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死の運命にある女性3

今回は少し慣れないタイプ書いたので、もしかしたらふわっとしているかもしれません。

「今すぐキアス先生を!ご当主様にもお伝えしろ!」



 今、公爵家の屋敷内は侍従達があちこちを行き来しており、騒然としている。理由は、リース公爵夫人の容態が変化したからだ。高熱を出し、意識が戻らない。パージ公爵は王都に仕事に行っており、今この場で公爵家を動かすのは、ティオ小公爵だ。



「キアス先生が来るまであとどれくらいだ?」



「恐らく診療所にはもう馬車が到着しているはずです。あと数分かと」



「父上は?」



「ご当主様も事態を聞きつけ既に公爵邸に向かっております」



「わかった。キアス先生が来るまでの応急処置は侍女達に任せる。残りは他の貴族からの対応だ」



 ティオ小公爵が侍従達にテキパキと役割を振り分ける。こういうところはさすが次期公爵。と思うが、今はそれどころではない。容態が変化したリース公爵夫人を見つけたのは私だ。



 実は、リース公爵夫人に「夜も話しましょう!」と言われ、約束した時間に行くと熱を出して床に倒れているリース公爵夫人を見つけた。急いで周囲にいる侍女に説明をし、今この状況になる。



「キアス先生が到着されました!」



「ティオ君!リース殿の容態は!?」



「すみません。今、私は父がいない間の執務で忙しく。母の部屋にいる侍女か、レシーに聞いてください。何か必要

なものがあればすぐに用意します」



「わかった。ならば、レシー君、リース殿の容態は?」



 キアス先生は前に見たほんわかな印象の顔とは全然違う、切羽詰まった顔だ。キアス先生にとって公爵家は長年お世話になっている存在。今はもう夜遅くだが、急いで駆けつけた。



「私が発見した時は床に倒れており高熱を出していました。今は意識が戻らないようです。応急処置として濡れたタオルで頭や首などを冷やしています。寒さで震えているということはないです」



「わかった」



 リース公爵夫人の部屋につくと、メリンさんとその他の侍女の皆さんが必死に看病していた。メリンさんはそこまで必死ではないが。キアス先生が部屋に入ると侍女の皆さんは安心の表情を浮かべる。それほど、使用人達からも信頼できる医師なのだろう。



「熱は何度だったかの?」



「40度を超えておりました!熱を出して、意識がないという以外は体に何かしらの症状は出ていません!」



「これを誰かリース殿に飲ませてくれ。息子が作った薬だ」



 キアス先生がカバンの中から出したのは、紫が買った錠剤。キアス先生の息子さん、王宮の薬師団長が作った薬のようだ。侍女の皆さんは急いで水を用意し、リース公爵夫人に飲ませる。そのあとはキアス先生の指示の元、次々と処置をしていった。




「まだ熱は引かんが、今日は大丈夫じゃろう」



「キアス先生。妻を助けてくださりありがとうございます」



 あの数分後、パージ公爵が「リースは無事か!?」と大声で屋敷に入ってきた。その時点ではすでに処置は終わっていたので、今は別室に来客用の部屋で話をしている。



「今日はこの錠剤を飲ませたが、これは急な熱にしか対応できん。今日からはこの錠剤を毎日朝に2錠飲ませておいてくれ」



「ありがとうございます......!」



 パージ公爵を下を向いて感謝ばかりを述べている。妻が死ぬかもしれなかったのだ。泣いてもおかしくないだろう。ティオ小公爵は先ほどから何も喋らず、ただ黙ってキアス先生の話を聞いている。



「ティオも、私がいない間働いてくれてすまないな」



「.......いえ、俺は母上より執務を優先しました.....。申し訳ありません」



「いや、お前は次期公爵としての責務をちゃんと果たしている。謝る必要はない」



 ティオ小公爵が先ほどから黙っていたのはこれが原因か。確かに、ティオ小公爵は看病を侍女に任せていたが、それも次期公爵として務めたことなのだろう。リース公爵夫人をわかってくれているはず。



「して、レシー。其方も妻を発見してくれてすまない」



「いえ。それよりも——



「当主様!お話があります!」



 私が話そうとしている時に横切ってきたのは、またもやメリンさん。彼女はリース公爵夫人の看病にあまり積極的に動いていない。何の話なんだろうか。



「メリン。今話すべき内容か?」



「はい。奥様は今日の朝は元気に笑っておられました。ですが、夜に容態が急変したのです。もしかしたら、そこの護衛騎士が何かしたかもしれません!」



「何.......?」



 なるほど。メリンさんの狙いは、ティオ小公爵のそばに私がいると邪魔なので蹴落とそうという考えだろうか。一応、こちらは依頼を受けてティ小公爵の護衛をしている。そう易々と解雇できるものではないが、疑われるのは好きじゃない。



「それは本当か?レシー」



「いいえ」



「ならばなぜ奥様を発見できたの!?あなたが奥様を殺そうとして部屋に忍び込んだからでしょう!」



「違います」



 パージ公爵は眉間に皺がよっており、ものすごい恐ろし顔になっている。ティオ小公爵も睨んでいる。が、私ではなくメリンさんをだ。



「私は毎朝奥様と話していました。今日は奥様がティオ様に頼んで、午前中私は奥様の護衛騎士でした。昼を過ぎ、

ティオ様の護衛騎士に戻ろうとしたところ、奥様から「夜もお話ししましょう。8時になったら私の部屋に来て」て仰られたので部屋に向かうと、床に倒れている奥様がおられたんです」



「父上。レシーの話は本当です。レシーは毎朝、母上と仲睦まじく話しており、今日の午後「奥様から部屋に来るように言われているので、夜の8時には奥様のところへ向かってもよろしいでしょうか」と尋ねてきました」



 私がリース公爵夫人と話しているのは、専属侍女であるメリンさんも知っているはず。そしてすでに公爵家にはそれが知れ渡っている。これに関しては否定することができない。



「そうだな。確かにレシーがリースを偶然的に発見できたことは証明できよう」



「当主様。先程のお話ですが、奥様は床に倒れ込んでおりました。それも誰かに手を伸ばしているように。奥様が倒れた時に誰か、第三者がいた可能性があります」



 私がつい先程、メリンさんに横切られ言えなかったこと。そう、リース公爵夫人は床に倒れ込んでいたのだ。ベッドで寝ていて高熱を出していたなら、偶然的だろう。だが、床に倒れ込んでいるとなると、リース公爵夫人は立っていたのだ。それも誰かと。



「そういえば、メリンさんだったかの?あなたはなぜリース殿の専属侍女なのに、彼女のそばにいなかったんじゃ?」



 キアス先生の言葉で、メリンさんに視線が集中される。「やる気がなくサボっていた」などと喋ったら解雇されるだろう。恐らく、メリンさんのあの態度に疑念を抱いているのはリース公爵夫人とその周りの使用人達だけだろう。パージ公爵とティオ小公爵は少しだけ疑問を持っていたようだが。



「その時間、私は使用人ようの食堂で夜ご飯を食べておりました。もちろん、奥様にも了承をいただいております」



「ならば、それを証明できるものはあるかい?」



「一緒に食べていた侍女達です!」



 ティオ小公爵の出す圧に、メリンさんが怯んでいる。私も、ここまでの圧を出す者はパージ公爵ぐらいしかいなかったため、内心怯んでしまった。ティオ小公爵はメリンさんの話を聞くと、一緒に食べていた侍女二人を呼び出した。



「君たちはメリンと一緒に夜ご飯を食べていたかい?」



「は、はい。確かにメリンと一緒でした」



「ただ.......」



「ただ?」



「私たちが夜ご飯を食べれる時間は7時半から8時までです。ですがメリンは7時45分ぐらいからどこかに行っていて.......」



 侍女の一人の証言にメリンさんの表情が崩れる。私がリース公爵夫人を見つけたのは8時ぐらい。メリンさんが何かをしたのなら、7時45分から8時までの15分間。その間に、紅茶に何かを混ぜ込んだりなどは十分にできる時間。



「メリン。君は15分間、何をしてんだい?」



「じ、自室で休んでおりました」



「証明できるものは?」



「ありません......」



 つまり、メリンさん15分間、何をしていたかは不明。



「そ、そこの護衛騎士は何をしていたんですか......」



「私ですか。私は——



「レシーは私の執務室で執務を手伝ってくれていたよ。私と執事が証人だ」



 今度はティオ小公爵に横切られた。まぁ、私の無実を証明してくれているので、悪い気はしないのだが。



 そして、私は執務も手伝っている。ティオ小公爵には専属次女などはついていない。ついているものとしては、専属護衛、つまり私一人なのでほぼほぼ侍女のような仕事もしている。そのせいで「いつもすまない」と毎日のようにティオ小公爵に謝られるのだが。



「当主様!奥様が目を覚まされました!」x

〜小ネタ〜

キアス先生はパージ公爵が子供の頃から医師をしていますが、二十歳ぐらいの息子がいます。なぜ、キアス先生と息子の年が離れているのかはこれから.....。

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