表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

パールヴァティーとガイア

「マスター、パールヴァティー様のガイアへのDIVEの成功を確認しました

回線を繋ぎます」


私達が居る現実世界の研究室内の100インチモニターに、ガイアに到着したパールヴァティーが映し出された


「ガイアへのDIVE成功おめでとう

聞こえているかな?」


「あ、はい。聞こえています

これから私はどう行動すれば良いですか?」


パールヴァティーは室内を見渡していた

目に映る景色はとてもCG映像による物とは思えないようだ

これは私の所属する会社と協力関係にある企業の、優秀なプログラマー達の努力の結晶だ


「キミがいる場所はガイアの中心地セントラルシティーだ

更にその中枢にある、セントラルタワーの集中管理室に居る

キミの目の前に西洋風な男が居るだろう?

彼はEVEと(ツイ)をなすAdam

その世界の管理責任者だ

Adamの指示の元チュートリアルを消化し、その世界で1時間生活して欲しい

その後、こちらへ呼び戻す」


「分かりました、パールヴァティー指示に従います」


娘のDIVE成功に一安心した表情を浮かべ、シヴァが歩み寄ってきた


「流石は唯人博士だ、このままチュートリアルも無事に終える事を期待するよ」


「とりあえず彼女の降り立ったセントラルシティーには1000人のNPCを配置している

帰った彼女の感想に期待ですな」



セントラルタワー内


「ようこそ、パールヴァティー様

早速ですが目の前のスクリーンをスクロールして、好みの衣装をお選びください

いつまでも全裸では、不快に感じますでしょう

スクリーンの方に手をかざして、左右に振って頂ければ画像はスクロール致します」


パールヴァティーは指示通り、身に付ける衣装を選んでいる


「唯人博士、父から聞いていましたが本当に素晴らしいお方ですね

多くのプログラマーの協力があるとは言え、これ程の物を個人統括で作られるとは…」


「はい、ガイアに住む我々A.I.にとっては彼は神と呼ぶに相応しいお方です」


パールヴァティーは東京タワーに向かう途中の車内から見かけた、日本人女性の着ていた服に近い衣装を選んだ


「お決まりですか?その映像をダブルクリックして頂くと、貴方のアバターデータに反映されます」


次の瞬間、パールヴァティーは今風の服装に身を包んでいた


(これは凄いわ!私の肉体は向こうで全裸のままのはずなのに、普段と同じく服を着ている感覚と全く誤差を感じない)


「今日は初のdiverを迎える日を祝いまして、日本のお盆祭りをセントラルシティーで開催しております

貴方には街を歩き、その世界観を体験していただく迄が、本日のチュートリアルになります

それに際して、貴方にはこの携帯電話をお渡しします

ガイア内の何処から、何処へでも通じる携帯です。今回は私との通話のみになりますね

そして携帯決済が無制限に設定されております

祭りの中のどの店舗でも、それで支払いが可能です

時刻も表示しておりますので、今から1時間後の5分前にはお戻りください」


「至れり尽くせりね、分かりました。行ってきます」


パールヴァティーは祭りで賑わう街の中へ向かって行った

彼女を追う燕が居る

本物の鳥ではなく監視の為のドローンである



東京タワー内


「これで日本政府が掲げるムーンショット目標も、達成に漕ぎ着けたと言えますね」


「今はまだ北海道程度のスペースだが、3年もあれば地球に残る85億の人類を収めるスペースが完成する予定だ

EVE、コーヒーを2つ頼む

私は微糖で」


「では私はブラックでお願いする

博士、私は85億もの人類を救済する予定はしておりませんよ」


2人は出されたコーヒーを飲みながら、モニターに映るパールヴァティーを眺めた


彼女は日本の祭りを年相応の少女の様に楽しんでいる。彼女はガイアを受け入れてくれたようだ


「シヴァさん、娘さんが気になりますか?」


「もちろんだよ、ふふ、親バカと思われるかも知れないが、記念すべき人類の第1歩を是非とも我が娘に歩ませたかった

博士にもお孫さんが居るのは知っていましたが、わがままを通して頂き感謝していますよ」


「私の孫はスポーツ馬鹿と言いますか、電脳スペースとかには全く興味が無いようなのでお気になさらないでください」


シヴァはコーヒーを飲み干すと研究室の外側に向かい、ガラス張りから眼下に拡がる景色を眺めた


「美しいですね、しかし…この世界がもう半世紀も維持できない事を一般市民のほとんどが理解していない

それに、10年後にはポールシフト現象が起きるのも、ほぼ確実との裏付けも出ている

人類は嫌でも別のステージに移行しなければいけない」


「地球は増え過ぎた人類の重みに潰されようとしています

今こそ我々人類が地球に報いなければならない時と言えますね

ところで、先程85億もの収容スペースが要らないと言われた件ですが…」


シヴァは窓の外の景色から私に振り向いた

そして1寸考え言葉を繋げた


「これだけの数が居れば、どうにも救いようの無いクズは少なからず存在します

博士にも理解頂けるでしょう?

それに、メタバースへ移行する時の身体的負荷に耐えられない障害者も居ます

その者達を除けば…私の概算では60億分のスペースが有れば、事は足りると考えます」


シヴァは私の表情を伺う様に覗き込んでいる

私の返答次第では…と、言ったところか


「私は研究者ですので、その辺の判断は貴方達に委ねますよ。私は私の成すべき事に邁進(まいしん)するのみですから…」


「それを聞いて安心しました

あと30分程でしょうか?娘の帰還を待つとしましょう」


私はEVEにコーヒーのオカワリをお願いした

人類は次なる1歩を踏み出したばかりだった



続く


次回は明日の19時の投稿です


それで第1章は終わります


第2章は18日土曜日の予定です


今後もよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ