VOL.42 アウェンティヌス
世界の南東、ティアドロップ大海にある諸島の宮廷国です。
首都はパイシーズで、マーレ宮殿が中枢を担っています。
約二百ある島々から成り立っており、希少な熱帯植物の宝庫です。
生物学・薬学・バイオ技術・海洋・環境・動植物・土壌・果樹・花卉などの研究所が置かれ、これらはアウェンティヌスの心臓部と言えます。
人口は十万人ほど。
アウェンティヌスは一大リゾート地ですから、雇用は充実してますね。
オリーブによると、ここ十年はテロ被害が起きておらず、パラティヌス、ウィミナリスに次いで政情は安定しています(『パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき~』より)。
第一産業で潤うアウェンティヌスも、かつてはテロ被害ワースト3でした。
原因は呪界法信奉者を徹底的にこき下ろした風刺だったらしく、陰惨な事件が続いていたようですが。
ようやく風刺そのものを梃入れして見直していこうという風潮が生まれ、そこから法整備や教育、予算投入などによりワースト3を脱却したんですね。
エンドルフィン・ハイアーの属する報道の力もあったでしょう。
そうして果物の輸出量が過去最高になるなど、明るいニュースが飛び交うようになったのです。
ここは研究者たちにとって垂涎の的ですが、不思議とテロの標的になることはなかったようですね。
なぜでしょうか?
答えは、研究所を攻撃しても呪界法信奉者には益がないから。
略奪が主な手段なので、研究が終わって商品化したものを奪うのが手っ取り早いからです。
研究途中のものを略奪したって、活かし方がわからなければ何の意味もなさないですからね。
というわけでアウェンティヌスの心臓部は攻撃されずに済みました。
その代わり、他国の研究者の受け入れは最小限だったでしょうが、それもこれからは招聘するようになるんじゃないかな。
虹球界に移住できるニュースは、アウェンティヌスにとっても明るい知らせでしたが。
節を曲げてまで守り抜いた国を去るのが惜しいという世論が活発化しています。
住むのは虹球界でも――働くのはアウェンティヌスにしたいという意見も。
アウェンティヌスの世論は世界の民意を操作すると言われます。




