VOL.61 タイラー・アスペクター
NWS8班のリーダーです。
本名はタイラー・クリムゾンといいます。
夏草のように跳ねる黒髪、切れ長の目、スッと通った鼻梁、薄い唇、尖った顎……ニヒルな風貌は近寄りがたい雰囲気を持っています。
リーダー内では唯一、万武の赤を修得した対トラブル専属のリーダーですが、カエリウス炎樹の森の仕事ではその特異性が浮き彫りになっていましたね。
カエリウスの武器製造会社の子息で、元恋人のローリエを亡くしたことがきっかけでパラティヌスにやってきたのは23歳の時。
童話の里の長老セイルから、助手のアインスを紹介され、環境修復の修法を伝授してもらい独立したのが
25歳。
そこから、NWSに入るまでの6年間一人で活動していました。その間に鳥俯瞰者まで上り詰めたんでしょう。
飲みに誘うような友だちもいなかったでしょうし、生活感のないアパートで一人で食べる食事はどんなにか侘しかったろうと思います。
NWSが始動してからは、顔馴染み程度だったマルクやアロンなどの実力者や、ポールのようにあっけらかんとしたキャラクターに関わってタイラーは少しずつ心を開いていきます。
そして、ボーイッシュながらキラッと輝く個性が魅力的なオリーブに恋するんですね。
9班リーダーとしてメンバーからは恐れられていますが、技術と知識を惜しげもなく還元してくれる理想的なリーダーです。
メンバーの知識の習熟度を、質問しながら実践に持っていくQ&A方式を採用しているので、彼らは疑問点や不明点を常にブラッシュアップできます。
その手順の正確さが能率を上げていくのです。
それなのになぜ、マルク・ランス・アロンに実力の上で下位に甘んじているのかというと、やはり恐怖が先に立つので決していい雰囲気じゃないからなんですね。
稲刈りの時にオリーブが9班を見て「恐怖政治みたい」と言ったのには、もっと肩の力を抜いて楽に接していいんだよ、私たちは敵じゃないんだから。という意味が込められていました。
彼女などは自然な振る舞いだけで、9班メンバーをあっという間に笑わせていますから、タイラーも考え直したと思います。
実家の問題も何もかもいいように収まって、人間タイラーの真のリーダーシップはここから始まるんでしょうね。




