VOL.40 虹球界
世界の大変革後、人類に新たに拓かれた世界で第五層にある第五次元の世界です。
それまでは第七層にあって、人類にとっては全く未知の領域でした。
チェールアルコ、とも呼ばれ、これはエスペラント語で”虹”を意味します。
人類だけでなく、五つの異世界――天界、ストレンジャー、トリックスター、冥界、アニミズム――の住人たちも移住することになったので、住み分けはしていますが陸続きになったので一緒に生活することになります。
アメリカ大陸ほどの土地が真央界の住人七千万人に与えられました。
とはいっても、移住してきているのはカピトリヌスの難民やその後の自治を任せたい一般の善良な人々のみ。
これから三十年かけて移住計画が推進されることになります。
計画を主導するのは降霊界の人々です。
世界の大変革の五年後には町の体裁も整っていましたが、来た頃なんかは降霊界の人々でさえどういう場所なのか把握していませんでしたから、しばらくはまたテント暮らしだったかもしれませんね。
でも、虹球界の存在は知らされていたし、生産修法のレクチャーも受けていましたから食料は持ち込めたでしょうし、炊き出しとかはできたと思います。
人々は希望と期待ではちきれんばかりだったでしょう。
今まで彼らを苦しめていた弾圧者たちは遠い因果界に閉じ込められ、まっさらな土地で新しい生活を始めることができるんですから。
降霊界の人々の指導で平和な町を作り上げていく過程は何にも勝る喜びだったはずです。
大気が濃くて、水の中にいるような虹球界では営みもゆっくりしています。
たぶん、普通に機器類は動くでしょうし、洗濯物も乾くし、じめじめもしてない――とは思うんですけど。
みんな真新しい木造モルタルのかわいい家に住んでるみたいですよ。
例えば真央界で大富豪だった人々も、虹球界では素朴な家に住むことになるんじゃないですか。
せいぜい大きくても、イギリスのマナーハウスが上限にしたいですね。
いくらお金をつぎ込んでも大きな家には住めません。
小さなコミュニティーで終生回っていきます。
なにしろ虹球界は、ドリームランドですから。




