VOL.88 ハンス・アスペクター
童話の里の団体、ランドスケープオブメルシーのメンバーです。
本名をハンス・アテドロといいます。
貧弱な体に茶色の短髪、呑気そうな顔立ちと、抜け作な特徴がいくつもある青年。
年齢は34歳くらい。
この人物からもわかるように、ランドスケープオブメルシーとは、日がな一日することもなくぼーっとした団体です。
たまーに回ってくる環境修復の仕事を中途半端に片付けて、あとは童話の里にある宿泊所の掃除とか、公園の草むしりとか、長老の御用聞きに書類を運ぶとか……。
とにかくやることなすことテキトーな団体で、長老の助手アインス・エターナリストが粛清をかけて、ようやく団体の体面を保っているという情けなさ。
位階者手当というものに頼っているのは、この団体だけだと言われていて、当然納税額もビリッ欠。
童話の里の赤っ恥と揶揄されながらもどこ吹く風。
その面の皮の厚さときたら!
それなのに、ああそれなのに、位階だけは20人いるメンバー全員アスペクターという優秀さ。
頭だけはいいんだから困ったもんです。
――それでずる賢く立ち回るわけじゃないのが、この団体のやる気のなさを象徴しています。
フィリップからNWSの受注した仕事を受けるかと打診された時の会話。
「へぇ、そうなの。ふーん」
「相変わらずの人気ぶりだねぇ」
「せっかくだからやってみる?」
「え――っ(大ブーイング)」
「いや、やっとかないと、またアインスさんに頭ごなしに怒られるんじゃない?」
「あ、そうね」
「んじゃ、気は進まないけど、会議に参加させてくれる?」
仲介したフィリップも開いた口が塞がらなかったそうです。
そして――仕事先のアウェンティヌス風刺の里では、まったく相手にされなかったという有様。
テキトーな姿勢というのは、わかる人には一見してわかるんですよ。
どうせ能天気な顔を並べて、「よろしくお願いしまーす」とか言ったのに違いありません。




