第三十六話(前編):石盤に導かれて雪山に落ちたら、狼の巣だった件
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今回は第三十六話の前編になります。
石盤に導かれて飛ばされた先は、まさかの雪山。そして辿り着いた洞窟には……。
まずは前編、楽しんでいただけたら嬉しいです!
上下も感覚も消え、三人は石盤の導きによって世界から弾き出された。
衝撃。肺が凍るほどの冷気が体中を刺す。
目を開けると、そこは無慈悲な白銀の世界。雪は膝まで積もり、吹きつける風が肌を裂くように冷たい。
「カリン、セレナ……! 怪我はないかい、二人とも!」
おばあちゃんが雪の中から駆け寄り、二人を抱き寄せるように声を張る。
「……っ、おばあちゃん……ここ、どこなのよ……」
カリンは震える手でおばあちゃんにしがみつく。雪の礫が顔を打ち、体温を奪っていく。
セレナはガチガチと鳴る歯を止められず、おばあちゃんの胸元に顔を埋める。
「大丈夫、大丈夫だよ。意識をしっかり持つんだ。私たちがついているからね」
おばあちゃんは凍えた二人の手を、自分の手で懸命にさすり続ける。
雪に埋もれた足元を見る。膝まで沈む雪、踏み外せば谷に滑り落ちる危険。
「……待っておくれ。ここ、見覚えがある」
おばあちゃんが白銀の闇をじっと見つめる。
四百年前、かつてこの山で暮らしていた頃の記憶が蘇る。
「あるはずだよ。昔、私が住んでいた洞窟が。あそこなら、温まれる」
指先で岩壁の切れ目を示す。雪と氷の間に、かすかに暗い影が揺れている。
「ここだぁ、ここだよ!」
三人は慎重に雪山を進む。風が吹き荒れ、岩にぶつかる雪の音が洞窟内に反響する
洞窟に入ると、外の吹雪に比べれば少しだけ空気が落ち着き、雪の礫も届かなくなる。
「……やっと、少し暖まれるわね」
セレナが震える肩を抱き寄せる。
壁に目をやると、暗い岩の隙間で、かすかに青白く光る石がちらちらと揺れていた。
魔法石――もしかしたら杖の材料になるかもしれない。
カリンの目が、一瞬、希望に輝く。
「……ここに、材料があるかも!」
その声に、セレナの胸にも小さな期待が湧く。
絶望の雪山の中で、わずかに見つけた光。それは、生き抜くための希望だった。
だがリミバァの顔には、わずかに影が落ちる。
「……なんだか、嫌な気配がするわね」
洞窟の空気の張りつめ方、岩のひび割れ、雪の降り方……昔とは違う何かが、彼女の勘をざわつかせていた。
洞窟の奥、薄暗い空間に三人が足を踏み入れる。
壁に反射する魔法石の光が、かすかに三人の影を揺らす。
セレナは息を切らせながら岩を蹴り、壁に沿って進む。
「……懐かしいわね」
リミバァの声が低く響く。
「四百年前、ここに住んでいたの。安全なはずだったのに……おかしいわね」
その瞬間、洞窟の奥で 石が転がる音 がする。
セレナが目を見開く。
「今の……?」
カリンが杖をかざし、炎を灯す。
岩陰に、青く光る目が1つ見えた。
リミバァが杖を肩に担ぎ、見据える。
掠れた声で呟く
「雪狼だ。」
低く唸り声をあげた。
「セレナ、下がって!」
リミバァが杖を肩に担ぎ、動きを慎重に見極める。
セレナはただ震え、後ろに退くしかない。杖も魔法もほとんど使えない。
「任せて!」
カリンの手から炎がほのかに揺らめく。魔法だけで雪狼の進撃を押さえる。
リミバァは氷結結界を瞬時に作り、通路を狭めて雪狼の動きを制する。
雪狼は身を低く構え、爪で岩を削りながらじりじりと近づく。
カリンは炎の魔法を集中させ、雪狼を押し返す。
リミバァの氷結結界で通路は狭くなり、雪狼は体勢を崩す。
「今だ!」
カリンの炎の魔法が雪狼を包み、吠え声とともに後退させる。
雪狼はついに倒れ込んだ。
セレナは胸を撫で下ろす。
「ふぅ……倒したのね……」
だが洞窟の奥はまだ暗い。
雪狼の体から離れたその場所で、さらに**青い瞳がふたつ、またふたつ……**闇の奥に光った。
群れだ――1匹倒しただけで安心はできない。
セレナの胸は高鳴る。
「……次、来る……!」
リミバァが杖を握り直し、冷静に目を光らせる。
「油断しない。ここからが本番よ」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
雪山、洞窟、そして雪狼の群れ……と、今回はかなり危険な状況になってしまいました。
この先、三人はどうやって切り抜けるのか。そして杖の材料は見つかるのか。
続きは後編になります!
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