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番外編 女神補欠の優雅じゃない日常

パソコンのデータを整理してたら見つけたのでupしてみました~。



――何、この広さ!!


城の一番端にある図書館。

そこに私は資料となる本を探しに来ていた。

図書館って言うから本がいっぱいあるってわかってたけど、これ広すぎでしょ。

あまりの広さに、部屋の端にいる人が豆粒ぐらいに見える。


一応辺りを見回してみるが、検索用パソコンなどは見当たらない。

やっぱ魔界にそんな便利グッズなんてないよね。

仕方ない。端から端まで探すか。

そう思って足を進みかけると、「美咲様」と声をかけられてしまった。


この声――


「グレイル」

振り向くと、グレイルが立っていた。

両手に大量の本を抱えている。どうやらその本を返しに来たみたいだ。


「珍しいですね。美咲様が図書館にいらっしゃるなんて」

「うん。本探しに来たんだ。あっ。ねぇ、グレイル。魔力を上げる方法が載っている本ってない?」

グレイルなら良く図書館に行くみたいだし、博識だから何か知っているかもしれない。


「美咲様は魔力を上げたいのですか?」

「私じゃないよ。私、人間だから魔力なんてないもん」

「では、一体誰が……?」

「え?魔王」

ここの最近、魔王の魔力消費率が激しい。

こまめに補充するなら、魔力を上げてしまえばそんな頻繁に補充しなくても済むと思ったのだ。

魔力消費するとすっごく疲れるらしく、見てて痛々しいんだよね。


「美咲様。魔王様の魔王っていうのは、名前ではないですよ?所謂、美咲様の世界で言う職業です」

「どうしたの?急に。知ってるよ。魔王の名前は、ディアスでしょ」

名前で呼んでほしいって言われるけど、ずっと魔王って呼んでたからこっちの方が呼びやすくて、つい魔王って呼んじゃうんだよね。


「わかってはいらっしゃるようですね。では、ちょっとこちらにいらっしゃって下さい」

「?」

私はグレイルの後におとなしく着いて行く。

グレイルが何か呟くと、ふわふわと机の上に何か描かれた紙がのった。

地図?

それは城や城下町などがアバウトに描かれた魔界全体の簡略地図だった。

子供用なのか可愛いイラストで描かれている。


「今、美咲様がいらっしゃるのは、ここです」

グレイルの指先は、城のイラストへと向けられている。

「魔王様が城を中心として、魔界全体に結界を張っておられるのはご存知ですか?」

「うん」

それは前に聞いたことがある。

もしもの時のために、念のために結界を張っているって言ってた。


「他にも城下及び禁忌の森など数十か所に部分結界を張っておられます」

「へ~。そうなんだ。だから、魔力の消費激しいんだね」

「美咲様。その上、魔王様は魔界と人間界の門も封印していらっしゃるんですよ?」

それはもちろん知ってる。


「ごめん、グレイル。何が言いたいのか、よくわかんない」

「つまりこれだけの結界を張ると言う事は、かなり魔力を消耗する事なんですよ。魔王様はそれを維持しておられます」

「うん、知ってる。だから魔王ってばいつもへとへとになるから、私が呼ばれるんだもん」

そのたびに私が呼ばれて、魔力補充される。

だから魔力があがればそんなに疲れずに済むかと思って、今回その方法を探しに図書館に来たのだ。


「魔族は魔力を持っているので、誰でも結界は張れます。ですが、こんな魔界全体を覆うような大規模なものは張れません。その上、数十か所小規模結界に封印なんて……これは魔王様だから、出来る事なんです」

「ごめん。本当に何が言いたいのかわからない」

「――つまり、それが出来るあの人の魔力は底がないんですよ。だから、『魔王様』なんです。こんな事ぐらいで魔力消耗して弱ると言う事はありません。現に、美咲様に魔法をかけられその上結界をはるぐらいの余裕を持っているぐらいです」

……え。私、魔法掛けられている上に、結界張られてるの?

全然聞いてないんだけど。


――って、今はそれどころじゃない~~っ!!


「じゃあ、何?あれ全部演技だったの!?」

思いっきりグレイルの胸倉を掴んで揺さぶり問い詰める。

いつも呼ばれるたび、疲れ切った魔王を見て胸を痛めてたのに!!

あの魔王、実は無害な顔して腹黒なのか!?


「落ち着いて下さい。第一、どうやって美咲様が魔力の回復なさるんですか?仮に魔力を消費したとしても寝れば回復しますよ?」

「は?寝れば回復するの?キスすれば回復するんじゃなくて?だってそう魔王が……」

話がおかしいんだけど。

魔王の話では、魔力というのは気の一種だから元気な人に分けて貰うと回復するって話だった。

そのため、キスして分けて貰わなければならないって。


「あの嘘つき魔王め~~~っ!!」

「お、落ち着いて下さい。魔王様だって悪気があったわけではないかと。これもひとえに美咲様からキスして頂きたいと思われての行動です。ほら、美咲様から魔王様にキスするのってあまりないじゃないですか。いつも何でも魔王様からですし」

「だって前から恋愛に対して受け身みたいな感じだったんだもん。だから自分からキスとかした事あんまりないから、どうしていいかよくわから……――って、なんでグレイルがそんな事知ってんのよ!?」

おい、ちょっと待て。

なぜ私と魔王の恋愛事情について知ってるんだ!?

もしかして魔界はなんでもオープンなのか?


ハズイ。ハズすぎる。なんだ、この公開処刑は。

まるで、母親か誰か身内に恋愛事情を知られている気分だ。


「魔王?魔王がしゃべってるの?」

「え、あ。……まぁ、いいじゃないですか。ちょっと零すぐらい」

「良いわけないでしょうがっ!!」

「お待ちください、美咲様」

私は泣きすがりつくグレイルの制止を聞かず、執務室へと走った。

どんだけデリカシーが無いんだよ、あいつは。







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