表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/55

4-8

 ヒルダがロイネを苦手に思うのは母親のことが大きい。

 母親は二人が一歳にも満たないうちに自殺している。理由は知らされていない。少なくともヒルダは知らない。しかし、ロイネは知っているのではないかとヒルダは思っていた。

「ロイネ、お母さんのことなんだけど」

 ヒルダは何度かこう話しかけた。

「また、その話? わたしも知らないから何も話せないわ」

 いつもロイネはこのように答える。二人の育ての親も理由までは知らないとロイネは続ける。ヒルダも直接尋ねたことはあるが知らないとの答えだった。本当に知らないのか、隠しているのかはわからない。隠しているとしたら二人になのか。それともヒルダだけなのか。それもヒルダには見当がつかなかった。

「気にならないの?」

 ヒルダは毎回引き下がらない。

「気にはなるけど調べようがないもの。もしわかったらあなたにも知らせるわ」

 ロイネの答えも毎回同じようなものだった。

 しかし、ヒルダは納得していない。母親の行動が腑に落ちない。

 二人の母親は人工授精で二人を出産している。双子になったのは偶然だろうが、意図した出産であることは間違いない。そこまでして出産して、子供の誕生後一年もせずに自死している。

 その一年足らずの間に何かあったのか。発作的な自死であれば原因が不明なことも納得できるが、それでも兆候くらいはあったのではないか。

(いや、発作的であるはずがない)

 ヒルダがそう思う根拠は、母親が二人を育ての親に託しているからだ。つまり準備をしている。発作的ではなく考えた結果と見て良い。

 では、いつ頃に自死を考えたのか。出産前の可能性はどうか。その場合、子供を道連れにしないために出産まで待ったとも考えられる。

(考えられなくもないが、それなら一年の間どんな思いだったのだろう?)

 いずれ死ぬつもりで一年間生き続ける。ヒルダには想像できないことだった。そこまでできたのならもっと生きても良かったのではないのか。

(やはり出産前は考えにくい)

 それなら出産後に何かが起こったことになる。まさか双子だったからなどということはないだろう。

 ヒルダは手紙などが残されていないか探しながら、自分が生まれた頃からの出来事を調べ続けた。手紙は見つからず、母親の自死に繋がりそうな出来事は見つかっていない。

 ヒルダの知る限り、ロイネが母親のことを調べている様子はなかった。それがヒルダをさらに苛つかせた。

(ロイネはなぜ気にならないの?)

 ヒルダはロイネへの不信感を抱き始めていた。何かを隠している。そう感じずにはいられない。しかし、ロイネの態度に悪意は感じない。

(騙しているというよりただ隠している?)

 そうだとしてもそれはヒルダのためだろうか。確かに知らない方が良いこともある。しかし、それでもヒルダは知りたいと思った。知りたいと思いながらも、ヒルダが真相にたどり着くことはなかった。

 そんな時にヒルダは能力に気づいた。最初はロイネには話さないつもりでいた。切り札にしたかったからだ。だが、ロイネにも同じ能力があるかもしれないので、それを探るために打ち明けた。

 その結果はロイネに軽く流されるだけだった。それが余計にヒルダの不信感を増長させていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ