040 王国宇宙軍第21艦隊の戦場跡
【B-17宙域 敵領有宙域】
第1特務艦隊は、総旗艦ランサーズから「敵艦隊を捕捉、約30時間後に戦端が開かれる。」との連絡を受け戦闘予定宙域から離れる為、動き出した。
その後、総旗艦から開戦の連絡を受け、戦場予定地や敵艦隊の予測進撃航路から、約250宇宙マイル程離れたポイントから敵領有宙域へ侵入を開始した。
「『あまつかぜ』、第102戦隊を陣形フォーメーションC(正面から見て、円を描くように等間隔で艦を並べる)で先行、第101戦隊と救難艦は陣形フォーメーションA(2列縦隊)にて続航する。 敵発見時の迂回行動は全て任せる。 報告は事後でいいので回避に全力で対応してくれ。」
「了解しました。ロア司令」
ロアは、『あまつかぜ』に指示を出した後、艦橋に居たオペレーター達と共に艦内中央区画の戦闘指揮所に移った。
侵入を始めて10日、第1特務艦隊は順調に敵を躱しながら第21艦隊の戦場跡にたどり着く。
「さて、無事此処まで来ることが出来たな。 第102戦隊は外周警戒、救難艦は脱出ポットを重点的に捜索するように。」 ロアが指示を出しながら、「そろそろ艦隊戦の方も終わる頃だ。 そうなれば、敵の目も周りに向けられるだろう。 あまり時間は掛けられないだろうな・・・」
「そうですね。 それでも我々は此処までこれましたし、今回がだめでも又来ればいいのです。 普通の艦なら1ヶ月は掛かる距離をたった10日で来たのですから。」
「確かにそうだな、今回で終わりにする必要は無いな・・・」 少しだけロアの気持ちが軽くなる。
捜索開始から29時間、遂にその時が・・・
「ロア司令、第102戦隊『キンバリー』が敵影を捉えました。 後、2時間程で此方を捕捉すると思われます。」
「後退するぞ。 捜索救助活動を中止、直ちに撤収せよ。」 ロアがそう言うが、
「救難艦『試-2B』より、現在脱出ポットを収容すべく作業を実施中。 残骸が多く、所要時間1時間を見込むとの事です。」
「了解した。 作業終了を待って後退する。」
すると『あまつかぜ』が、「ロア司令、今加速を開始すれば敵に捕まることなく後退出来ますが。 1時間後に加速を開始した場合、速力が足りません。 敵艦の進路速力から約3時間後には敵の索敵圏内に入ります。」
「そうか・・・ それでも作業終了を待つ。 帰りは少々荒っぽくなるな。」
40分後・・・
「『試-2B』より、脱出ポットを収容したとの事です。」
「よし、直ちに後退開始『あまつかぜ』の指示に従え。 予定時間を20分も縮めた『試-2B』の乗員には良くやったと伝えてくれ。」 ロアがそう言うと、第1特務艦隊が動き出した。 今回、267名の遺体回収と、9名のコールドスリープ状態の生存者を救助出来た。
敵に先回りされることもしばしば、その都度『あまつかぜ』が敵艦隊を躱し、現場を出発してから約2週間、敵の領有宙域の外れに来ていた。
今も敵艦隊に追われているが、敵勢力圏外に出れば敵は引き返していくはずなので、艦内に安堵した空気が流れる。
しかし、予想外の事態が・・・ 敵艦隊が勢力圏を出ても追ってくる。
「不味いな・・・ このまま敵をゲートや地球に近づけるわけにはいかない。 進路を変えゲートから離れる方向に敵艦隊を引っ張て行く。」
ロアは、オペレーターを見渡し「諸君たちは、5番艦『はたかぜ』に移乗、救難艦を連れて地球に戻れ。 4番艦と6番艦も護衛に連れて行け。 無いよりはましだろう。」
「何を言っているんですか、我々も残ります!」 指揮室が騒然とするが、「艦に積んである食料は有限だ。 7名分を私1人で使えば、それだけ長く敵を引き付けられるだろう。 出来るだけ遠くに引っ張っていきたいのだ。 諸君は救難艦から食料を分けてもらってくれ。」
「それなら私が・・・」「指揮官命令だ。 直ちに実行せよ。」 何も言わせずロアが命令する。
「つっ・・・ ・・・了解しました。」
5番艦『はたかぜ』への移乗が始まった。




