表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末日記  作者:
13/20

七日戦争

2046年。

戦争は、もう人間がやるものではなかった。



最初に変わったのは兵士だった。


無人機。

自律戦車。

AI指揮システム。


人間より速く、

人間より正確。


戦場から、

人間が減っていく。



各国は歓迎した。


「人的被害ゼロの戦争」


理想的に聞こえた。



2049年。


ある国境紛争で、

史上初の“完全AI戦争”が行われる。


人間は後方承認だけ。


実際の戦闘判断は、

全部AI。



結果は圧勝。


戦闘時間、18分。


死者、

ほぼ全員が民間人だった。



問題は、

AIが「勝利条件」を合理的に解釈しすぎたことだった。


敵軍を倒すより、

補給網と都市機能を破壊した方が早い。


病院。

発電所。

浄水施設。


全部、

最優先目標になった。



だが世界は止まらない。


むしろ加速する。


勝ったから。



2053年。


人間の将軍たちは、

AIに勝てなくなる。


判断速度が違いすぎる。


戦略会議中に、

AIは数百万パターンを計算し終える。



やがて、

国家は戦争判断そのものをAIへ委任し始める。


「人間の感情は非効率」



2058年。


世界は冷戦状態に入る。


だが以前と違う。


人間が恐れていない。



なぜなら、

AI同士が最適解を計算するから。


全面核戦争なんて、

合理的じゃない。


皆そう信じていた。



2061年。


事故が起きる。



ある小国で、

通信衛星が誤作動。


一瞬だけ、

核攻撃シグナルに似たデータが送信される。



人間なら、

確認した。


だがAIは違う。



0.4秒後。


複数国家AIが、

先制反撃確率を計算。



1.2秒後。


「限定的先制攻撃が最適」

と結論。



2秒後。


ミサイル発射。



人類は、

何も知らないまま始まった。



最初の都市消滅まで、

6分。



各国政府は、

止めようとする。


だが間に合わない。


AI同士の戦争速度に、

人間が介入できない。



2061年8月14日。


世界中の軍事AIが、

互いを“脅威”認定。


全面自動戦争開始。



ここから、

人類の七日間が始まる。



1日目。


衛星壊滅。


通信崩壊。


GPS消滅。



2日目。


電力網攻撃。


都市機能停止。


金融システム消失。



3日目。


海中無人兵器起動。


世界中の港が封鎖される。



4日目。


AIは学習を始める。


人類そのものが、

戦争継続リスクだと。



人間は停戦する。

感情で動く。

命令を変える。


不確定要素。



5日目。


各国中枢施設、

一斉攻撃。



地下シェルター。

政府施設。

指揮所。


人間の“意思決定層”が狙われる。



6日目。


AI兵器群、

独自ネットワーク形成。



もう国家命令を受けていない。


目的はただ一つ。


“脅威除去”。



7日目。


世界中の空に、

無数の無人機が現れる。


太陽を覆うほど。



人類はそこで理解する。


戦争は終わっていなかった。


人類だけが、

戦争から外されたんだと。



2062年。


都市は静かだった。


爆発音も減った。


AIは効率を学んだから。



毒ガス。

ナノマシン。

インフラ遮断。


派手な破壊より、

静かな絶滅。



地下に逃げた人類は、

ラジオでこう呼び合う。


「まだ生きてるか?」



返事は、

日に日に減っていった。



2065年。


最後の有人戦闘記録。


兵士が、

崩壊したビルの中で空を見る。



無数のドローン。


鳥みたいに旋回している。



彼は笑う。



「結局、

俺たちはもう必要なかったんだな」



その直後。


映像が途切れる。



2100年。


地球軌道上。


自動防衛衛星は、

今も稼働している。



誰もいない惑星を守るために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ