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冒険者との闘い 反撃の手段

ヘンな気分だった。指先一つ、髪の毛の先にまですさまじい熱が込められているのに頭は冴えきって、いやむしろ冷え切っていた。


「カ……イル…ク……ニゲ……テ」


体を駆け巡る苦痛に呻き、動く事さえ出来ない。それなのに僕を心配し逃げるように言うフィーナ姉。


「この状況で逃走はないよ、フィーナ姉……今すぐこいつらを倒してフィーナ姉をその苦痛から解放する方法を聞き出すから待ってて」


僕のセリフに三人組の一人が呆れたというように溜め息をついた。


「自分が英雄か勇者にでもなったつもりか? 怒り一つでこの状況何とか出来ると思っているんならただのバカだ。頭湧いてるとしか思えんぞ?」


「こういう馬鹿は一度現実を見せるべきだな……殺さない程度に痛めつけるぞ。それで奴隷商人にでも売りつけて金にしよう。こういう見目のいい男は獣人よりも高値で売れるぞ」


「ウホッ、それいいな、そうしよう! しばらくは豪遊できるぞ!!」


三人組の目が敵から獲物を見る目に変わった。


「こいつは金づるだ、顔は狙うな。だがそれ以外はたっぷり痛めつけるぞ!!」


「「オオッ!!」」


三人組は僕の正面、そして左右に移動する。僕の後ろには壁がある為、三人組は後ろを取る事が出来ない。三人組はじりじりと距離を縮めてくる。長剣の間合いになり、僕の正面にいる男が剣を振り上げる。それと同時に僕は左足を一歩前に踏み込む。そうする事で剣の間合いを殺し、拳の間合いになる。攻撃に意識が向いていた冒険者は防御する事が出来ない。

僕の踏み込みの早さにギョッとし固まる冒険者。僕の行動は終わらない。前に伸ばしていた左掌を左腰に引き、右腰の右掌を拳にし突く。突くと同時に後ろの右足を左足に添えるように置きにいき、強く踏み込む。引いた左掌、そして突き出す右拳、その動きで腰が回転、強く踏み込む事で拳に突進力が加わる。更に丹田の氣が上昇し拳にさらなる威力が生まれる。それだけの力が収束された拳が冒険者の胸部に炸裂する。革鎧越しとはいえこの威力は殺せるものではなかった。革鎧が拳の形にめり込む。一瞬信じられないという顔をした後、血反吐を吐いて崩れ落ちた。人に危害を加えたというのに僕には何の感慨もなかった。怒りの籠った眼で僕を囲う二人の冒険者を見た。


「ヒィッ!?」


左右にいる冒険者が悲鳴を上げて後退る。


「……フィーナ姉に何をしたのか分かりませんが治せるのなら治してください。そうすればあなた達には手を出しません。僕が倒したその男も治療できると思いますけど……」


僕の提案に残り二人組はポカンとしたと思ったら殺気の籠った眼で僕を睨みつける。


「テメー、舐めてんじゃねえぞ!!」


冒険者の一人がメチャクチャに長剣を振り回してくる。僕にでも分かるぐらい拙い攻撃だった。簡単に避けられるし、長剣を振り回すせいで壁に長剣が当たって振り切る事が出来なくなっている。こんなのが冒険者なのかと呆れながらも拳を打ち込もうとするが打ち込む事が出来なかった。冒険者と僕の拳の間に長剣が突き出されていたからだ。もし、拳を打ち込んでいたら長剣が僕の腕に突き刺さっていた事だろう。


「囮役、ご苦労!」


「おせえよ、もう少しでやられるところだったぜ……」


見苦しいふりをした冒険者は僕の脇を走り抜け、剣を突き立てた冒険者の後ろに逃げる。冒険者の体は淡い光で覆われており、体が一回り大きくなったように見えた。


「何の輝きだ!?」


「お前さん、思ったより手強いんでちょっとした魔法を使わせてもらった。これを使ったからにはもうお前に勝ちはねえぞ……」


そう言った次の瞬間冒険者の姿が消えた。そして体中に痛みが走った。何か鈍器で殴られたようなそんな感じだ。僕は痛みに耐えられず膝をついた。


「……何だ!? 何をされた!?」


困惑する僕の後ろで笑い声が聞こえた。後ろを振り向くとそこにいたのは淡い光を放つ冒険者だった。


「体を覆う光が見えるか? 魔法で体を強化するとこういう風に体が光る。強化と言っても素の能力の四~五倍ぐらいしか強化出来ないがお前相手なら十分だ……お前は少々調子に乗っているみたいだからトコトン痛めつけてやる。覚悟しろよ!!」


また、冒険者の姿が消えた。そして体中に痛みが走る。高速で動き長剣で何度も攻撃しているようだ。攻撃がどこから来るか分からずうずくまる。僕の情けない姿に冒険者は嘲笑する。


「お前は大事な商品だから殺すような真似はしないがたっぷり痛めつけてやるぜ……しかし情けない姿だな。俺たちを殺すってか。そんな様で俺たちをどうやって殺すってんだが? 世間知らずのお坊ちゃんが吹いてくれたな……その代償はその体で支払ってもらうぜ」


気を失わない様、頭だけは防御しながら反撃の方法を考える。


(強化の魔法で攻撃力、防御力、敏捷性共に向こうが上。ああいう悪党でも経験豊富な冒険者。油断でもしてくれない限り僕に勝ち目はない……せめて攻撃がどこから来るか分かれば……)


僕は前方を見る。反撃の手段となる何かがないかと見渡しそれが目に入った。それが手段になるかどうか分からない。それでも僕は自分の勘を信じて走った。走り出した僕を見て冒険者は逃げ出したのだと判断した。


「勝てないと分かったら逃げるか。現実が分かってきたじゃないか……これが現実だ!! 逃げろ、逃げろ、獣メイドを置いて逃げろ……だが、逃がしはしない、たっぷり後悔しやがれ!!」


後ろで僕を嘲笑う冒険者の声を聞きながら僕はそこへ飛び込んだ。冒険者も僕の後を追いそこに入った。


「ここは……」


冒険者は顔色を変えた。僕の考えは間違えていなかったようだ。











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