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第二十七話:転生少女に日本語で話しかけられて焦りまくった件

皆さん、いつも応援ありがとうございます!

今回の話では、桃太郎がまたしても日常のハプニングに振り回されます。

隠居希望のはずが、白雪ちゃんや子どもたちの天然パワーに翻弄される様子をお楽しみください。


前回までの展開を踏まえつつ、今回は特に「桃太郎の焦り」と「白雪ちゃんの無邪気さ」が際立つ章になっています。


 霧が木々の間で揺れ、森は静かに二人を包む。


 まだ何も知らない少女と、焦る桃太郎――


 そして、裏世界の気配は、静かに森の奥から二人を見つめているのだった。


「おはよう、桃太郎…」


 少女はまだ眠そうに目をこすりながら、かすかに微笑む。


『えっ…!?今の日本語だよな…?』


 桃太郎の心臓が跳ねる。


『おいおい、こいつ転生してるのか…!?いや、ちょい待て…確か俺、石盤の前で召喚したんだよな…!?』


「うん…10年になるよ」


 肩をすくめ、眠気混じりに答える少女。その無垢な表情に、桃太郎は思わず目を逸らす。


『ああ…これはまずい…絶対バレたくない…!』


 桃太郎は後ろに一歩下がり、杖に手を置きながら焦る。


「私の名前は…白雪」


 その瞬間、全身に冷や汗が走る。


『名前も知ってるやつだ…!いや、俺、隠居希望なんだぞ…!』


──階下から、朝食の準備をするリミバアの声と鍋の音が響く。


 桃太郎の心臓はさらに早鐘を打つ。


『くっ…リミバアに俺が転生者だってバレたら、全て詰む…!』


 白雪は無邪気に笑い、桃太郎を見上げる。


「桃太郎、何かびっくりしてます?」


『いやいやいやいやいや、何でもないっ!俺は何も…!』


 桃太郎は全力で内心を隠そうとする。


 天然白雪の無垢な瞳が、フラグど真ん中感をさらに強調する。


 リミバアはまだ気付かず、階下で鍋をかき混ぜる音だけが響く。


 桃太郎の焦りは、朝の静けさの中でひときわ大きく膨らむのだった。


 朝ご飯が並ぶテーブル。白雪は無邪気に手を伸ばし、食べ物に触れながら言った。


「これ、どうやって食べるの……?」


 桃太郎は慌てて手を添え、小声で耳打ちする。


「実はさ……俺、転生者なんだ。だから、このことは絶対に内緒にしてくれ」


 白雪は目を丸くしたが、すぐに無邪気に頷いた。


「わかった、秘密だね!」


 白雪はそのままパンを頬張り、リミバアが背を向けた隙に、もう一度だけ日本語で小さく囁いた。


「かずともくん…秘密?、うん…守るの…かな?」


 桃太郎の背筋に、今までで一番激しい戦慄が走る。

(……な、なんで……なんで俺の名前を……!?)


 リミバアがパンパンと手を叩き、出発を促した。


「さてお仕事行くよ二人共したくしておくれ。今日から白雪ちゃんもフェアリーキープの一員ね!」


 すでに靴を履き、リミバアの隣で待機していた桃太郎は、


「今日も託児所か。……ククッ、計算通り。このまま『平和』という名の合格通知を、最短ルートで掴み取ってやる……!」


 自らの完璧なスケジュールに陶酔しながら、二階に向かって声を張り上げた。


「白雪ちゃん、早く!」


 その呼びかけに応じるように、階段を降りてくる音がした。


 だが、姿を現した白雪は、桃太郎の想像を絶する姿をしていた。


 引き締まった装いに、その手には一振りの刀。


「待たせたね、桃太郎! ボク、準備できたよ!」


「……は? ちょ、ちょっと待て! なんで刀!?」


 桃太郎は混乱し、裏返った声を出す。


「今日はお仕事と、フェアリーキープだぞ!? 刀なんて必要ないだろ!」


 そんな桃太郎の動揺をよそに、白雪はけろりとした顔で言い放った。


「あれ? お仕事行くと言えば魔物退治でしょう?」


「……はぁっ!?」


 絶句する桃太郎に、白雪は当然の常識を教えるように言葉を重ねる。


「私が住んでた……こっちから見れば……裏のグリモワールドでは、あたりまえよ!」


 そのまま、有無を言わさず連行された仕事場。

 フェアリーキープでは、子供たちが不安そうな顔で待っていた。


「大丈夫かな…?」


「昨日は倒れちゃったんだもんね…」


 小さな声で心配しながら、みんなはあたりを見回す。


 そのとき、元気な声が響いた。


「おはようございます! ボク、準備できたのだ!」


 子供たちは一斉に目を輝かせ、ほっと息をつく。


「よかった…元気そう!」


「うん, 大丈夫みたいだね!」


 桃太郎は肩で息をつき、冷や汗をかく。


(……いや、ホッとしていいのか? いやいや、俺は何をやってるんだ…!?)


 少女は手を大きく振り、にこりと笑ってみんなを誘う。


「さあ、今日も体操するのだ!」


 子供たちは嬉しそうに輪を作り、カリンも渋々手を挙げる。


「じゃあ、私も…桃太郎体操、やってみようかな」


 桃太郎は緊張で肩をすくめる。


(え、俺までやるのか…でも断れない…)


 輪の中心で少女が手本を見せる。片手で剣を支えつつ、軽やかにステップを踏む。


「ここはこう動くのだ!」


 桃太郎は必死に真似するが、手足が絡まり転びそうになる。


「うわっ、うまく…できない…!」


 少女は子供たちに笑顔を向けつつ、ちょっと高度な技を披露。片手で剣を支えながらの宙返りステップに、みんなは目を丸くする。


「わあ…すごいのだ!」


 桃太郎は内心解析モードに入る。


(よし…動きの軌道、重心、腕と足のタイミング…理解した!)


 次の瞬間、彼の動きはぐっと安定し、手本をなぞるようにスムーズになった。


 少女は目を丸くして褒める。


「すごいのだ、桃太郎!」


 桃太郎は得意げに笑い、心の中でドヤ顔。


(解析力、やっぱり最強だ…!)


 そこへ、カリンがにこりと笑って、とんでもないことを口にする。


「強くなると、魔物退治に行ってこいって言われるかもよ!」


 桃太郎の顔が一瞬で青ざめる。


(……強くなった? イヤイヤ、俺はなの……! え、待て…俺、なんで体操してるんだ!?)


 子供たちは無邪気に手を振り、笑顔を向ける。


 カリンも微笑みながら頷く。


「桃太郎くん、センスあるよ!」


 白雪は最後に腕をぐっと伸ばし、難しい回転技を見せる。


 桃太郎は本気で解析し、体を正確に動かす。動きが決まった瞬間、胸の奥で熱い達成感が弾けた。


 しかしその喜びもつかの間。桃太郎は肩で息をつき、頭を抱える。


(……イヤイヤ、俺は一体何をやってる……!?)


 子供たちの笑顔がちらりと目に入り、白雪の真剣な瞳がこちらを見つめる。


 次に何が起こるのか――胸がざわつく感覚だけが、確かに残った。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

桃太郎の日常はまだまだ混乱の連続ですが、読者の皆さんと一緒に見守ってもらえると嬉しいです。


もしこの章を楽しんでいただけたら、ぜひ ブックマーク と 高評価 をお願いします!

応援してくださる皆さんのおかげで、次の話も書く力が湧いてきます。


次回も、桃太郎と白雪ちゃんのドタバタな日常をお楽しみに!


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