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精霊召喚、この造形は……。一石二鳥の手段とは……。

エル・クラボ―――

フィーナ姉が奴隷商人に捕まり、商品とされた時、買い取った主人に逆らわない様魔法で召喚された精霊。普段は眠っているが、名前を呼ばれる事で目を覚まし、激痛を与える事で奴隷を屈服させる。精霊の名前を知れば誰にでも精霊を起こす事が出来る陰湿な魔法である。現にアルフィオレの町で冒険者三人組がフィーネ姉に使用している。


その名前をアルジュナさんが使用した。今何故その名を口にしたのか分からず混乱する。


「アルジュナさん、何のつもりですか!?」


僕はアルジュナさんを黙らせようとしたが続けて唱えた呪文を聞いて僕は動きを止めた。


「フィーナレイクスを縛る者! エル・クラボよ! 我は汝の真の名をもって命じる! 我の前に姿を現せ!」


「アルジュナさん、何を……」


「まあ、見ておれ。フィーナを縛っとる服従の魔法など……」


アルジュナさんは急に押し黙る。アルジュナさんは真剣な表情で光の柱の中で倒れているフィーナ姉を見ていた。僕もフィーナ姉に視線を移すとフィーナ姉に明確な変化が起こった。

フィーナ姉の体から黒い靄の様なものが浮かび上がったのだ。それは凝り固まり球体になる。球体がグニャグニャと伸び縮みし形を成した。大きさはアルジュナさんと同じくらい、全身真っ黒、逆三角形の頭、細い手足に動体、蝙蝠の翼に触覚、尻尾を生やしていた。それはキーキーとかん高い声でこちらに抗議をしているかのように声を上げていた。


「あれがエル・クラボ……フィーナ姉に憑りついている精霊。でもあれは精霊というには……」


その邪悪な嫌悪を与えるその姿に久坂さんの記憶が答えをくれた。


―――悪魔

久坂さんの世界の宗教では神の敵とされる邪悪な存在、悪霊。神に逆らった天使が地獄に堕ちた堕天使。結界の中にいるものは精霊と呼ばれる者からは明らかに外れている、久坂さんの記憶から引き出された情報がしっくりくる。


「カイル、見ておれ。フィーナを服従の魔法から解放して見せるぞ! それからエルヴィラも見ておれ。精霊はお主の周りにいる者だけが全てではない。こういった邪悪な存在もいるという事を!」


「ハイッ!」


エルヴィラさんは力強く頷く。


「……アルジュナさん、フィーナ姉を助けてあげて下さい」


「任せておけ!」


アルジュナさんは僕たちに力強く微笑むと光の柱に近づく。僕とエルヴィラさんもそれに続く。


「……さて、お主がエル・クラボか?」


アルジュナさんが低い声で尋ねるが、エル・クラボはキーキーとしか答えない。何を言っているのか分からないがアルジュナさんには通じているようだ。


「『お前に名乗る名前はない』とな……ふざけた事をいいおるな……エル・クラボに命じる、跪け!」


その途端空中に浮いていたエル・クラボは地面に叩きとされ、そこから立ち上がる事が出来ない。見えない手で頭を地面に押し付けられ無理矢理土下座をさせられているようにも見える。そんな事をやってウットリした表情を見せるアルジュナさんに僕とエルヴィラさんはゾッとする。僕の脳裏にドSの女王さまという言葉が浮かび上がるが意味は考えないようにした。あまりいい意味ではないだろう。


「無様よのう。どんなに強がろうとも力のある術師に名前を知られた時点でお主に勝ち目は…ない…」


勝ち誇ったアルジュナさんの語気は徐々に力を失い、押し黙ってしまう。ぶつぶつと小声で何かを呟いている。


「何故、こやつの名前を知る事が出来た? この精霊の名前を知るのはカイルの血縁者あるいはフィーナに魔法を仕掛けた魔法使い。魔法使いが冒険者に精霊の名前を伝えてどうする? カイルやフィーナを害する動機がない。動機があるのはカイルの関係者の方じゃろうな。フィーナを買い取った時にエル・クラボの名前を知った筈じゃろうし……。カイルを害するのが目的じゃったんじゃろうけど見事に撃退され、カイルに名前を知られてしまった。これは拙すぎじゃろう? むしろ名前を知らせたかったのか? フィーナから服従の魔法を解除させたかった者がカイルの関係者にいるという事か? そ奴は何を考えておる?」


アルジュナさんはウンウン唸っているが答えは出ない。僕の関係者についての情報があまりないからだ。


「考えるのはやめた。だが、その何者かの思った通りの展開になるのは少し気に入らぬな……」


アルジュナさんはしばらく考え込み。いいことを思いついたというようにポンと手を叩く。


「これはいい、いいぞ。ワシ、天才じゃのう!」


「アルジュナさん、自画自賛しすぎじゃないですか?」


「これは本当にいいアイデア何じゃ。うまくいけばフィーナにかけられた魔法は解除されるし今以上に強くなれるかもしれんぞ」


「今以上に?」


「うまくいかなくても魔法は解除されるしワシらは全く困らん。ここは一石二鳥を狙ってみんか?」


最低でも魔法は解除されるなら困る事は全くない。僕はアルジュナさんの提案に賛成した。


「よし、言質は取ったぞ」


アルジュナさんがニヤリと笑ったので僕は不安になる。


「本当に何やるつもりですか?」


「任せておけ」


「絶対に変な事はしないでくださいよ!!」


「しつこいっ!!」


アルジュナさんに怒鳴られた。理不尽だ。












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