第四十話(中編):スローライフを諦めて、北の難所に踏み出した件
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南の村での「芋と温泉」という最高のスローライフ(?)を後ろ髪引かれる思いで後にした桃太郎一行。しかし、一歩北へと足を踏み入れれば、そこは穏やかな陽光が届かない険しい山道でした。
計算と効率を重んじる桃太郎、勇気と食欲で突き進む白雪、そして全てを見透かしたようなマギ・オババ。凸凹な三人の珍道中ですが、次第に森の空気は不穏な静寂に包まれていきます。
「戦って勝てない相手」の影がちらつく中、彼らがたどり着く先にあるものとは――。
山道は思ったより険しかった。南の村の穏やかさとは打って変わって、木々の間を吹き抜ける風はひんやりと冷たく、時折、枯れ枝が足元でカサリと音を立てる。
「……やっぱり北に向かうのは大変だな」
桃太郎は足を止め、背中の剣ではなく、懐に残った芋を握りしめた。温泉のあたたかさが、まるで夢のようだ。
「でも、行かないとおじいちゃんに会えないのだ!」
白雪は軽やかに前を歩きながら振り返る。瞳には使命感が宿っている。
「いやいや、俺の計算では……いや、やめとこう」
桃太郎は頭を掻きながら、小石を蹴る。演算脳は「ここからは芋と温泉では生き残れない」と忠告している。
「計算とかいいのだ! 勇気と行動こそが大事なのだ!」
白雪の声は、昨日の無邪気な笑顔とは違う、強い意志に染まっている。
桃太郎は小さくため息をつく。
「勇気ねぇ……芋を失う勇気なら分かるが」
二人の後ろを、マギ・オババが杖をつきながら歩く。
「まあまあ、若い二人は口より足が先に動くもんだよ」
肩越しに笑いながら、オババは道の様子を確認する。
「オババ、道中の食料とか大丈夫なのだ?」
白雪が少し不安そうに訊く。
「何も心配いらん。芋は最後まで持つ……かもしれんけど、行く先次第だね」
オババは杖を地面に突き、にやりと笑った。
「……芋が最後まで持つわけないだろ」
桃太郎は顔をしかめながら、足元を見つめる。
山道を進む三人の足取りは、次第に慎重になった。森の奥から、風が強く吹き抜けるたびに、枝葉がザワザワとざわめき、落ち葉や小石が足元に転がる。
「……この道、本当に正しいのか?」
桃太郎は小さな沢を越えたあとも、つい演算脳が不安を訴えてしまう。
「大丈夫なのだ! 先に進めば道は必ずつながっているのだ!」
白雪は元気に前を指さす。視線の先には、わずかに開けた丘の稜線が見える。
「ふぅ……でも、こんな道、芋や温泉があったらもう最高なのに」
桃太郎はため息交じりに言い、ポケットの芋を軽く握る。
そのとき――カサリ、カサリ、と森の奥で音がした。小動物かと思いきや、葉や枝が不自然に揺れている。
「……誰かいるのか?」
桃太郎は剣を手に取り、警戒する。
「落ち着くのだ! まずは様子を見るのだ!」
白雪は杖を軽く握り、慎重に歩を進める。
だが、次の瞬間、雪混じりの小石が崖の上から転がり落ちてきた。桃太郎はとっさに横に飛び、白雪も身をかがめてかわす。
「うわっ、危なっ!」
二人が息を呑む間もなく、マギ・オババは冷静に杖を地面に突き、周囲を見渡す。
「……ここは斜面が崩れやすいな。気をつけるのだ」
オババの声には余裕があるが、その目は険しい。
「なるほど……自然の脅威ってやつか」
桃太郎は小さく呟き、慎重に足を置きながら前へ進む。
「でも、ちょっとワクワクするのだ!」
白雪は小さく飛び跳ねながら、緊張を楽しむかのようだ。
「……ワクワクって言える余裕は俺にはないぞ」
桃太郎は思わず苦笑し、背中の剣を握り直した。
その先には、谷間を渡る細い木橋が見えた。木は古く、所々にひび割れがある。雪解け水で濡れた橋は滑りやすく、慎重に渡らなければならない。
「ここが……次の難関か」
桃太郎は深く息を吸い、橋の端に足をかける。
白雪は手を伸ばし、桃太郎の肩を軽く押す。
「一緒に行くのだ!」
「……はいはい、行くしかないな」
桃太郎は渋々頷き、慎重に橋を渡る。
マギ・オババは杖をつきながら、笑みを浮かべつつ二人の後を追った。
「よし、これで少しは体も温まっただろう。北はまだまだ先だが、焦らず行くのだ」
三人は凍てつく風と小さな自然の脅威を乗り越え、北へ続く山道を進む――未知の領域が、少しずつ彼らを試すように迫っていた。
山道を進む三人の足取りは、次第に慎重になった。森の奥から、風が強く吹き抜けるたびに、枝葉がザワザワとざわめき、落ち葉や小石が足元に転がる。
「……この道、本当に正しいのか?」
桃太郎は小さな沢を越えたあとも、つい演算脳が不安を訴えてしまう。
「大丈夫なのだ! 先に進めば道は必ずつながっているのだ!」
白雪は元気に前を指さす。視線の先には、わずかに開けた丘の稜線が見える。
「ふぅ……でも、こんな道、芋や温泉があったらもう最高なのに」
桃太郎はため息交じりに言い、ポケットの芋を軽く握る。
そのとき――カサリ、カサリ、と森の奥で音がした。小動物かと思いきや、葉や枝が不自然に揺れている。
「……誰かいるのか?」
桃太郎は剣を手に取り、警戒する。
「落ち着くのだ! まずは様子を見るのだ!」
白雪は杖を軽く握り、慎重に歩を進める。
だが、次の瞬間、雪混じりの小石が崖の上から転がり落ちてきた。桃太郎はとっさに横に飛び、白雪も身をかがめてかわす。
「うわっ、危なっ!」
二人が息を呑む間もなく、マギ・オババは冷静に杖を地面に突き、周囲を見渡す。
「……ここは斜面が崩れやすいな。気をつけるのだ」
オババの声には余裕があるが、その目は険しい。
「なるほど……自然の脅威ってやつか」
桃太郎は小さく呟き、慎重に足を置きながら前へ進む。
「でも、ちょっとワクワクするのだ!」
白雪は小さく飛び跳ねながら、緊張を楽しむかのようだ。
「……ワクワクって言える余裕は俺にはないぞ」
桃太郎は思わず苦笑し、背中の剣を握り直した。
その先には、谷間を渡る細い木橋が見えた。木は古く、所々にひび割れがある。雪解け水で濡れた橋は滑りやすく、慎重に渡らなければならない。
「ここが……次の難関か」
桃太郎は深く息を吸い、橋の端に足をかける。
白雪は手を伸ばし、桃太郎の肩を軽く押す。
「一緒に行くのだ!」
「……はいはい、行くしかないな」
桃太郎は渋々頷き、慎重に橋を渡る。
マギ・オババは杖をつきながら、笑みを浮かべつつ二人の後を追った。
「よし、これで少しは体も温まっただろう。北はまだまだ先だが、焦らず行くのだ」
三人は自然の脅威を乗り越え、北へ続く山道を進む――未知の領域が、少しずつ彼らを試すように迫っていた。
細い木橋を渡りきった三人は、しばらく無言で歩き続けた。
先ほどまでの沢の音も遠ざかり、森は妙に静まり返っている。
「……静かすぎないか?」
桃太郎がぽつりと呟いた。
桃太郎の言葉に、白雪も立ち止まり、周囲を見渡す。木々の間に差し込む光はわずかで、森の奥は影に覆われている。風が頬を撫で、葉のざわめきも途絶えたままだ。
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北への道は、思っていた以上に過酷な様子。桃太郎の懐にある「芋」が尽きるのが先か、それとも目的地にたどり着くのが先か……。そして、この不自然なほどの静寂が意味するものとは?
次話、この森の正体が少しずつ明らかになります。
引き続き、桃太郎たちの旅を見守っていただければ幸いです!
次回の更新もお楽しみに!




