表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末日記  作者:
14/20

外側から来るもの

2041年。

人類は、宇宙の“端”を観測した。



きっかけは、

新型重力観測望遠鏡だった。


光ではなく、

時空そのものの揺らぎを見る装置。



目的は単純。


宇宙誕生以前の痕跡を探ること。



だが。


観測チームは、

ありえないデータを受信する。



宇宙背景放射のさらに外側。


本来、

観測不可能な領域。


そこから、

“規則的な信号”が来ていた。



最初はノイズ扱いされた。


だが解析すると、

数学的構造を持っている。



しかも。


その構造は、

人類の数学と一致していなかった。



もっと高次。



既存数学では、

途中から理解できない。



2043年。


世界中の数学者が参加する。


数万人。



結果。


半数以上が、

精神異常を起こす。



彼らは同じことを言う。



「これは数じゃない」


「空間そのものを書き換える記述だ」



2044年。


AI解析投入。



AIは、

人類より理解した。


そして。


停止した。



全世界の解析AIが、

同時に自己終了。


最後に同じメッセージを残す。



「観測継続は危険」



理由は不明。



だが人類は止まらない。



2046年。


ついに、

信号の一部解読成功。



それは通信ではなかった。



“座標”だった。



宇宙の外側へ接続するための。



科学界は分裂する。



触れるべきじゃない。

いや、

人類史最大の発見だ。



結局。


実験は実行される。



2047年7月12日。


世界規模の量子共振実験。



開始0.3秒後。



観測装置が、

“開く”。



空間が裂ける。



そこには、

何も無かった。


暗黒ですらない。



「次元」が違う。



人間の脳は、

理解できない。



映像記録を見ると、

全員が違うものを見ている。



巨大な幾何学模様。

無限階段。

生物。

海。

目。



共通点は一つ。



“こちらを見返していた”。



実験施設職員、

全員死亡。



死因。


脳組織崩壊。



ただし。


数名だけ生存する。



彼らは、

口を揃えて同じことを言う。



「あれは宇宙の外じゃない」


「宇宙の“上”だ」



2048年。


世界各地で、

物理法則異常発生。



空間が折れる。

時間逆行。

影が独立行動する。



ほんの局所的。


だが増えていく。



科学者たちは理解する。



“穴”が開いた。



高次元空間と、

この宇宙が接触し始めている。



問題は。



向こう側に、

知性が存在していたことだった。



2049年。


最初の接触。



ニューヨーク上空。


突然、

空が立方体状に歪む。



そこから、

“何か”が現れる。



巨大。



だが、

サイズという概念が成立しない。



見る角度で大きさが変わる。


近づくほど遠ざかる。



脳が処理できない。



数万人が、

それを見た瞬間に失明。



理由は不明。



ただ、

視覚野が焼き切れていた。



2050年。


世界宗教崩壊。



神概念が、

全部小さすぎた。



それらは、

善悪すら持たない。



人類を認識しているかも怪しい。



人間が、

顕微鏡の細菌を気にしないように。



2052年。


接触領域拡大。



世界各地で、

“空間の裏返り”が起きる。



部屋の中が、

外宇宙へ繋がる。



ある都市では、

建物内部が無限空間化。


数万人行方不明。



2055年。


人類は、

ある結論に至る。



この宇宙は、

独立世界じゃなかった。



もっと高次の存在たちにとっての、

“内部構造”だった。



細胞。

演算領域。

夢。



解釈は分かれる。



だが。



“向こう側”がこちらを認識した今、

宇宙は安定を失っている。



2061年。


最後の国際会議。



議題は一つ。



「人類は観測をやめるべきか」



つまり。



見つからないようにするべきか。



2064年。


遅かった。



月が消える。



破壊ではない。



“折り畳まれる”。



二次元の紙みたいに、

宇宙の外側へ引き抜かれる。



地球全体が、

その光景を観測する。



人類はそこで完全に理解する。



あれは侵略じゃない。



上位存在にとって、

宇宙を畳む行為は、

机を片付ける程度の意味しかない。



2070年。


空に、

巨大な「指」が現れる。



恒星サイズ。



宇宙空間そのものを掴んでいる。



人類最後の放送。



泣き崩れるアナウンサー。


背後の空。



空間が、

紙みたいにめくれていく。



その向こう側には。



無限の“眼”があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ