VOL.34 ヴィオレッタ・バレー
パラティヌスの西の尾根、ストルメント山脈の裾を流れる一級河川、ハタ川の上流にある谷です。
ニオイスミレが川淵から傾斜する土地に群生していて、ここで採れたスミレから作られた香水は最高級品となっています。
レンナはこの谷の入口であるホテル『花筏』で、ホテルサービスのアルバイトをしてるんですが、その時ある有名な小説の名を聞かされました。
小説の名は『ブルームーンマリッジ』。
幼馴染の恋人たちが、恋愛結婚するまでを描いた作品です。
ホテルの一室が芸術家たちに解放されて、エコロジーアートというブルーの古着や小物を使ったアートで飾られた部屋を世話係に見せてもらったんですね。
もちろん、作品にはヴィオレッタ・バレーも登場し、主人公の男性が必死に貯めた給料で、香水をプレゼントするシーンがあります。
当時十二歳だったレンナには、まだ早すぎると言われていた小説でしたが、独立して下宿の世話人になったのを機に母親のアンジェラから許可が出て読んだんです。
……その小説に影響されて、レンナの身持ちが異常に固くなったとかならないとか。
女性の憧れが形になったような小説なんですね。
この時のホテルのアルバイトは、レンナに様々な影響を与えています。
掃除、ベッドメイク、アメニティの魅せ方、レストランのウエイトレス、料理の仕込み、接客サービス等々…….。
超常能力やら万武・六色やら、きな臭いことばかり学んできたレンナにとって、社会での初仕事は新鮮だったに違いありません。
初めはね……嫌々やってたんですよ(笑)
でも、両親やお弁当を監修してくれるモラル家の料理長アントニオ、それに仕事の世話係のケイシーや先輩方と接するうちに考えが改まっていくんです。
それにしてもレンナって大人としか付き合ってないなぁ。
両親がここぞとばかりに昔気質な教育をしたので、彼女はすごく古風な女の子になりました。
ただ同じ時期にファイアートがモラル家に居候していたので、大人しくしてられなくて、お転婆ぶりを発揮していたようですが。
以上の話は未公開の『レンナの仕事ノート』よりの抜粋でした。
う~ん、これが甚だしく未完成の作品なんですよ。
公開にはいろいろ梃入れが必要でしょう。
ヴィオレッタ・バレーの設定自体はとても気に入っています。




