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クリスマスにサンタはやってくる

いつからだろうか。外を歩くと白い息が出るようになった。

また日が落ちるのも早くなった気がする。

どういうわけか誰かと共に過ごしたくなるような気持ちになる。

そしてナツの服装も変わり、さらに可愛く見えてくる。

特に目標を決めて生きているわけでもないので、一日の終わりを早く感じる。

そんな一日でも、ナツの事は毎日考えてしまう癖がついてしまった。

僕にとっては、関係のない一つの行事、クリスマスが翌日に訪れようとしているが、今年のクリスマスだけは違う。

すでにもういつものメンツで、いつものように過ごす約束をしている。

何日後に用事があると、一日の終わりがすこし長く感じてしまう。


当日バタバタと物を買いに行くのが面倒なので、ナツと鈴本が買い出しに行き、僕とサルはみずき荘に残り、2人で一昔前のゲームソフトで盛り上がっていた。

すると、出かけたはずのナツが息をきらせて戻ってきた。

手には一枚の封筒を握りしめている。

「なんだ、それ?」

「トオル・・・来てたよ」

それは、最近応募したアニメ会社からの合否の結果が書かれた封筒だった。

僕は、それをすぐにナツから奪うと封を切り中身を確認した。

一目見て、僕の周りは黒く染まった。

「どうだったの・・・」

ナツの言葉にただ「落ちたよ」の一言だけを告げた。

もう話しかけないでくれと祈っても、ナツは人の心を読める者でもないのでトオルの暗くなる顔を見ながらさらに問いかけてくる。

どうしていつも知られたくないことを知られてしまうのがナツなんだ?

どうしてこんな時にいつもナツがそばにいるのか?


「はやく・・・はやく行けよっ!」

僕は大声でナツに言ってしまった。

ナツは一瞬ビクつくと表情を変え、言って来る。

「どうして、トオルばかりこんな目にあうの?」

僕はその言葉に目を見開きナツを見つめた。

いつものゆっくりとした流暢でない喋り方とは真逆で驚いた。

驚いたついでに小さい声で聴き返した。

「私も自分で何が言いたいか分からないよ。でも・・・」

何か言いたげなナツを見続ける。

「でも・・・どうしてもトオルの事が気になるの」

これは告白なのか?それともただの・・・

そんなことを考えているうちにナツは階段を下り、目の前にはすでに姿がなかった。

僕は自分が嫌いになる時がある。それはいつもナツに対しての態度だ。

一人になりたくてサルを部屋から追い出した。

ベッドの上に横たわり目をつむった。

床にはサルを追い出した後、結果の紙を小さく破り捨てたのが散らばっている。

しばらくして瞑っていた瞼をゆっくりと開いた。

どうやら小一時間眠っていたらしい。

暗闇に視界が慣れて来た頃、頭の横にある壁から「ドン、ドン、ドン」とノックをするような音が突如聞こえる。

ナツが叩いているんだとすぐに理解した。

聞こえる回数だけ何気にこっちも壁を叩いてみると次は玄関のドアからノックする音が聞こえる。

首から頭を上げて、息を殺して玄関の方を見ているとゆっくりとドアが開く。

そこには廊下の電灯で灯されるナツの姿があった。


「入ってもいい?」

僕は首元の筋肉が疲れ、枕に勢いよく頭を下して「うん」と言った。

ナツが部屋に入り、ドアを閉めると部屋の中はまた暗闇に覆われた。

せっかく暗闇に慣れたのに今度はナツの姿さえ見えない。

でも、なにか大きな個体が近づいてくるのが分かる。

そしてベッド上に乗り、布団をめくり始めた。

「ちょ、何やってんだよ!?」ととっさに言うとナツは「一緒にいよ」と甘い声で言った。

心臓の鼓動が尋常なく早くなるのをばれないように必死で抑えた。


「いつもこうしたいって思ってた」

ナツの物静かな顔とは裏腹に大胆な発言に焦りながらも「僕も」と言った。

「でも、こうして一緒にいれることも長くないんだよね」

「うん」

「私は多分今のトオルが好き」

僕は何も言わず黙っているとナツはお構いなくしゃべり続ける。

「ここにいるトオルが好きなんだと思う」

前にナツが言ったことを思い出し、なんとなく問いかけてみた。

「今の僕は好き?」

ナツはその言葉に少しためらった。

「好きだけど・・・本当に?と言われるとトオルよりも思ってないかもしれない」

「そっかぁ・・・」

「でも、今、この時間だけが何故かすごく好きになってるのが分かるの」

僕はナツに背中を向けて、壁の方に顔を向けた。

「なら、このままでいよう。もうこれ以上下手な事して嫌われたくない」

ナツもトオルに背中を向け、見えているのか分からないが床の散りばめられた紙くずを見ながら「うん」と言った。

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