なんだか少し得した気分だった。
万能適正らしいスキルだ。
◇◇◇
さらに表示は続く。
【スキル成長】
火魔法 Lv1 → Lv2
「おっ!?」
火魔法まで上がった。
そして。
【魔法習得】ファイア
「きた!」
ついに攻撃魔法である。
リトルファイア卒業だ。
俺は急いで宿の裏へ向かった。
◇◇◇
人気のない場所で右手を前へ出す。
深呼吸。
そして。
「ファイア」
体内の魔力が動く。
胸の奥が熱くなる。
その瞬間。
ぽんっ。
手のひらの上に火の玉が現れた。
野球ボールくらいの大きさだ。
「おおおお!」
思わず声が出る。
今までのリトルファイアとは違う。
ちゃんと魔法っぽい。
めちゃくちゃ魔法っぽい。
「すげぇ……」
俺はしばらく眺めた。
異世界に来て初めての攻撃魔法だ。
少し感動する。
だが。
すぐに疑問が浮かんだ。
「これ、どうやって飛ばすんだ?」
攻撃魔法なのだから飛ばなければ意味がない。
とりあえず。
手のひらを前へ向ける。
飛べ。
念じる。
飛ばない。
「飛べ」
飛ばない。
「飛べ!」
飛ばない。
「飛べぇぇぇ!」
飛ばない。
なんなんだこれ。
しばらく格闘した後。
俺はあることを思いついた。
「投げればいいのでは?」
野球ボールぐらいのサイズだ。
ならば野球ボールみたいに投げればいい。
俺は軽く振りかぶる。
そして。
シュッ。
火球を投げた。
「おっ!」
飛んだ。
ちゃんと飛んだ。
俺は少し感動した。
だがその感動は長く続かなかった。
火球は5mほど飛んだところで…
ぽふっ。
綺麗に消えた。
「……」
消えた。
何事もなかったかのように消えた。
「えぇ……」
思わず空を見上げる。
射程5m。しかも手投げ。
なんとも言えない性能だった。
「これどう使うんだ……?」
しばらく考える。
だが答えは出ない。
火魔法Lv1の時もそうだった。
リトルファイアだってライター程度だったのだ。
ならば今回も同じだろう。
毎晩使ってレベルを上げればいいのだ。
「まあ、地道にやるか」
俺は肩をすくめた。
今夜からはリトルファイアではなくファイアを練習しよう。
きっとそのうち、強くなる。
たぶん。
そう自分に言い聞かせながら、俺はもう一度火球を作り出したのだった。
【ステータス】
名前:ヤスモトダイスケ
種族:人間
年齢:28
レベル:5
加護:均衡成長
スキル:万能適正、採取 Lv1、解体 Lv1、武器扱い Lv1、火魔法 Lv2
筋力:22
敏捷:22
体力:22
魔力:22
精神:22
運:22
魔法:リトルファイア、ファイア




