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5-3

 夜になって小型無人探査艇二隻が予定通り地球に向けて発進した。撃墜されることもなく、程なくして二隻は目標海域に着水する。

「目標地点への到達を確認しました」

 探査班の担当者が言う。

「海底の地形が確認できました」

 別の担当者が言うと、モニターに地形が図示される。

「かなり深いな」

「探索ロボットなら問題ありません」

 小型無人探索艇には二種類の探索ロボットが搭載されている。四足歩行のもので、それぞれ体高が二五センチと五〇センチ程度のものだ。五体ずつ搭載していて、ともに水中での活動が可能だった。

 深海までは小型無人探査艇で潜水するが、小型とはいえそれなりの大きさがあるので、実際の調査活動は探索ロボットが中心になる。

 モニターの地形の中に、次々にマーカーが表示されてきた。異物と思われるものを示している。

 そのうちのひとつがクローズアップされた。

「メジスラナクアと思われるものが見つかりました」

「間違いないのか?」

 担当者の言葉に副長が答える。もう一人の担当者の側にいた艦長が近づく。

「メジスラナクアの図面と重ねます」

 異物と思われるものとメジスラナクアの図面が重ね合わされる。認識できている範囲は小さく多少歪んでいるが、その形はメジスラナクアとかなり似通っていた。

「可能性は高いな。接近して確認するように」

 艦長の指示で担当者は小型無人探索艇を潜水させる。発見される可能性を考えて照明はつけない。

「メジスラナクアに間違いなさそうだな」

 副長が言う。暗視装置のおかげで、不鮮明ではあるがおおよその形が見えている。センサーで捉えている形も、はっきりとメジスラナクアの形を示していた。

「問題は中を調査できるかだ」

 艦長が言う。引き揚げるのは難しい。発見される危険性もある。

「探索ロボットを出します」

 担当者は五〇センチの探索ロボットを二体メジスラナクアに向かわせた。進入口を探すためだ。

「格納庫の扉が破損しています。ここから中に入れそうです」

 担当者は二五センチの探索ロボットも二体メジスラナクアに向かわせた。少しでも狭い隙間を調査するためだ。

「あれは何だ?」

 副長が何かを見つけた。メジスラナクアの外側のようだ。

「形からするとコンテナ車のようです。セギオラを載せていたものと思われます」

「そちらも調べてくれ」

「わかりました」

 艦長に言われ、担当者は二五センチの探索ロボット一体をコンテナ車に向かわせた。

「メジスラナクアの図面に探索状況を表示していきます。コンテナ車の図面はありませんが、運転席とコンテナ内部だけなので問題ないと思います」

 モニターのメジスラナクアの三次元図面に三つの赤い点が表示された。探索ロボットの現在地だ。探索ロボットが調査した箇所は灰色に変わってゆく。

「コンテナ車では発見できなかったようです」

 現時点で目的としているのはセギオラとヒルダだ。それ以外に何かの痕跡を探している余裕は今はない。

 コンテナ車を調査していた探索ロボットもメジスラナクアの調査に加わった。格納庫には輸送機も収容されていたが、扉の破損範囲が狭かったため輸送機は格納庫内部に残っていた。

 メジスラナクアの図面は、半分近くが灰色に変わっていた。

「まだ発見できないか……」

 艦長は言ったが、セギオラもヒルダも発見できるとは思っていない。むしろ内部にいないことを確認するために調査している。

「操縦室や船室、格納庫などの通常滞在している空間について、ほぼ調査が完了しました。一部は破損した壁の内部なども調査しましたが発見できていません」

 担当者が報告した。

「調査できていない箇所で、セギオラや人間が入れるような隙間はあるのか?」

「壁の内側は機材があるのでセギオラはもちろん人間も入れません。機材がなければ別ですが、壁が破損していなければ内部はそのままだと思います」

「つまり、セギオラもヒルダ・カールランピも中に取り残されている可能性は低いか」

 艦長は言ったか想定通りなので落胆はしていない。むしろ、生きていた可能性が高まったことの方が収穫だろう。

 とはいえ、この先どのように行動したかはまったく推測できない。

「さて、これからが問題だな」

 艦長が副長に言う。

「この星の人間のことを知らずに上陸することはできない。しばらくはこのまま小型無人探査艇による調査に頼るほかはない」

 副長が答えたが艦長もそのことは理解している。

 原則としてアルマセレルでの他の星の探査は、文明を持った人類が存在していた場合、何も準備せずに接触を図ることはない。言葉と文化をある程度理解してから、必要であれば接触を試みる。接触しないにしても、言葉や文化をまったく理解せずに、調査員が足を踏み入れることはなかった。

 もっとも、アルマセレルにとっては、ふたつ目の有人惑星の探査だ。ひとつ目の有人惑星であるキリスアベル第四惑星の調査については、現在進行中でほとんど情報は共有されていなかった。

「キリスアベルの状況がわかれば参考になるのだがな」

「向こうは難航しているという噂もある。我々が先に開拓者になるのも悪くない」

 副長の言葉に艦長が答えた。

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