さあ、驚愕の相手ですよ♪
轟音と共にゲートが開いていく……
そして、開くと本来なら闇が見えてきそうなものだが、見えてくるのは眩しいほどの煌めき…………
「おぉーーっと!
この光は一体なんなのでしょう!?
やはりここはレベル20、今までのモンスターとは登場からして違いますね♪」
司会の話しぶりからしても、やはり本来あそこは闇という判断でよかったんだろう。
ということはあそこから出てくるのは、あの光から考えて炎系か光系のモンスターなのかな……?
そんな事を考えていると、ゲートの向こうで魔力が練られる。
「来るぞっ、全員散れっ!!」
さすがに全員手慣れたもので、俺と美奈が右、隼人と斉藤は左へと一斉に跳ぶ。
直後さっきまでいた所を通り抜けるは……………人?
「人……?
いえ、翼と角のような物があるので悪魔でしょうか…………
私の記憶には無い存在ですね。
本来このイベントでは、この世界に存在しないモンスターが出て来る事はないはずなのですが………」
(実況の言葉も気になるが、この気配どこかで感じた気がするんだが)
「そうか!!」
「きゃっ!?
どうしたのよ翔、あれやばそうだから集中してるのに、急に変な声出さないでよ」
美奈が悪魔を見つめながらもこちらに叫んでいるが、とりあえず俺は思い付きを確認してみる。
「お前このVGの創造主だな?」
悪魔は一瞬きょとんとしたあと、突然笑い出した。
「いやはや、どうしてばれたのかはわからないけど、まさか登場しただけで分かるとはさすが史上最高ステータスを軽く更新するようなポテンシャルの持ち主だよね♪
お察しの通り私は創造主です♪
プレイヤーの皆さんはお久しぶりですね♪」
驚きのあまりこの場のほぼ全員が放心している中会話を続ける。
「そんで?
いきなり出てきたのはどういう事だ??」
「いやあ、単に君達と手合わせしてみたかったんだよね♪
とりあえず当然全力では来てないから、この状態で戦闘してよ♪
もちろん今はモンスターだから、経験値も入るし、他のレベルと同様に討伐成功したら報酬も出すからさ♪」
俺以外の全員が俺から半歩離れる。
「………まあ、どうせやることは同じだしな。
とりあえずはモンスターの名称が大層な名前になっただけとするか…
おい、美奈も隼人も斉藤もそろそろいいか?」
「うん……
どうせなら、あのもこもこの姿で出てきて欲しかったけど…………」
(あ、大事なのはそこですか……?)
「まあ、確かにやること一緒だしな。
いっちょ神殺しといきますか!!」
「ああ、俺も問題ない…………」
「そういう訳だから、遠慮なくいかせてもらうぜ、創造主さん?」
「はい、全力で殺しあいましょうか♪」
……
…………
……………………
ちなみに、この会話の裏で行われていたもう一つの行動がある…………
「そんで?
いきなり出てきたのはどういう事だ??」
改めて見てみると恐ろしげな風貌である………
基本的な体の構造は人間と同じだが、背中には赤を基調に一部に黒の入った蝙蝠のような羽が6枚生えている。
そして、全身は同色の鎧のような見た目であるが、鎧とは考えられないほど継ぎ目などが無く滑らかなその体は爪や肩、肘などの要所要所は鋭く尖っている。
まさしく悪魔を体現した様なその姿は、普通に見る分にはその芸術的とも言える見た目となるが、いざ敵対すると威圧感が半端ではない。
「(なあ、みんな今想像魔法で念話を試しているんだが、聞こえているなら半歩俺から離れてくれ)」
すると、全員が半歩ずつ動く。
「(よし、ならここからはこれで指示を出すから従ってくれ。
今回はマジでやばそうだ……)」
とりあえず懸案事項であった指示出しの問題がこれで解決したことにあんどする。
そして、創造主との会話を続けながら勝つための戦術を構築し始める…………
「はい、全力で殺し合いましょうか♪」
……………………
…………
……
「なら、遠慮なくいかせてもらうぜ、創造主さん?」
「(とりあえずは隼人は様子見がてら軽く攻撃してみてくれ。
最優先事項は敵の攻撃に当たらないこと!
斉藤は隙を見て一発でかいの入れてくれ、当たらないようにってのは一緒な?
んで、美奈は水の魔法を数打って時間を稼いでくれ)」
「ふふふ……
僕相手にどう戦ってくれるのか……
期待外れな落ちは辞めてくれよ♪」
「ちっ!
言ってろってんだ、よっ!!」
キンッ!
「くそっ!
かてぇな!?」
よし、隼人はとりあえずなんとかなりそうだな……
なら俺もいっちょぶっ放すか………
そして、魔力の4分の1ほどを意識して右手に集める。
「ん?
魔力蓄えてるね??
そんな中途半端な魔力で何するの♪
ああ!!
君達ちびちび鬱陶しいよ!!?」
そう言って翼を畳み自分の身体を抱くようにする。
「全員やつから離れろ!!
美奈はでかい魔法ぶっ放してくれ!!」
隼人と斉藤は俺の言葉より半瞬早く飛び退き出したものの、翼がかすり吹っ飛ばされるが大した怪我はしていないと判断する。
そしてこっちにはまだ続きがある。
「これなら避けられないでしょ!?
食らいなさい!{コキュートス}」
創造主を中心に氷が一面を覆う……
もちろん創造主体のほとんどを氷の中に閉じ込められてはいるが、このぐらいは足止めにしかならないと思ってる。
「ふむ、素晴らしいコキュートスですね♪
力を抑えているとはいえこの私を凍り付かせるとは……
そして、凍っている間に私の懐まで翔くんが突っ込んで来ていると♪
さて、左手の魔力も気になりますがとりあえずは君の戦闘を見せてもらおうかな?」
言葉と共に体を包む氷を軽く砕き迎撃に入られる………
相手の希望通りに普通の戦闘をするのも気に入らないが、今魔法を放っても避けられて終わりだろう。
なので、敵が攻撃してくる以上ナイフで対抗するしかない……
とりあえず俺はナイフを突き、振り抜き、さらにはミドルキックや持ち手による殴打までを混ぜて攻撃し続ける。
「うわぁ……
翔くんちょっと強すぎませんか??
軍人が今までVGをやったこと無いからわかりませんが、みんなそんなに凄い戦闘能力なのですか……?」
そんな事を話しつつも、両手と足を使って的確に攻撃を受け流し続ける……
こいつは化け物か!?
「ちっ!!
んなことっ、言いなが、、らもっ!!
余裕そうじゃねぇか!!!」
なんとか殴ってきた腕を弾き返して、一端距離をとる。
「はあっ、はあっ………」
創造主の方は弾かれた腕を見て意外そうな顔をしている。
「ナイフ1本で私と渡り合い、さらにはこちらの体勢を崩して間合いを取り直しますか………
これはいささかばかり驚きましたね♪」
「こっちは戦闘技術には自信があったのに、あんたのせいでそんなもんは粉々に砕け散ったよww
(美奈、いつでもいいから隙を見つけて創造魔法でやつの動きを止めてくれ。
動きさえ止めれば俺が仕留める!)
てわけで、この自信を取り戻すにはあんたを倒すしかないよな?
(隼人と斉藤は俺と一緒にとりあえず隙を作り出してくれ)」
さあ、第2ラウンド開始といこうか?
(さあ、第2ラウンド開始といこう!)」
今度は俺、隼人、斉藤の3人がかりの攻撃で、ナイフ、バスターソード、ウォーハンマーが襲いかかり、 さらには、俺が攻撃よりも相手の攻撃を防ぐ事に集中しているため、一方的に攻め続けている……
こうなると、大した連携があるとは言えなくとも創造主の方はさすがに厳しくなるはずである。
現に俺とタイマンの時には優雅ささえ感じさせたその動きも、今では少し荒くなりつつある。
そして、拮抗の終わりもまた突然訪れた………………
何度目かもわからない繰り返しの途中で、しびれを切らした創造主はまたもや翼を畳んで体を丸める。
しかし、こちらも一度見た技なので瞬時に対応して距離をとる。
そして、それまで待機していた美奈が右手を突き出す。
「はあああぁぁ!!」
気合いの掛け声と共に水の杭が現れ、翼に突き刺さり地面に縫いつけたかと思うと、大量の水が創造主を取り囲む。
創造主の顔が驚愕に歪んだ次の瞬間直径2mほどの球状となった水は完全に凍りいた………
これ以上ないほど完璧に動きを止めてくれた美奈に感謝しつつ氷に近づき、そのまま上へと放り投げる。
その直後には頭上の氷が一面のひびに覆われるが、もう間に合うまい……
俺は左手に溜続けていた魔力を一気に放出する。
「いけえぇぇ!!」
左手から弾けた光は氷を全て吹き飛ばし、創造主の体も半分ほどを消し飛ばした。
そして、俺の攻撃はそのまま闘技場の結界をも突き破ったものの、真上に放っていた事で被害はなく収まった。
「えっと……創造主さんは大丈夫なの?」
「それも大事だけど、そう言ってる美奈がふらふらじゃないか。
けど、最後の複合型の創造魔法は本当すごかったよ」
そう言って置きやすい位置の頭についつい手を乗せると、なんだか嬉しそうだったのでそのまま撫でてやる………
隼人や斉藤も呆れつつも見守ってくれている中、背後から声がかかる。
「えっと、天ヶ瀬さんそろそろ話をしていいかな♪」
「なっ!?」
とっさに振り向いてナイフを構えるものの、体力・魔力共に限界なのはこちら全員に言えることであり、先ほどの攻撃を耐えられた時点で勝ち目はない。
半分諦めかけた俺たちだったが、流石に俺たちの杞憂だったようだ。
「いやいや、あそこまで完膚無きまでに半身消滅させられたんだから君たちの勝ちで良いよ♪
力を解放することで体を直しただけなんだから♪
それよりも、これからお互いのためにも、少し話をしたいんだけど時間はある??」
「景品の受け取りと少しの挨拶だけしてもらえば、今日の所はありません」
(え?
俺が聞かれたんじゃないの??
なんで司会役のお姉さんが答えてるんだ…………?)
「そう、なら宿で適当に宿で待ってるから、あとで来てね♪」
そう言って創造主は転移で消えていった…………




