表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

許されないという自覚のある恋

BKW大賞1に応募した作品、2エピソード目です。4月から来年の3月までに一作品を終わらせたいと思っていまして、応募しているこの作品を終わらせたいと思います。

  ティオ・アキラス公爵令息の護衛を始めて一週間。

 今のところ、何もない、普通の日常だ。



 今日は、領地の視察に来ている。

 領地といっても、公爵家の領地は広大だ。その中でも最も自然豊かな村、「ネイチャー」。

 公爵家の領地の中では農作物の収穫量が一位だ。

 そして、そんな土地に事件が起きたらしい。



「レシー。君はネイチャー村に来たことがあるかい?」



「いえ。一度、旅行できてみたいと思っていましたが……」



「ここは何度か来たことがあるのだが、ここの農作物は本当に美味しいんだ。収穫量だけでなく、質もいいから、王都の市場でも出回っている」



 確か、王族の料理でも使われているとか。

 一度、食べられるものなら食べてみたいな。



「そうなんですね。ところで、事件とはなんですか?」



「さぁ。僕も知らされていないんだ。父上から、事件が起きたとしか聞いていなくてな。ここで待っていれば、村長

がくる手筈だ」



 ティオ公爵子息がそういった後に、少しだけ小太りの男性が走ってきた。



「ティオ様!お待たせいたしました!」



「久しぶりだな」



 どうや、その小太りの男性がネイチャー村の村長らしい。

 いかにも、農家という格好をしており、麦わら帽子を首にかけている。



「それで、事件とはなんだ?」



 少し村の周りを歩いていると、ティオ公爵子息が村長に尋ねた。

 先ほどから気になってた話題だ。

 村長は少し、冷や汗をかいている。



「実は、狂獣が出たんです」



「狂獣だと!?」



 狂獣とは、その名の通り狂暴な獣のことだ。

 ただ、狂獣は少し違う。

 普通の獣が暴れていても、余程のことがない限り、そこまで被害が出ない。



 だが、狂獣となると話は別だ。

 普通の獣とは違い、攻撃や速さが高くなる。

 その代わり、現れるのは珍しいのだ。

 今までも年に数十回程度で、しかも、大体が森の中で発見されることがある。

 なので、こんな人が住む村で発見されることはごく稀なのだ。



「種類は?」



「猪です。被害は、男が一人怪我をした程度でした」



「今はどうしている?」



「さぁ。ただ、森の中にいるのは確かです」



 ネイチャー村は北が森、南が湖に挟まれている。

 森には、猪や熊など、様々な動物がおり、その肉や皮も質がいい。

 そんな、多種多様の動物が住んでいるから、当然、森も広大だ。



「どこで現れたんだ?」



「森の西側で狩りをしている時に現れたみたいです。逃げる時も西側だったかと」



「西か……」



 森の西側は川が通っており、洞窟や崖もある。

 多分、洞窟の中に巣を作っているのだろう。



「詳しいことは、この中にいるやつに聞いてください」



 そういって村長はどこかに行ってしまった。

 着いたところは、村の医療所。

 怪我をしたという男性が療養しているのだろう。



「あんたは、公爵家の人間か?」



「次期公爵、ティオ・アキラス様です」



 扉を開けると、頭や腕に包帯を巻いた大柄の男性が現れた。

 どうやら、彼が怪我をしたという男性のようだ。



「早速ですまないが、狂獣と出会った時、どのような感じだったか教えてくれないか?」



「あぁ。村長から、大体は聞いてるな?猪の狂獣だ。大きさは……、俺が両腕を広げたぐらいだ。力は、鉄の盾をへこますほどだ。それに、堅い。弓矢では跳ね返された」



「なるほど……。情報ありがとう。ゆっくり休んでくれ」



 ティオ公爵子息はそういうと、医療所を出ていき、私もその後についていった。

 それにしても、まぁまぁの大きさだな。これは、王都の方から騎士団を呼んだ方がいいんじゃないか?

 狂獣は鳥でもそれなりの被害を出す。



「どうされます?今日中に王都から騎士団を呼びますか?」



「いや、父上からは今日中に片付けろとの命だ。すまないが、君の力を貸してもらうことになる」



「わかりました。私が、猪の狂獣、討伐しましょう」



 狂獣の討伐は依頼でもたまに受けることがある。

 それに、依頼の途中で、討伐から逃げてきただろう狂獣と鉢合わせることもあるしな。



「よし、では、森を探索するか」



「ティオ様はここでお待ちを……」



「大丈夫だ。俺だって子供の頃から鍛えてもらっている。並の騎士には勝てる強さだ」



「わかりました。ただし、私の後ろにいてください」



「あぁ」






「見つからないな」



「そうですね」



 ティオ公爵子息と森を探し続けて一時間半ほど。

 動物は見かけたり、狂獣がいたという痕跡は見つけたのだが、狂獣はいくら探しても見つけられない。



「少し休憩するか」



「近くに川があります。流れも緩やかですのでそこで休憩いたしましょう」



 茂みを抜けると川があり、日の光が差し込んでいる。

 ネイチャー村の水は、透明度が高くそのままでも飲めるほどだという。



「ここは気持ちいな……」



「はい。あれ………」



「どうした?」



「いえ、あの洞窟、地図にはなかったような気がしまして」



 川の下流の方に深そうな洞窟がある。

 ここの地図は事前に記憶していたが、地図にも村長からもあんな洞窟があるとは聞いていない。

 ティオ公爵子息も気づいたみたいだ。



「確かにそうだな」



「もしかしたら、狂獣の巣かもしれませんね」



「情報通りの大きさだと、あれぐらいの大きさの穴、掘れてもおかしくないな」



 あの大柄の男が両腕を広げたぐらいの大きさとだったら、あの穴ぐらい大きくても不思議ではない。

 ただ、あそこが巣だとなるとそれなりに討伐には時間がかかりそうだ。



「あそこが巣となると討伐に時間がかかります」



「そうだな……」



「なので、ここに誘い出します」



「誘い出す?どうやって?」



「火を使うんです。狂獣と言っても、獣なので。火で攻撃というより、驚かす、という感じですね」



「なるほど」



「ただ、その代わりに暴れる可能性があります。なので、ティオ様はあそこに隠れておいてください」



 私の任務はティオ公爵子息の護衛。

 死なせるわけにはいかない。それなりに丈夫そうな木の影に隠れてもらう。

 ティオ公爵子息が隠れられたのが分かったら、火を起こし、火のついた木を穴の中に投げ込む。

 すると、数秒後に狂獣らしき大型の獣の咆哮が聞こえた。

 そしてそのすぐ後に、穴から猪の狂獣が出てきた。



 やはり、この穴を巣にしていたみたいだ。

 猪は私に気づくと、ものすごいスピードで突進してきた。だが、直進なので簡単に避けられる。

 そして狙い通り、後ろの岩に激突した。

 私は猪の意識が朦朧としている隙を逃さずに剣を抜く。

 弓矢が刺さらないほど硬いということなら、強くて速い攻撃を当てればいい。

 猪に近づき、首を目掛けて剣を振り下ろす。

 すると、首を切ることにことができ、猪はその場に倒れた。



「大丈夫か?怪我は?」



「ご心配なく。怪我はしておりません。ティオ様は大丈夫でしたか?」



「あぁ」



 そして村に戻って村長に伝えようとした時に、私の後ろの茂みから気配を感じた。

 振り返った時には、目の前に矢があり、しまったと思った瞬間、その矢は弾き飛ばされた。



「大丈夫か!?」



「ティオ様!?」



 なんと、ティオ公爵子息が腰にあった剣で矢を弾き飛ばしたみたいだ。

 茂みの方からは男二、三人の声が聞こえた。

 私はすぐに飛び出し、そこら辺にあった蔓を使って男たちを縛って捕まえた。



「ティオ様。気配に気づかず申し訳ありません」



「いや、捕らえられたからいいが、君は大丈夫か?」



「っ……!はい……」



 なんだか、体が熱い。

 なぜだろう。



「本当に大丈夫か?顔が赤いぞ?」



「だっ、大丈夫です!」



 ティオ公爵子息が私の顔を覗き込むと、さらに体が熱いなった。

 顔が近い。

 まさか、まさか、まさか……….。



「こいつらも村長に伝えておこう」



「あ、はい!」






「ありがとうございます!狂獣だけでなく賊まで捕らえていただいて!」



 村に戻り、村長に伝えると、あの男たちはこの辺では有名な賊だったみたいだ。ティオ公爵子息を狙ってたのだろう。



「いや、私じゃない。討伐したのも捕らえたのもレシーだ」



「レシーさんもありがとうございます!」



 村長はすごい喜んでいる。きっと、賊に狂獣にと悩まされていたのだろう。



「それでは帰ろうか」



「……………」



 ティオ公爵子息は金色の髪に夕日が反射しており、とても綺麗だ。青の瞳は少しだけ赤みがかっている。

 おそらく、今も私は顔が赤いだろう。体も熱い。さっきからこの調子だ。

 あぁ。間違いない。



 私は、この方に、ティオ・アキラスに、「恋」をしてしまったのだ。

この作品は2エピソードの途中からこのサイトで書き始めていまして、途中で文章の書き方が変わっていると思いますが、いつか直したいと思っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ