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3-5

 軍の総合参謀本部には、各部署の長が集められていた。状況は統合司令本部長が説明した。

「芳しくないな。何か策はあるのか?」

 参謀議長タルヴォ・エテラマキが防空砲兵隊本部長に問う。

「引き続き兵の派遣を続けている。奴を完全に包囲できれば状況は変わる」

「地上で包囲して相撃ちを防げるのか?」

 航空防衛隊本部長が口を挟む。兵同士が向かい合って撃った場合、外したら同士撃ちになりかねない。発砲に躊躇もするだろう。

「かといって空からも狙えない」

 タルヴォが航空防衛隊本部長を見る。

「遠距離からなら狙うことは可能だ」

「それで当てられるのか? 外せば被害が大きい」

「防空砲兵隊が奴の動きを止めてくれれば」

 航空防衛隊本部長が防空砲兵隊本部長を見る。

「奴の動きを止められれば我々だけで対処できる」

「そうだな」

 航空防衛隊本部長が何か言おうとするのをタルヴォが遮った。

「つまり、現時点では策なしということか」

 防衛参謀総長ネストリ・クレメラが無遠慮に言う。防空砲兵隊本部長と航空防衛隊本部長が睨みつける。

「君には何か考えがあるのかね?」

 タルヴォがネストリに問う。

「奴の動きが止まればいいのなら、対セギオラ電磁波発生装置を使えばいい」

「正気か?」

 航空防衛隊本部長が声を荒げた。対セギオラ電磁波発生装置は、セギオラの接近を阻止するために、街の周囲に設置されている装置だ。特定の波長の高周波電磁波により脳を破壊する。セギオラの能力である程度は無効化できるが、その間は明らかに動作が鈍る。その間なら駆除することが少しは容易になる。ただし、その電磁波は人間の脳も破壊する。それを浴びれば数秒で死に至る。

「そんなものを使えるわけがない」

 防空砲兵隊本部長も吐き捨てるように言う。

「このままなら犠牲は増え続ける。多少の犠牲で収束するなら有効な策だ」

「多少の犠牲か……」

 タルヴォは鋭い目つきで一同を見回す。

「その案は総帥からも出ている。あくまで最後の手段だが。しかし、ほかに策がないのならやむを得んだろう」

 場が静まり返った。仮にその方法を取るとして誰が命令を下すのか。

「命令が下された時のために準備をしたまえ」

 タルヴォが航空防衛隊本部長に指示する。

「それは攻撃まで我々が担うということですか?」

「そうだ。セギオラを封じる機体と、攻撃する機体の準備をしてくれ。編成は任せるが確実に仕留められる編成だ」

 タルヴォに言われ、航空防衛隊本部長が本部に連絡を入れる。

「現時点の犠牲者数はどの程度になるかね?」

 タルヴォが安全保障局の局長アクセリ・ペルホに問う。

「被害地域の平均的な昼間人口から計算すると、おおよそ二~三万人と推定されます」

「指向性エネルギー砲を奪われたことで、これからも犠牲者は増え続けるだろう」

 タルヴォの言葉に、一同の視線が防空砲兵隊本部長に集まる。

「まあ、それは不可抗力だろう。奪われた隊員は命を賭して戦ったのだからな。こうして安全な場所にいる我々が非難できるものじゃない」

 ネストリが言うと、全員が慌てて視線を戻す。防空砲兵隊本部長だけが意外そうにネストリを見た。

「だが状況を悪くしたのも事実だ」

 防空砲兵隊本部長の視線には気付かずにネストリは付け加えた。

「そうだな。隊員にも敬意を払う必要はある。その上で犠牲を強いることもあるわけだが……」

 タルヴォの言葉の意図は不明だが、防空砲兵隊本部長は隊員の更なる犠牲を予感した。

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