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氣功治療の副産物、冒険者無残に散る!!

「実際の話、具合はどう? 本当に大丈夫?」


この世界では魔力は実在しているが氣については全く知られていない。魔法での治療技術はあっても氣による治療技術は存在していない。故にどんな不具合があるか分からないのだ。久坂さんの知識の中には不具合についての項目はないし、もし何かあったら僕自身で何とかしなければならない。だからこれから数日はこうやって体の不調について聞いていこうと思う。

フィーナ姉は僕の問いに首や手足を軽く回し、屈伸して体の具合を確認する。


「ちょっとおかしいかも……」


「具体的にどうおかしいの?」


何か失敗したのかと焦るが僕が思っていたのとは全く違う答えが帰ってきた。


「……すごく体の調子がいいの」


「……へっ?」


「あの服従の魔法が発動すると体が激痛に走って数日は動けなくなる。話す事も出来ないくらいなのに今こうやって話せること自体奇跡に近い……もしかしてカイル君が何かやってくれたの? そのせいでカイル君、そんなに顔色が悪いの?」


(フィーナ姉鋭い……というかこの状況じゃそれしか思いつかないか……どうにかして誤魔化さないと……フィーナ姉思い詰めてしまう)


「いや、それは違うよ。これは……そう、冒険者三人組との闘いでちょっと痛くて……イタタッ!」


僕はわざとらしくわき腹を押さえていたそうな顔をする。僕の演技をフィーナ姉はどう見るか……?


「カイル君ちょっとお腹見せて!!」


フィーナ姉は僕のへたくそな演技を見抜けなかったようだ。フィーナ姉は僕を押し倒し服を引っ剥がそうとするので脱がされない様必死に服を押さえる。


「フィーナ姉やめてよ! 服脱がさないで!」


「いいから見せてみて……大丈夫、イタくしないから……」


「何か違う意志を感じるよ、フィーナ姉!!」


不意にフィーナ姉は手を止める。そして僕の耳元で呟く。


「……実はね、もう一つおかしい所があるの……」


「おかしい所って……体のどこがおかしいの?」


「体は調子がいいの、ホントに……ただ……スゴく……ムラムラしてるの」


「ハイ~??」


予想外の答えに僕は素っ頓狂な声を上げる。


「お姉ちゃんはしたないと思うよ。でも、もうどうしようもないの。だからお願い、お姉ちゃんと……」


フィーナ姉が再び動く。僕の服を脱がしにかかる。上着ははだけ、上半身は外気に晒される。僕の裸を見てフィーナええはいよいよ鼻息を荒くする。僕の胸に何か生ぬるい液体がポタッポタッっと落ちる。フィーナ姉は鼻をすすりながらズボンの方に手をかけてきた。これだけは脱がされまいと僕は必死に掴む。


(氣功治療、予想の斜め上の効果があった。フィーナ姉が何をしようとしているのか分からないけど、これ以上されると何か大切なものが奪われてしまうような気がする!?)


「フィーネ姉……お願い……ヤメテ」


僕は悲し気に儚げに言う。力じゃかなわない以上情に訴える事にした。これが効いたみたいでフィーナ姉の手が止まった。


「カイル君はお姉ちゃんが嫌い?」


「嫌いじゃないけど無理矢理はいけないと思います」


「無理矢理じゃねければいいんだね。じゃあ許可を取ろう」


「許可って?」


「カイル君、お姉ちゃんと✖✖しよう」


(何だろう……フィーナ姉が何言ってるのか分からないよ。僕の氣でフィーネ姉の変な所が引き出されてしまったみたいだ……どうにかして氣を抜かないと……)


自分の氣を送る事は出来るけど他人に氣を引き抜くにはどうしたらいいのかと考えていると、天は僕を見捨ててはいなかったようで救いの手を差し伸べてくれた。

真っ暗な路地にボウッとかすかな光が灯ったのだ。その光はゆっくりとこちらに近づいてきた。


「イテテ……チクショウ、あのガキが……野郎の住んでる場所は分かってるんだ。今度は家を襲ってやる、必ず殺してやるから覚悟……あ、お前!!」


近づいてきたのは僕を襲った冒険者三人組の一人だった。強化の魔法で僕を苦しめた奴だ。冒険者は僕の今の状態を見てゲラゲラと笑い出した。


「助けようとした相手に襲われてるのか、坊主? 所かまわず盛ってるんだからやっぱ獣だわ。結構、結構、存分に獣欲に狂っとけ。てめえらにはお似合いだわ……フィーナ・レイクスを縛る者……」


冒険者が呪文の詠唱を始めた。


(マズイ、フィーネ姉がまた!?)


呪文を止めなきゃと動こうとするがフィーナ姉に押さえつけられている為、僕は動けない。


「フィーナ姉、離して!! 呪文の詠唱を早く止めないと!!」


不意に僕を押さえていた力が消失した。フィーナ姉の姿も消えていた。フィーナ姉は僕に負担がかからない様に、尚且つ高速で冒険者の前に移動し右手で冒険者の口を塞いでいた。凄まじい力で握りしめている為、顎や頬から骨が軋む音がした。


「私が呪文をノンビリと唱えさせると思っているのですか? 私だけじゃなくカイル君も傷つけて……あなただけじゃなくあと二人にも罪を贖ってもらいたいんですけど……あなた一人で二人分贖ってもらいましょうか……」


冒険者の傍に浮いている魔法の明かりがフィーネ姉の顔を照らす、フィーネ姉は僕には決して見せないだろう凄みのある笑みを浮かべていた。フィーナ姉は右手にさらに力を籠める。冒険者の頬や顎からゴキャッ!! という嫌な音が聞こえた。その後フィーネ姉の手から多量の血が流れる。その血は冒険者が流したようだ。冒険者なくぐもった悲鳴を上げた。


「じゃあ……死になさい!!」


フィーナ姉は右手を離し、冒険者の血にまみれた手で冒険者の腹部に拳を入れた。その凄まじい力に冒険者の体が浮いた。そこで冒険者が作り出した魔法の光が消えてしまいまた暗闇にに包まれたため冒険者がどうなったのか分からない。ただ、しばらく高速で移動する音、それから、ゴギャ!! バキッ!! メキャッ!! グシャッ!! バカンッ!! と聞いているだけで体中に激痛が走るような音が周囲に響き渡っていた。その音が止まり周囲は静寂にに包まれた。


「フィッ、フィーナ姉!!」


「何、カイル君」


声は僕の後ろから聞こえてきた。フィーナ姉は後ろから首に腕を回し、体を預けてきた。


「チョッ、音もなく後ろに立たないでよ」


「カイル君、修行が足りないよ」


「ウウッ。精進します……ところであの冒険者は?」


「さあ……」


「さあって……」


「いいの、悪党に人権なんてないんだから!! それよりいい加減この路地から出ようよ。泊る所も探さないといけないんだし」


僕は手を引かれこの場を後にする。暴れた事が功を奏してフィーナ姉をおかしくしていた氣がうまく抜けたみたいだ。元に戻ってほっとしたがその為に犠牲になった冒険者には多少同情する。あくまで多少で大半は自業自得としか思えないんだけど……。











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