VOL.48 風刺の里
アウェンティヌスの上層(下層)、因果界の拠点です。
首都パイシーズが中央の島なら、風刺の里があるポモーナ島は南東にあります。
ポモーナ島は国営公園になっていて、熱帯雨林と平原、湿地帯が広がる楽園です。
風刺が生まれてきようがない場所ですよね(笑)
でもテロ被害ワースト3だった頃は、リゾート施設やストリート、酒場、イベント会場など、人が集まるところはよくテロリストが暗躍していました。
心臓部の数ある研究施設は幸い攻撃対象にはならなかったのですが、そのぶん事件が陰惨だったことは国民の心を蝕んできたんですね。
ニュースはテロに屈することなかれ、国民の力を総結集して立ち向かおうと鼓舞していた。
しかし、テロリストが矛先を変えることはなかった。
なぜか?
呪界法信奉者にとって一番憎むべきは、自分たちの存在が下等で醜悪な社会悪と決めつけられ、屈折したアクティピスト(活動家)であり恥ずべきものとして連日風刺などで叩かれていたからなんですね。
マスコミの炎のような舌鋒に虫唾が走っていた。
そんなに万世の秘法が偉いのか? 全き正義なのか? と嘲笑していたんです。
その対立はどこまでも続くかと思われていましたが――風刺の里はあることに気づきました。
他の里では、呪界法信奉者にたとえ目の敵にされても、対象は統治者などの権力者、あるいは多大な利益を上げた企業なのに対し、アウェンティヌスでは里そのものが攻撃対象になっていると。
ポモーナ島は機雷だの歩哨だの武装しているが、そこまでしているのは風刺の里だけ。
国の内情は不穏になるばかりだし、声を涸らして国民に抵抗を訴えても委縮する一方。
風刺は社会悪を呼び寄せる。
だから、趣旨には外れるが正義と悪の二元論ではなく、呪界法信奉者を社会が生んだ忌子として認め、その関係をフラットにして万世の秘法もこき下ろす。という結論に至ったのです。
結果は10年のテロ被害0件。
まずは存在を否定しないことが重要だったんですね。




