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現在の能生

昨日は頭痛が酷くて1000文字も書けませんでした。

面目ないです。

連日更新できる方は本当にすごいですね。

「この地図は、景虎様がお造りになられたのですか!?」


 直江殿を歓待した翌日、早速今度開墾と治水予定の場所を見て貰おうと、先ずは地図を見せて確認してもらったのだけれど、真っ先に地図そのものに大いに驚かれてしまった。


「あ、えっと、そうですけど?」


「この景綱、ここまで精緻な地図は生まれて初めて目にしました!」


「そ、そうですか・・・それは恐縮しますね・・・」


 謙遜じゃなく本当に恐縮する他ない。

 だって私は、脳内ナビの図をそのままトレースしただけであるから。


「まるで鳥が大空から見下ろしたような地図ですな」


 なかなかに美味い表現法だと感心する。

 真上からの俯瞰図で間違いないからね。


「如何様にしてお造りになられたのですか?」


「毘沙門天お加護かな。戦をするうえで地形を把握できていないのは良くないですし」


 説明できないときは神頼みである。

 こういえば、この時代の人は殆どが納得してくれる。

 証拠たる現物があるだけに尚更に。


「なるほど。景虎様は神懸かりであるという噂は真でございましたか。この景綱、心服いたしました」


 私の事を良く知ると平伏する人が多いけど、直江殿もそうか・・・

 神仏の加護侮りがたし。本当に神仏なのか怪しいけど。

 私的には超未来人のテスターにでもなった気分なんだけど。経緯と能力的に。


「それで、開墾と治水なんですが・・・」


「実地を確認せねば正確な事は申し上げらえませぬが、地図を見た限りでは能生川筋にうまい具合に遊水地や用水路を組み適切な規模で作られておる様に見受けられまするな。この景綱をして何か申し上げるべき点は見受けられませぬ」


 良かった。

 直江殿の太鼓判を頂けた。

 何しろ彼のステータスは、武勇65 統率73 知略78 内政92 外交92 だからなぁ。

 内政値は蔵田さんと同じで現在最高保持者である。

 因みに外交は単独1位だ。


「では、領内を視察がてらに実地検分と行きましょうか?」


 今日の護衛は弥太郎さんである。

 段蔵は別件の仕事を任せているので別行動だ。

 城を出て先ずは城下町に入ると相変わらずの活気にほっこりする。


「来た時も思いましたが、この町は実に活き活きしておりまするな」


 道の左右へと首を行ったり来たりの直江殿。


「そりゃあ、この町は酒が安いからな」


「弥太郎さん、それでは真実の十分の一も伝わりませんよ」


 弥太郎さんの言い分に小首を傾げた直江殿へ説明をする。


「なるほど、極一部の商品以外の税を取っていないのですか・・・なるほど、なるほど」


 なるほどが多い。


「人を集めるには良い手ですな。長尾家で用いるには青苧を特産品として一手に牛耳るとよさそうです」


 流石は直江殿だ。

 まさにその通りで、元々この策は上杉謙信が行ったものを真似しただけなのである。

 結果が大体分かっていたので実行に踏み切ったのだ。


「ところで、町の数か所にある小屋はなんですかな?」


 それは町の区画の中で広い場所に数か所置かれている。


「あれは公衆厠ですよ。何処かへ向かう途中で用を足したくなった時の物です。匂いが問題なんですが、道端でされると病の元にもなると薬師如来様のお告げがありまして・・・」


 衛生問題は徹底して対処したい。

 中世ヨーロッパのペストとか勘弁してもらいたい。

 あれは不衛生な町が原因だからなぁ。


「ほう、それは大変興味深いですな」


 公衆トイレが何時の時代からあったか知らないけれど、珍しい物ではあるのだろう。直江殿は興味津々で見ていた。

 やがて町を抜けて進むと農村が見えてくる。

 ついでに町で見かけた小屋も。


「おや? 村にもあるのですか? それにしては町よりも大きいですな」


「あれは公衆厠ではありませんよ。村の肥し小屋です」


 肥し小屋。そう言えば耳障りは良いけど、単なる肥溜めである。

 本当なら、これを回収して秘密の場所に移して硝石を作りたいんだけど、そうすると田畑に撒く肥しが無くなってしまう。

 現在、干鰯や馬糞、牛糞、腐葉土等を集めて新しい肥しを作っているのだけど、圧倒的に量が足りてないのが現状なのです。


「ただの肥しであるのでしたら、何故一々小屋に集めるのですかな? 大変なのではありませぬか?」


「確かに手間ですがそうして貰った方が私が助かるのです」


「はて? 景虎様が助かるというのはどう言った意味合いですかな?」


「まあ、説明するよりも実際に見てもらいましょうか」


 私はスタスタと小屋に近づいていく。

 小屋の入り口の戸の脇には、長い釘が刺さっているだけなのを確認して戸を開ける。

 う~ん・・・臭い。

 この臭さは現代人には慣れないなぁ・・・

 続いて入ってきた、直江殿と弥太郎さんはそういやな顔でないのがジェネレーションギャップなのかな。


「さてと・・・」


 肥溜めを視てみる。

『この肥しには寄生虫と病原菌が存在します』

 マジかぁ・・・

『これらを除去するには神通力をしようします。除去しますか?』

 仕方ないな・・・

 私は両手を合わせて祈りのポーズをとる。

 いや、必要ないんだけど、直江殿や弥太郎さんが診てるからそれっぽくしないとね。

 すると、肥溜めが金色色に輝いて、やがて元にもどる。

 ふう、消費精神力は20か。寄生虫だけなら10で済むんだけどな。


「この肥えには虫と病の元が混在していましたので不浄を浄化いたしました」


「おお! 何とも神聖な肥溜めですな!」


 神通力を初めて見た直江殿は鼻息も荒く興奮している。

 いや、神聖も何も別に普通のう〇ちの塊ですが・・・

 とにかく、一仕事を終えた私たちは小屋を出て、その際に「肥として使用可」と書かれた木の札を入り口の釘に掛けた。

 すると丁度、肥をか運んできた村人との遭遇。


「ああ、申し訳ありません、たった今、この小屋の肥は肥料用に変えてしまいました。ご苦労ですがもう一か所の肥し小屋に持って行って貰えませんか」


 私が眉を八の字にして詫びの言葉を告げると、村人は大慌てで首を振った。

 私以上に申し訳なさそうに、して頭を下げると、


「殿様に謝ってもらうなんて畏れ多くて、どうすればいいのか困ってしまいますだ!」


 今にも平伏しそうな村人を手で制して、言葉を紡ぐ。


「百姓こそ国の宝です。貴方たち無くして私達武士の立場はありません。お気になさらないようにお願いします」


「お殿様・・・! へへー!!」


 結局平伏してしまった。仕方ないので手を取って立たせ、足や服に付いた汚れを払ってあげる。

 益々、恐縮する村人に優し気に微笑んであげると、顔を真っ赤にさせてお礼を滅茶苦茶に述べて肥壺をを抱えて戻って行った。


「下々にまでお優しい景虎様に、この景綱感じ入り申しました」


「虎様はいつもこうだぜ? そんなに感動ばかりしたら身が持たねえぞ」


「小島殿は羨ましいですな。その様な景虎様の家臣でいられるとは」


「そうだろう、そうだろうともよ!」


 賑やかに会話を楽しむ二人を連れて、私は各村の状況を聞きながら、肥溜めを浄化しつつ当初の目的の開墾治水予定地までやってきた。

 そして現場をつぶさに観察し始める直江殿。


「ふむぅ・・・」


 とか。


「これは!?」


 だとか。


「なんと!」


 やら。

 短い言葉と感嘆符しかでない様子に少し別の意味で心配になる。

 

「いやはや、すばらしい。川の流れの緩急や川岸の強度などをみても、この作事図の完成度は素晴らしい!」


 内政値86の私が92の直江殿に褒めちぎられた。

 内政値って何だろう?

 う~ん・・・考えてもわからないや。

 とりあえず、ナビに従って置けばOKってことでいいよね。


「それでは、この通りに進めても大丈夫でしょうか?」


「はい。この景綱が胸を張って言い切りますぞ」


「この作事の奉行を直江殿にお願いしたいのですが、宜しいでしょうか?」


「構いませんとも! この景綱、身命を賭してこの一帯を黄金の稲穂垂れる田園地帯に変えて見せまするとも!」


 気炎を上げる直江殿に私も大いに期待を寄せる。

 実際には良く分からない内政値だけど、伊達や酔狂で92もあるはずじゃないと思うし。

 多分だけど越後一のその手腕を是非とも発揮してもらいたい。

 

______________________________________________


 あれから数日。

 この作事は賦役だけど昼食を食べさせる事を直江殿に説明した。

 お腹が減っては力は出ないし、働き詰めは効率も落ちるからと根気よく説いた。

 この時代の賦役は税の一種であり、朝から晩まで働かせるのが常識である。

 しかし、それが如何に効率が悪いかを現代人である私は知っている。

 だから色んな例を上げ、試しを見せてあげて、効率とは何なのかを直江殿に教示したのである。

 彼は優秀なだけあって、しっかりと理解してくれた。

 これなら上手くやってくれるだろうと思えた頃に別任務を言い渡していた段蔵が帰ってきた。


「それで早速だけどどうだった?」


 居室には段蔵と二人だけ。

 周囲に人のいる様子もない。

 秘密の会話を聞かれることはなかった。


「まだ何とも言えないかしら。特に変わった動きはなっかたわよ」


「そう・・・黒田秀忠の謀反、史実では来年10月だけど、一年も前から準備はしてないか・・・」


 歴史が少し変わってるからもしかしたらと考えて段蔵に探らせてみたんだけどな。


「史実の話をするなら来年の今頃でも長尾景虎は栃尾城に居て中郡の豪族たちと争っているはずよ。そこで景虎は戦上手とされ、後年の軍神伝説に繋がっていくのだもの」


 段蔵が砂糖饅頭を口に放り込みながら語った。

 現段階で中郡は抑えて直轄地にしている。ここを越えて黒田秀忠の居城黒滝城から軍勢を起こして春日山まで攻め込むのは無理があるだろう。

 反乱した豪族が割拠していたから纏まった軍の黒田勢を通したと見るのが良さそう。


「黒田秀忠の謀反の芽が既に摘まれたのかな?」


「そこまでは何とも言えないわね。黒田秀忠は2度謀反を起こしている訳だけど、一度目に守護代家の一門、それも直系の兄弟2人を殺してるのに最初が許されているのが不思議なのよね」


「最初の討伐は上杉定実から命じられているんだよね?」


「そうよ。でも許されているって事は秀忠の助命はその上杉定実から出ている可能性が高いんじゃないのかしら?」


「え? もしかして黒田秀忠の謀反は上杉定実の企み・・・とか?」


「ないとも言い切れないんじゃないかしらね?」


 むぅ・・・言われてみれば、傀儡にされてる守護の気持ちなんて考えたこともなかったなぁ。

 それに上杉定実は長尾為景に散々な目に遭わされてるし、恨みも十分にあっただろう。


「じゃあ、黒田秀忠が謀反を起こさない、いや、起こせないなら、上杉定実が動くかもしれないってことかな?」


「その場合は謀反じゃなく、越後を専横する守護代家を討伐するって名目になるでしょうけど」


 笑えないね。

 それだと史実以上の大きな戦になってしまう。

 せっかく中郡を無血で接収できたのに。


「これからは黒田秀忠だけでなく、上杉定実の動向もうかがう必要があるね、段蔵?」


「分かってるわよ。でも、私は一人しかいないのよ? まあ、景分身の術で実態と同じ様に動かせる分身を2人まで生み出せるけど、これは大きなダメージ受けると消えちゃうし、精神力もかなり使うから常時展開させてられないしね」


 実体のある景分身・・・それって豊臣立身伝の忍術じゃないのかな?


「越後で忍者って言えば、軒猿だよね・・・私は会った事ないけど」


「大殿にさり気なく融通して貰ったらどう?」


 そうだね。

 大事になる前に何とかしたいし、ちょっとお願いしてみようかな。

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