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死の運命にある女性1

今回は他の2エピソードよりも五百字ぐらい短くなってしまいました。申し訳ございません。

私は、ティオ・アキラスに恋をしてしまった。

 生まれてから今まで恋など一度もしたことない。だからこそ、まだ自分が恋をしたなんて、信じられない。



「やぁ、今日もよろしく。レシー」



 いつも通り公爵邸に行くと、ティオ公爵子息がいた。

 ティオ小公爵は私を見つけると、笑顔で挨拶をした。一気に体が熱くなる。

 間違いない。やはり、私は恋をしている。



「今日は、母上が医療所に行くということで、俺たちも付き添うことになった。母上とは会ったことがあるか?」



「はい」



「ティオ。レシーさん。今日はよろしくね」



 公爵邸の庭で待っていると、車椅子に乗ったリース公爵夫人が現れた。

 どうやら、庭とリース公爵夫人の部屋はつながっているみたいだ。

 それにしも、車椅子を使うほど、病気の進行は進んでいるのか……。



「母上。体調は大丈夫ですか?」



「えぇ。最近は毎日元気なの」



「私が押しますね」



「ありがとう」



 よく見てみると、体が細い。

 栄養のある食事を出されているみたいだが、食べる量が少ないようだ。



「今日行く医療所は、公爵家ご用達の医療所なんだ」



「子供の頃、ティオが怪我した時によくお世話になったわね」



「母さん……」



 公爵家ご用達の医療所。

 確か、院長はパージ公爵が幼い時からの知り合いだとか。

 公爵家には信頼されている医者ということか。今後、会う機会なども増えそうだな。



「そうだ。レシーさん。この庭園、どうかしら」



「どう……、とは……」



「お気に召したかしら?」



「はい。とても綺麗で……。コレからの季節の移り変わりでどのように変化していくのか楽しみです」



「よかった。ここはね、夫が少しでも私に楽しんで欲しくて、私やティオの好きな花ばかりを植えてるの」



 ふむ。よく見てみると、数種類の花が主に植えられている。これが、リース公爵夫人とティオ小公爵が好きな花なのか。

 だが、とても色鮮やかで綺麗だ。パージ公爵は、執務室で会った時は、緊張感があり、厳しそうに見えたが、リース公爵夫人やティオ小公爵のことを大切に思っているのだろう。

 リース公爵夫人やティオ小公爵の顔を見ただけで、それが伝わる。

 すると、公爵家の庭園を抜け、街に出た。街には様々な人や馬車が行き交い、活気付いている。



「そういえば、レシーさんはどこに住んでいるの?」



「公爵家の領地の端っこの方です」



「あら、それはこの公爵邸に来るまで大変じゃない?」



「大丈夫です。朝の運動にもなるので」



 次期公爵の専属護衛となると、部屋を用意してくれるのだが、任務で離れる場合もあるので何かあった時に怪しまれてしまう。なので、部屋はいらないとパージ公爵に言ってある。



「あら、あそこの店にある髪飾りとか、レシーさんに似合わないかしら」



「あぁ。本当だ」



 リース公爵夫人が指を刺した方向を見てみると、蝶の形をした髪飾りだった。



「帰りに買っていきましょうか」



「レシー。貰ってくれるかい?」



「……はい」



 贈り物!?つい「はい」と言ってしまったけど、恥ずかしい……。



「どうした?少し顔が赤いが」



「だ、大丈夫ですので!」



 顔を覗き込まれるとさらに顔が赤くなる。リース公爵夫人はちょっと笑っているような……。




「おぉ。いらっしゃい」



「よろしくお願いします。キアス先生」



 数分歩いていると、「アキラス公爵領医療所」と書かれた建物に来た。どうやら、ここが今日目的の公爵家ご用達の医療所のようだ。



「おや?その子は?」



「新しく俺の護衛になった者です。レシー、こちら、お世話になっているキアス先生だ。」



「よろしくお願いします」



 私はそう言い、一礼をした。キアス先生は、よく物語などでみる穏やかなおじいちゃん医者、のような風貌だ。



「護衛だったか。てっきり婚約者かと」



 キアス先生の言った言葉に、私とティオ小公爵は「はい!?」と大声をあげてしまう。リース公爵夫人は何やら喜んでおり、キアス先生も「ふぉっふぉっふぉっ」と笑っている。

 ティオ小公爵まで赤くなってる……。私みたいな裏の人間には、釣り合わないほどの人間だというのに。



「そ、それよりも……」



「あぁ、そうじゃったな。リース殿の診察だな。奥の診察室に来てくれ」



 キアス先生はそういうと、医療所の中に入っていった。私たちも続いて入ってみると、医療所の中は清潔で、患者

と医師が楽しそうに話しているのを見かける。

 随分と奥だなと思いながら歩いていると、ようやく着いたようだ。大きな扉の隣には、「院長専用診察室」と書かれていた。

 どうやら、キアス先生はここの院長のようだ。



「懐かしいですね」



「ティオ君が子供の頃、怪我したたびに来ておったな。そうだ。パージ公爵は元気か?」



「はい。父上もキアス先生によろしくと」



「パージ公爵もよくここに来ておったな」



 話を聞いてみると、キアス先生はパージ公爵が子供の頃からここの医者をしており、国内、世界で有名な医者のようだ。

 ちなみに、なぜ私が知らないかというと、私たち裏の人間は、あまり医者に治療してもらうということはないからだ。あったとしても、闇医者だ。



「では、これから十分ぐらい診察するから二人は外の待合室で待っててくれ」



「わかりました。いこうかレシー」



 ティオ小公爵がそう言ったら、私は扉を開けてティオ小公爵が出て行った後に診察室を出て行った。そして、すぐそこにある待合室に二人で入る。



「レシーは王宮に行ったことはあるかい?」



「いえ……」



 王宮など、私たちは遠くから見るだけの存在だ。いつ見ても荘厳で綺麗な、エルディア王国が象徴する城。



「近々、王宮にある薬師団長に会いに行くんだ。母上の薬をもらいにね」



「ティオ様は薬師団長と知り合いなのですか?」



「あぁ。子供の頃はよく遊んでいて、キアス先生の息子なんだよ」



 キアス先生の息子が薬師団長。よくここに来ていると言っていたし、来るたびに遊んでいたのだろうか。

 しかし、親子揃って賢いんだな。薬師団に入るだけでも数ヶ月の勉強が必要になる。その薬師団の団長だと天才と呼べるほど賢いのだろう。

 そういえば、一ヶ月ぐらいに薬師団長が変わったと新聞に書いてあったな。確か、二十歳ぐらいの若い男性だった気がする。



「ティオ・アキラス様。診察が終わりました」



 看護師さんが、待合室の扉を開けて入ってきた。どうやら、診察が終わったようだ。何か、わかったことがあるといいのだが。



「キアス先生。何かわかったことはありましたか?」



「いや。何も、進展はなかった」



 そう聞くと、ティオ公爵子息は辛そうな顔をする。リース公爵夫人の顔は、もう覚悟している顔だ。



「残りは、もう、数ヶ月といったところだろう。一年は持たない。息子には伝えておく」



「診察ありがとうございます。キアス先生。ティオ、そんなに辛そうな顔をしないで?」



 キアス先生も暗い顔をしている。そんな二人を励ますようにリース公爵夫人は明るく笑って見せる。一番辛いのはリース公爵夫人だろうに。



「残りの数ヶ月楽しむために、レシーさん。私の部屋に来てくれないかしら。もちろん、毎日というわけではないのだけれど……」



「……わかりました」



「そうじゃな。少しの間だけでも楽しんだほうがいい」



 きっと、私も暗い顔をしているだろう。やっぱり、私は「優しい暗殺者」だ。




「ありがとうございました」



「うむ。息子にも色々伝えてあるから、もしかしたら、あっちの方で何か進展があるかもれしれない。希望が消えた

というわけではないからな」



「はい」



 私たちは、キアス先生とお別れをすると、来た道順で公爵邸に帰る。途中で、髪飾りを買ったが、その時のティオ小公爵は、無理をしているような顔だ。医療所に向かっている時の顔とは全然違う。



「レシー。数ヶ月の間、毎日、母上の部屋へ行ってくれないか?私も暇さえあれば行くことにするし」



「私はかまいません」



「私もよ。それに、レシーさんとはまだあって日も浅いから、いっぱい喋りたかったの」



 そんな話をしながら、公爵邸に着くと私はリース公爵夫人を部屋に送り、ティオ小公爵はパージ公爵に今日の診察結果を伝えに行った。

 それから、夜になり私は憂鬱な気持ちを抱えながら帰っていった。

後半は読む人によっては適当になっているかもしれません。少し夜遅くに書いていて、眠くなっているので本当に申し訳ございません。次の4エピソード目では、もう少し深い内容にしようと思っております。ご指摘いただくことがございましたら、教えてください。

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