さあ、戦闘準備完了ですよ♪
ラストスパートです(`・ω・´)
VG開始10日目…
生存者68/213
ユニオン人数19人
「じゃあ行ってくるから帰ったら敵がネックレス持ってたとかやめてくれよ?」
笑いながらそんな言葉をかける。
「もちろんよ !
しっかり場所空けて待ってるから翔こそ迷わずに帰ってきてよね♪」
「まーまー、仲の良いこって………
お似合いの2人だからいいけど俺にも彼女出来ないかなぁ?
命を掛けてでも守ってあげるのに」
笑顔で返してくれる美奈に隼人も笑顔でぼやきを混ぜてくる。
そんな中、ふと昨日宿に戻ってからの会話を思い出す………
……
…………
……………………
名前を聞く事もなく死んでいったやつが落として死んだアイテムは外見ではただの懐中時計なのだが、経験した感触から考えても視覚やさらには気配までも消してしまうようなアイテムだったようだ。
覇王の腕輪やルシフェルから貰った武器と同様の破壊不可のアイテムらしく、あの爆発の中でも傷一つ無いまま落ちていたのをありがたく回収させてもらったのである。
(まあ、うだうだ悩むよりもステータスを表示させて見た方が早いか……)
「{タスク}」
現れたタスクを操作して懐中時計をしまう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
新アイテム認証中………
認証を終了しました。
ステータスを表示します。
装備名
聖君の懐中時計
ステータス補正
なし
特殊能力
魔力を込めれば、自分を中心とした任意の範囲にステルス効果
気配の隠蔽
必要sp
sp合計250以上
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんでこんなに暗殺向きのアイテムが聖王の名前を冠してるんだろ?」
よほど気になるらしく、美奈は1人で首を捻りつつぽつりとこぼす。
「それは、覇王を止める戦いの最中に最も大切な人が巻き込まれる………
そんな経験をしてしまった聖王が同じ過ちを二度と繰り返さないようにと愛娘に送った物だからみたいだよ?
だから、これは美奈が大事に持っててね♪
……………誰にもバレないようにね?」
話しながら後ろから優しく抱きしめて、途中からは美奈だけに聞こえるように耳元で囁く。
突然の行動に一瞬ビクッと反応したもののポケットに滑り込ませた懐中時計に対しては一切の反応を見せずに抱き返してくれる。
「それにしても、そんな話何で知ってるの?」
隼人たちに何か言われる前に体を離すとすぐに美奈に尋ねられる。
「いや、アイテムの説明みたいな所に書いてあったよ?」
そう言ってタスクを見せてやる。
そんなこんなで、いろいろと雑談を続ける………
いくら現実ではないとはいえ、明日にはユニオンメンバーも加えて本格的に戦闘を始める予定てある。
この場の全員が表に出さないだけで不安なのだろう………
とはいえ、大切な日の前日にあまりにも起きているわけにもいかないのでほどほどの時間にお開きとなり、明日に備えて体を休める事にしたのであった。
……………………
…………
……
「よし、行ってくる!」
回想を辞め、一度気合いを入れ直してから魔力を流すことに集中する………
すると、前回同様魔力の道筋が現れるので、その道に手をかざし
「{転移}」
視界が暗転するが、次の瞬間には目の前には紅子達がいた。
真弓ちゃん辺りは騒ぐかとも思ったが空気を読んでくれたみたいだ。
そして、今居るのがいつぞやの会議室であることを確認し、とりあえずは横にいた内田に話しかける。
「久しぶりだな、みんな揃ってるか?」
「ああ、いつでもいいぜ」
「そうか、全部任せっきりで悪かったな……」
「まあ、俺に出来ることぐらいは協力させてくれよ。
目的も同じなんだからさ……」
もう一度改めて礼を言ってから、少しタスクを使いながら一堂へと向き直り話し始める……
「さあ、いきなり集まってもらい理由を聞いていない人もいるかもしれないので改めて説明します。
まず、私がこのエリアを離れてからユニオンに参加してくれたという方々、私がユニオンリーダーの天ヶ瀬翔です。
本題に入りますと、現在私たちのパーティーはエリア4にいるのですが、そこに現在の生き残りメンバーの約半数を占めるであろうもう1つのユニオンがあります……」
そこまで話したところで参加者がざわつくのに合わせて一度言葉を切る。
「…………そのユニオンはこの世界を理想の世界とし、エリア4では略奪、暴行、支配が横行しています。
たしかに、出る方法もわからないし、出ても良いことなんて無いという人も居るでしょう。
しかし、本当にそれでいいのですか?
たしかに、このゲームの主催者の意図などわかりませんし、皆が同じ気持ちなのかもわかりません。
しかし、私はなんとしても現実世界へと帰りたい!!
二つ名持ちはマップで各エリア毎の人数を把握出来るのですが、現在の状況からして相手は最大35名………この内で奴隷のような扱いを受けている人々もいるらしいことを考えても私たちのパーティーだけではとてもではないてすが、勝てる自信がありません。
強制とは言いません、勇士の方だけでもよいので彼等を打ち破る協力をしていただけませんか?」
最後の言葉とともに深く頭を下げて待つ…………
「1つ質問していいですか?」
しばらく待っていると声がかけられる。
俺が頷いて答えると
「暴挙を止めるとおっしゃりましたが、それはそのユニオンの人々を全員殺すということですか?」
みんな聞きたかった事なのだろう、その場が静まり返る………
「半分当たっていて、半分外れています。
ゲーム前の時点で創造主に確認したところ、このゲームの参加者が死亡すると参加者はエデンの園に吸収される………
しかし、誰かがラスボスを倒すと全員がエデンの園から解放されるということです。
なので、ここで彼等を殺したとしても現実の彼等を生かす事が出来るとも考えられますよね?
なら、我々の選択肢は
・ここで彼等の自由を許して彼等の横暴に怯える人々に我慢してもらい我々だけで勝手にラスボスを探してゲームをクリアする
・彼等を一度ゲームから除外してから我々でゲームをクリアする
のどちらかという事になると思います。
さらにはラスボスがそのユニオン内にいる可能性すらあるので、結局戦わないとならない可能性すらあります」
「わかりました、協力します」
「え!?」
当然人を殺すという状況をどう受け入れてもらうかを悩んでいた俺としては一瞬反応出来ず、思わず聞き返す………
「いや、そんなに驚かれても……
別に実際に死ぬわけでもないなら協力しますよ」
「ああ、ありがとう………
他に質問のあるやつや辞退したいやつはいるか?」
俺はあまりにあっさりした答えに多少驚きつつも問い返す。
しかし、帰ってくるのは向こうのユニオンに対する怒りと戦争前の熱気ばかりであり、聞こえてくるのは虐げられる人々への同情と独特の高揚した雄叫びぐらいであった………
その中で《クリムゾン》の2人と《黒狼》の3人だけは冷ややかに現状を眺めているのに気付き、5人に声をかけて隣室へと移る。
幸か不幸かその場の全員が異様な熱気に包まれており俺たちの行動を気にかける者など居なかった……
……
…………
……………………
「なあ、あの熱気はなんなんだ?
現実で死にさえしなければ、このリアルな世界で他者を自分が殺すということに対する抵抗とかは無いのか?」
「そうか、翔くんはずっとアメリカに居たんだったね………
今の日本において対戦系のVGに深くハマってるような人達はみんなこんなものだよ。
彼等にとってVGはどんなにリアルで実際に感触まであっても、あくまでゲームなの……」
紅子ちゃんが吐き捨てるように言う言葉を弓子ちゃんが引き継ぐ
「だからね、現実をゲームのように感じて殺人を犯す人はいても、ゲームを現実に感じて殺せない人はVGの広まってしまった今ではもう少ないの………
あ、人を殺したりすることのないVGもあるにはあるんだけど、それはレースゲームかモンスターを倒すゲームぐらいでほとんどないんだぁ。
まあ、そんな人達だからこそ普通の対戦系VGをやりこめるし、そういうのをやり込んでるからこそ長く生き残ってるんだと思う」
彼女らの説明を聞き、俺は愕然とする……
たしかに、最近治安が悪いという話も、それとVGが関係してるのではないかという話も海外で話題になっている。
だが、これほど常軌を逸したものだったなどと誰が予想出来ただろう。
どうやらゲームに染まりきった彼等にとって人を殺す事など禁忌たりえないようだ………
「とはいえ、戦力としては有望なのは否定出来ないんだ、残念ながらな………」
内田が補足する。
「たしかに、VGをやり込んでいる奴等というのは戦力としては期待出来るかもしれないな……
ただ、俺にはこういう考え方はどうも受け入れ難いんだ………」
「ふむ………
こう言うとなんなんだが、俺は今までお前ら軍人もあっち側の人間だと誤解してたよ。
軍人なんてみんな他者を殺すのが仕事なんだから、人を殺すのなんて何も感じないと思ってた」
「そう思われても仕方ないとは思うけど、実際は全然そんな事はないさ。
そりゃ、たしかに末端の一般兵なんかにはそんなやつもいるけど、特殊部隊なんかに入るやつは大抵最後まで人殺しなんて嫌ってるもんだよ………
だから、俺の部隊では必ずミッションに関する情報をまず調べ尽くす。
可能な限り戦闘を避け、戦闘があったとしても可能な限り相手は無力化するに留める。
どうしても殲滅以外無いときだけしか殲滅なんてしない。
そして、いざ殺す時にはそいつを殺したという事実を背負って生きる覚悟を決めてから殺し、相手を殺したという事実から逃げたりしない………それが俺たち人殺しなりの最後の誇りなんだよ。
まあ、所詮は綺麗事でしかないけとな」
「覚悟………か………………
そうね、なら私はこの戦いで一度殺してしまうであろう人のためにも絶対にこの馬鹿げたゲームを終わらせる!!」
「そうだね紅子ちゃん!!
翔くんもいるんだし、私たちも力を合わせれば絶対なんとかなるよ!!」
内田たちも力強く頷いている……
「はははっ」
「ちょ!?
翔くんこんなタイミングでなんで笑い出すのよ!!」
俺が堪えられなくなり、つい笑ってしまうと弓子ちゃん達が怒ってくる。
「いやいや、向こうにいる仲間たちとの初任務の前と同じ雰囲気なんでな……
ついつい懐かしくて」
「やっぱり俺たちなんかよりも、そいつらの方が心強いか?」
内田が訪ねてくるが、きっぱりと首を振ってやる。
「いいや、始めてから一回もあいつらがいればと思わなかったとは言わないが、ここにいるお前たちと美奈たちに関しては誇れる仲間だよ!
とりあえずは、全員連れて向こうに戻るとするか」
そう言って元の会議室への扉をくぐった……………




