表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/74

第三十六話(後編):石盤に導かれて雪山に落ちたら、狼の巣だった件

いつもブックマークや高評価、本当にありがとうございます!


第三十六話の後編になります。

前編の続き、雪狼の群れとの戦いから物語は始まります。


三人はこの危機を乗り越えられるのか――

よければ最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです!

洞窟の奥から雪狼たちの低い唸りが響き、三人の背筋を凍らせた。


しかし今は、カリンとリミバァの魔法の連携だけで生き延びるしかないのだった。


雪狼たちは低く唸り、岩を爪で削りながらじりじりと迫る。

狭い洞窟内、逃げ場はほとんどない。

セレナの心臓は跳ね、震えが止まらない。


「カリン、任せた!」


セレナが後ろに下がると、カリンは魔法の炎を指先に宿し、雪狼の進路を遮る。


リミバァは杖を軽く振り、氷結結界を展開。通路を狭め、雪狼の群れの動きを封じる。


雪狼が一斉に襲いかかる。


カリンは炎を連続で放ち、体当たりしてくる雪狼を次々に押し返す。


リミバァは援護魔法で通路を氷の壁で塞ぎ、群れの進撃を分断する。


だが数は多い――二匹、三匹……あっという間に七匹。


セレナの背中に汗が伝う。

「……こんなに……!」


雪狼の牙と爪が岩に打ち付けられ、氷結結界にぶつかって粉々になる。


カリンの炎がさらに鋭くなり、倒した雪狼の数が少しずつ増えていく。

リミバァは冷静に、次に来る雪狼を予測して結界を動かす。



0秒〜5秒:衝撃の初撃

1匹の雪狼が、低く唸りながら前足を岩にかけて跳ぶ。


「避けてっ!」


セレナはとっさに体をひねり、喉元を狙った牙を紙一重でかわす。


カリンが杖を振り、炎の斬撃を放つ。狼はひるむが、その背後の闇でさらに巨大な影が動く。


6秒〜15秒:包囲と亀裂


2匹目、3匹目が奥から飛び出す。


狭い洞窟、横からも前からも同時に銀色の牙が迫る。


セレナは身を低くし、岩壁を滑るように移動するが、足元の氷が「パキッ」と裂け、バランスを崩しかける。


カリンが一体を炎で吹き飛ばす。


「セレナ、止まらないで!」


リミバァが杖を振り、氷の刃で通路を狭める。狼が跳ね返されるが、別の狼が仲間を呼ぶように吠えた。


16秒〜30秒:闇の増殖と負傷


奥の闇から次々と、光る青い瞳が増えていく。


2匹目の狼がセレナを狙って飛びかかる。


カリンが反応し、セレナを横に押し退けるが、狭い通路で逃げ場がない。


狼の爪がセレナの肩をかすめ、砕けた氷の破片が肌を叩く。


リミバァが結界を展開し、なんとか通路の半分を塞ぎ止めた。


「くっ……本気で行くわよ!」


31秒〜45秒:立体の蹂躙と絶望


狼たちは岩を蹴り、壁や天井を使って斜め上からも襲いかかる。


セレナは完全に無力。飛び交う爪を避けるだけで心臓が破裂しそうだ。


カリンは防御と攻撃を交互に繰り出し、リミバァは全力で氷の結界を維持する。


暗闇から光る無数の瞳を見つめ、セレナは初めて、自分の無力さを痛感する。


(……杖があれば……私が、戦えれば……!)


46秒〜60秒:薄氷の静寂


カリンとリミバァの連携で、何とか数匹を撃退する。

しかし群れはまだ残り、洞窟の奥で執拗な唸り声が響き続けている。


三人とも息が荒く、傷と冷えで体力を削られる。洞窟の空気は魔物の緊張感で張りつめたままだ。


リミバァが息を整えながら呟く。


「……この先も進むなら、杖は絶対必要よ」


セレナは奥の闇を見つめる。


「……行くしかないわね」


リミバァが氷の結界を張り、外の吹雪と奥の狼を完全にシャットアウトする。


カリンが魔法で小さな火を灯すと、三人の肩から力が抜けた。


「……死ぬかと思ったわ。もう、生きた心地がしない……」


カリンが震える手でセレナの肩を介抱していると、おばあちゃんはひょいと雪狼の死体へ歩み寄った。


「よし、ちょうどいい肉だねぇ」


「……え、おばあちゃん?」


セレナが目を見開く。


おばあちゃんは指先をパキパキと動かし、薄く鋭利な氷の断片で手際よく肉を切り出す。


「ちょっと! おばあちゃん、それ食べる気!?」


「何言ってるんだい、カリン。新鮮な魔力の塊だよ。焼けば香ばしくて最高さ!」


岩塩を手に取ろうとした瞬間、おばあちゃんがセレナの頭を指さす。


「セレナ、お前さんの頭の上、それ岩塩だね。丁度いい、とっておくれ」


セレナはびっくりしつつ、頭の上の岩塩を慎重に手に取る。


「えっ、私が……?」


「そうそう、手際よくね!」おばあちゃんはニカッと笑う。


カリンが炎で豪快に肉を炙る。


ジューッと脂がはぜる音と香ばしい匂いが洞窟に広がる。


セレナは思わず鼻をすする。


「……あんなに怖かったのに、美味しそうなのが悔しいわ……」


「さあ、お食べ! 400年前も、こうして生き延びてきたんだ。泣き言を言う前に、まずは胃袋を黙らせるのさ!」


カリンもつられて笑いながら肉にかぶりつく。

「……いただきます!」

三人で顔を見合わせ、緊張の余韻を笑いと食事で溶かした。


火の小さな明かりが洞窟の壁を揺らし、三人の影がゆらゆら揺れる。


セレナはまだ息を整えながら、焼きたての肉を小さくかじる。


「……生きてるって、こういう瞬間もあるのね……」


カリンは笑いながらうなずく。

「こういう時こそ力を溜めておかないとね」


おばあちゃんは火のそばでゆっくりと肉をほおばり、目を細める。


「怖い思いをした後は、こうして温かさを感じるのが大事さ。四百年前もそうして生き延びたんだ」


リミバァは杖を肩に担ぎ直し、洞窟奥の青白く光る魔法石を見つめる。


「この洞窟、少しは落ち着けるけど、奥にはまだ魔法石や危険が残っている。油断はできないわね」


外の猛吹雪と奥の群れの唸りは遠くで反響しているが、火の周りだけはどこよりも暖かかった。


三人はしばし無言で火を見つめ、戦いの緊張とコミカルなやり取りの余韻を味わう。


セレナは小さく息を吐き、目を閉じて火のぬくもりを感じる。


(……杖さえあれば、次は私も戦えるのかな……)

希望と覚悟が胸に芽生え、次の冒険への決意が静かに心を満たす。


カリンは横で炎を揺らしながら、少し笑う。

「こういう時こそ力を溜めておかないとね」


リミバァは杖を肩に担ぎ直し、洞窟奥に青白く光る魔法石を見つめる。

「まだ油断はできないわ。奥には魔法石や材料が残っている。行くなら準備を整えてからね」


三人は静かに火を囲み、戦いの余韻とほのかな希望を胸に刻んだ。

雪山の過酷さは変わらないが、杖を手にするその日まで、ここで力をためる――それだけが、生き抜く道だった。


外の吹雪と群れの唸りは遠くで響き、火の周りだけは温かい。

小さな火の揺らめきの中、三人はそれぞれの覚悟を胸に、次の一歩を思い描くのだった。


「──その頃。」

桃太郎達は、未知の危険に巻き込まれようとしていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


雪狼の群れとの戦い、そして洞窟でのひととき……三人にとってはかなり危険な状況でしたが、なんとか一息つくことができました。

ただ、この雪山や森にはまだまだ危険が潜んでいます。そしてセレナにとっては「杖」がやはり大きな問題になりそうです。


この先、三人は杖の材料を見つけることができるのか。

そして森の奥には何が待っているのか――物語はまだまだ続きます。


いつもブックマークや評価、感想など本当にありがとうございます。

とても励みになっています!


よろしければ、これからも三人の旅を見守っていただけたら嬉しいです。

次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ