表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

一年の任務の始まり

新しいイベント企画があったので、今回こそ!という思いで投稿いたしました。投稿頻度が遅い場合もありますが、そこのところはどうかご了承ください。

 ここは人々が幸せに暮らす土地、「フェルグラード」

 だが、幸せに暮らす土地と言っても私は不幸だった。

 昔、両親に路地裏に捨てられ、ある暗殺者に拾われた。

 それからは、暗殺者として必要なこと学び、十二歳の頃からプロの暗殺者として働いていた。

 私は「秀才」と呼ばれ、暗殺者界の中では「ノーティング」と呼ばれ、恐れられている。

 だが、私は秀才などではない。

 私が所属している組織「ナイト・フューナー」。組織内では有名な話だが、私は「優しい暗殺者」と呼ばれていた。



 その名の通り、私は暗殺者に向いていない。優しすぎるのだ。

 殺すということができない。

 だから、私は「優しい暗殺者」と呼ばれているのだ。

 それでも、腫れ物扱いをされていると言うわけではなく、むしろ慕われている。……みたいだ。

 そんな私だからだろう。

 私は、ある依頼でターゲットに恋をしてしまったのだ。

 





 ——エルディア王国。

 それは、フェルグラードの中でも数個ある大国だ。

 平和で産業なども発展しており、各国との貿易が主流の王国だ。

 そのエルディア王国で、プロの暗殺者として暮らしているのが、私、「●●●●」だ。



「ノーティング。新しい依頼だぞ」



「ガルドさん」

 依頼の紙を持って後ろから現れたのは「ガルド」さん。コードネームは「レヴァンジ」。頼れるお兄さん的存在の人だ。

 依頼書を見てみると、ある薬品を盗むと言う内容だった。暗殺者と言っても、泥棒のようなことをする時もある。



「スラングループですか。ここはそんなに盗むような薬品を作っているとは思いませんが」



「いや、どうやら、スラングループが秘密裏に販売している魔法の薬を手に入れたいみたいなんだ」



「販売してるんでしたら買えばいいのに」



「足がつくようなことはしたくないんだろ。それなりに報酬もいいし、文句言うな」



 確かに、ただ薬品を盗むだけだったら、それなりに高い報酬だ。スラングループはそんなに警備も厳重ではない。数分で終わるだろう。






「え、もう終わったの?」



「はい。警備もそんなに厳重ではないですし」



「いやいやいや。だとしても早すぎない?」



 依頼が終わり帰ってみると、ガルドさんがなんとも間の抜けた顔をしていた。

 早すぎると言っているが、依頼にかかった時間は三十分。あそこまでの警備だったらこれぐらいだ。



「俺でも五十分から一時間だって」



「それでも早い方ですよ」



「それより早いんだけど?」



 ガルドさんはナイト・フューナの中でも三番目に強い。

 ちなみに、二番はボス。一番は私だ。



「おい、みろ。レヴァンジさんとノーティングさんだ」



「トップ3のうちの二人が話してるなんて」



「レヴァンジさーん!ノーティング様ー!」



「なーんで俺がさんでお前が様なんだよ」



「さぁ」



 私とガルドさんが話しているところを見て騒いでいるのは、後輩だ。ガルドさんはイケメンなので、女性暗殺者にモテる。だが、やはり組織内でのモテ度は二番がガルドさん。一番が私だ。三番はボス。



「ノーティング様。ボスがお呼びです」



 すると、最近入った女の子が後ろから来た。

 どうやら、ボスがお呼びのようだ。






「やぁ、ノーティング。元気そうだな」



「ボスこそ」



 ナイト・フューナーのボスのコードネームは「ロンリー・ムーン」。本名は「セリス」だ。組織の中でもボスの本名を知っているのは、私とガルドさんと後もう一人。ガルドさんの本名を知っているのも私とボスとそのもう一人だ。



「三十分で依頼を終わらせたんだって?相変わらずの秀才っぷりだな」



「私にとっては当たり前ですから。それよりあれ。魔法の薬って、何に使うんでしょう」



「さぁ。変なことは考えるな。私たちは依頼を終わらせればいい」



 確かに、私たち暗殺者は依頼されたことを終わらせればいい。

 それが私たちの仕事。

 まぁ、私は余計なことをしてしまうのだが。



「それで、どうして私は呼ばれたんですか?」



「ノーティング、君にしか頼めない依頼が来たんだ」



「私にしか頼めない?」



 そんな依頼、確かにこれまで何度かあったが、今回はちょっとだけ事情が違うみたいだ。ボスの後ろにあるボードにも、赤く印がついている。



「あぁ。ある貴族を護衛してもらうと言う仕事だ」



「護衛なら、騎士がいますよね?」



「いや、今回の護衛は、護衛を担当する貴族じゃない。他の貴族からの依頼なんだ」



「護衛対象じゃない貴族からの依頼?」



 なぜだ?貴族というのは、ほとんどが騙しあっている。

 他の領地の貴族なんて敵だ。



「そして、その護衛対象というのが、次期公爵「ティオ・アキラス」だ」



「次期…、公爵…?なぜそんな人の護衛を?それこそ、本当の騎士の方がいい」



「いや、依頼者は絶対に君がいいと」



「私を指名されたということですか」



 次期公爵のティオ・アキラス。

 新聞にも乗っていた。

 眉目秀麗。文武両道。性格もいい。非の打ち所がない完璧人間だ。



「分かりました。期間はどれくらいですか?」



「引き受けてくれるか。期間は一年だ」



「一年ですか……」



「もちろん、他の依頼も受けてもらうぞ」



「覚悟しておきます」



 一年もかかる依頼はそうそうない。

 というか、ボスはそういう依頼をまるっきり受けないと決めている。

 そんなボスがこの依頼を受けたということは、依頼者もそれなりに地位が高いということか。



「細かい情報はこの資料の中だ。それじゃ、お疲れ様」



 ボスはそういうと、私をペッと部屋から出すと、扉を閉めた。



「よっ。少し聞いてたぜ。一年もだってなぁ。そんな依頼をボスが引き受けるなんて珍しい」



「ガルドさん。盗み聞きはダメですよ」



「俺たちがいう?」

 ガルドさんは元衛兵だ。

 情報収集などもしてきたのだろう。耳はいい方だ。



「それにしても、次期公爵の護衛か。すごい大役だ」



「はい。次期公爵なんて、私たち裏の人間では一生かかっても会えないほどですよ」



「そんな奴の一年もそばにいるんだぞ?」



 孤児の頃は、貴族、男爵でさえも雲の上の存在だった。



「それじゃ、俺ももう帰るわ。お疲れー」



 ガルドさんはそういうと、男子寮の方へ向かっていった。

 うちの組織は、それなりに設備が充実しており、男子寮、女子寮と寮まである。





 自室に帰り、先ほどもらった資料に目を通す。

 依頼は、次期公爵ティオ・アキラスの一年間の護衛。



 私は、子供の頃から騎士を目指しており、最近に騎士なった女性騎士という設定だ。

 親は昔、事故で死んでしまい、施設に入った。

 そこで狼に出会い、命の危機に晒されていた時に騎士に助けてもらい、そこから騎士を目指すようになった。

 よく考えたものだ。他にも色々と書いてある。

 依頼期間が始まるのは明日から。



 帰ってくると入り口近くに置いてあった箱の中を見てみると、騎士が着る服が置いてあった。

 私のサイズにもあっている。

 その後は、色々と確認し、夜遅くに布団に潜り眠りについた。





「今日からよろしくお願いします」



「あぁ。よろしく頼むよ」



 今日から目の前にいるティオ・アキラスの護衛だ。

 屋敷の中に護衛は何人書いたが、専属護衛は私だけのようだ。

 すると、ティオ公爵子息は私のことをじっと見ていた。

 後ろの窓の光に金色の髪が反射しており、少し眩しい。目は綺麗な青色だ。



「どうかいたしました?」



「いや、随分と若そうに見えてね」



「ふふ。私の年齢は十九ですよ」



「それは……、今まで大変だっただろう」



 本当は十四歳です。



「あ、そうだ。君は政務にも詳しいと聞いている。護衛の他にも色々と雑用を頼んでしまうがいいかい?」



「はい。ただし、私は専属護衛ですので、おそばを離れるような命令はあまり……」



「あぁ。早速なんだが、父上のいる本邸に向かいたい思う」



 ティオ・アキラスの父親、「パージ・アキラス」

 アキラス公爵家は先先代まではそこまで目立ったことはしていなかった。

 しかし、パージ公爵が当主になってからは、さまざまな慈善事業に参加したり、領地の改革をしたりなど、一気に栄えたのだ。



 そして、そのパージ公爵の血を引くのがティオ公爵子息だ。

 パージ公爵とティオ公爵子息はそれぞれ別の屋敷で暮らしている。

 今はまだ公爵家当主はパージ公爵なので、主な政務はパージ公爵がしているが、次期公爵というのもあって、ティオ公爵子息も政務の手伝いをしている。



 そして、パージ公爵は本邸、ティオ公爵子息は別邸で暮らしているのだ。

 パージ公爵には私の正体を話しており、公爵家で知っているのはパージ公爵と執事長しかいない。

 ティオ公爵子息の母、「リース・アキラス」公爵夫人は数年前に病気になり、本邸の一室で療養中だ。

 パージ公爵は一度だけ会ったことがあるが、さすがというべきなのだろうか、目を合わせているだけでももの凄い圧がくる。

 ただの使用人だったら泡を吹いて倒れていそうだ。




 パージ公爵の執務室前に来た。

 ティオ公爵子息でさえも緊張しているように見える。

 ティオ公爵子息が扉をノックすると、扉が開いた。

 執事が開けたのだろう。扉のすぐそばにいた。



「どうしたティオ」



「昨日に渡されていた書類です」



 パージ公爵は渡された書類をめくり、確認し終えたのか、机に置いた。



「ところで、その専属護衛はどうだ?」



「別に。しっかり守ってくれています」



「そうか。少し、そいつと話したいことがある。いいか?」



「はい」



 ティオ公爵子息は頷くと、「失礼します」と言い部屋を出ていってしまった。

 室内には緊張感が漂っている。

 何かしただろうか……。



「ノーティング……。だったか?コードネームは」



「はい」



「ノーティングか……。あまりお前には似合わないな」



「そうでしょうか」



 そんなこと言われたの初めてだ。

 まぁ、そんなにコードネームについては話すこともないしな。

 コードネームは、正式に組織に入った時に自分で決める。

 私はボスからつけてもらったのだが。



「それで、お話とはなんでしょう」



「妻の様子を見てきてほしいのだ」



 妻、というと、リース公爵夫人のことか。

 だが、なんで私になんだ?



「公爵家には女性の騎士が少なくてな。メイドも付きっきりというわけでもいかないし。頼めるだろうか」



「かしこまりました」



 確かに、世界でも女性騎士は男性騎士よりも少ない。

 ただその分、女性騎士に憧れている人は多い。

 資料でも、リース公爵夫人は女性騎士に憧れていると書いてあったな。




 リース公爵夫人は本邸の端っこの部屋にいる。

 扉を開けると、パージ公爵の執務室ぐらいの部屋の大きさだ。



「あら、あなたは……」

 部屋の右端にあるベッドには、少し痩せている女性がいた。

 彼女がリース公爵夫人だ。



「この度、ティオ様の専属護衛となったレシーと言います」



「そう。ティオに女性騎士が……。迷惑をかけると思うけど、よろしくね」



 そう言って微笑むリース公爵夫人は、見る人によっては聖母と言っても過言ではないほど、柔らかく、美しかった。

 昔、新聞で顔を見たことがあったが、あの頃と全く変わらない。



「それで、今日はどうして私のところに?」



「当主様に頼まれまして」



「まったく。あの人ったら……。ごめんなさいね」



「いえいえ」



「私、伯爵家の娘なのだけれど、昔は騎士に憧れていたの。両親に話したら反対されてしまって……。そのまま公爵家に嫁いだのだけれど、それもそれで幸せなのだからいいのだけれどね。やっぱり、まだ、女性騎士に憧れがあるわ」



「私も子供の頃にある騎士に助けれられまして。それから騎士を目指すようになりました」



 正直、人の過去の話を聞くのは嫌いではない。

 その人のことが知れるし、面白い話もある。

 大体の暗殺者は過去が散々な者が多い。

 だからなのだろう。幸せな過去を聞くと、なんだか嬉しくなる。



「あら、それなら私たち反対ね」



「反対?」



「夢を諦めた者と、夢を叶えた者。私は、夢を諦めなかったら幸せだったかしら」



 リース公爵夫人は窓を眺めながらそう言った。

 幸せかどうかは自分が決めること。

 私はそう思っているが、たまにわからなくなる時がある。

 そんな時、私はひたすら何かに夢中になっていると、そんな事どうでも良くなる。

 私から見た今のリース夫人は、幸せそうな顔をしている。



「騎士の仕事は辛いこともあります。ですが、それが幸せなのかは、自分自身が決めることです。私は、色々な人を助けることができたので幸せですよ」



「そうね。それに、今は病気を治すことを優先しなくちゃ」



 リース公爵夫人の病気は、今の医術では治すことが不可能とされている病気だ。

 今も研究されているが、病気の進行を遅らせることもできない。



「よければ、また話に来てくれないかしら」



「今度はティオ様もご一緒に来ますね」



「えぇ」



 私はそういうと、「失礼します」と一礼をして部屋を出た。

 様子を見るがぎり、もう、余命はあと少しだろう。

 リース公爵夫人のような人を見ると、何か力になれることはないだろうかと、考えてしまう。

 これが、私の弱みだ。

〜小ネタ〜

ティオの髪は金髪で公爵の髪も金髪ですが、公爵夫人の髪は黒髪です。ティオは結構公爵の遺伝子の方が大きい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ