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消えた治癒士への執着は棄てて下さい  作者: みん


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10 要らない来客

「マサト、久し振りだね」

「ラドルファス様は相変わらずですね。アーニーさんも、お元気そうで」

「マサト様、お久し振りです」


一体何がどうなっているのか。何故こんな辺境地の外れに英雄と一国の王子が居るのか。幸い、街からは離れているから、変な噂が広まる事はないだろうけど。

私の左肩に止まっているアウラが、ラドルファス様達を警戒している。私とミツにしか見えないアウラだけど、ラドルファス様とアーニーは直感が鋭い獣人の中でもかなり敏感だから、何かは感じ取っている可能性はある。


「貴方が、この店の店主かな?急に来て申し訳ない。マサトを探していたんだ」

「いえ……会えて良かったですね。えっと……すみませんが、戸締まりをしたいのですが……」

「ああ、申し訳ない。すぐに失礼するよ。それじゃあ、()()()


「ありがとうございました……」


3人を見送った後、店の扉の鍵をかけた。


「『()()()』って何?」

『あの3人、やっちゃう?』

「駄目だからね?国際問題にもなるからね?」

『そうなの?残念ね……』


鳥の姿のアウラなのに、悪巧みしているような顔に見えるのは気のせいだ。うん。気のせいだ。


「もう……本当に、何で今更……今日はミツのもふもふで寝よう」


そうして、私はいつもより早い時間に就寝した。





******



「彼は、旅の仲間だったラドルファス王子なんだ。今は、この国で観光を楽しんでるみたいで、ついでで俺に会いに来てくれたみたいなんだ」

「そうなんですね。このような所で、殿下にお会いできて光栄です」

「ありがとう」


にっこり笑うラドルファス様。その人懐っこい笑顔に、ついつい警戒心を解いてしまいそうになる。


「後ろに居るのは、ラドルファス様の従者のアーニーさん。そのアーニーさんが怪我をしてたから、ここの薬を塗ったら気に入ったみたいで。購入できる?」

「勿論です。少しお待ち下さい」


英雄様が購入したのは一番軽いタイプの塗り薬。それと同じ物を取り出す。獣人は怪我をしても治りが早いから、掠り傷程度だと手当を受けない人もいる。治りが早いから、軽いタイプの塗り薬でも効果が出やすくもある。


「ここでは1人で?」

「いえ、もう1人居ます」


「リヴィ様、そろそろお昼にしませんか?」


と、そこにタイミングよくミツがやって来た。


「彼女が、私の同居人兼助手のミツです」

「来客中でしたか。失礼しました」


ミツがしれっと頭を下げて謝る。

ミツが3人の存在に気付いていなかった筈はなく、私を助けに来てくれたのだ。


「もうお昼(そんな時間)なんだね。こちらこそ申し訳ない。薬、ありがとう。では─」


と、3人が店から出て行くと、私はため息を吐きながら椅子に腰を下ろした。


「何で……こんな所に3人も集まるの!?」

『やっぱり、やっちゃった方が良い?』

「いつでも動けますよ」

「アウラ、ミツ、落ち着いてね?絶対にやっちゃったら駄目よ?」


この2人の気持ちは有り難いけど、本当にやっちゃったら大問題だ。


「これ以上、接点が無い事を祈るわ──」






*ラドルファス視点*



「マサトは、あの娘が気になっているのか?」

「気になって……ると思う」


結婚式の後すぐにマサトに手紙を飛ばすと、マサトからとすぐに返事が届いた。


“ジルダを探している。今は北の辺境地に居る”


そうして、俺とアーニーはすぐに王都から辺境地にやって来た。そこでマサトから紹介されたのが、さっきの娘─リヴィアンナだった。家名が無いという事は平民。容姿も至って普通で、茶色の髪に緑色の瞳。ジルダとは全く違う容姿なのに、何故かジルダと同じ雰囲気を持った娘だった。


「気になると言えば……あのミツという娘もだな。アーニーは、どう思う?」


ミツも容姿は幼く見える女の子。茶色の髪は普通だけど、あの金色の瞳は何とも言えないものを帯びている。おそらく、人間ではなく獣人だろうけど───


「あのミツという子はヤバいですね。人間ではないのは確かですけど、獣人だとは言い切れないような……とにかく、本能がヤバいと訴えかけてます」

「あのミツが?」


と、マサトは驚いているが、本当にあのミツという娘はヤバい。何故かは分からないが、おそらく、英雄のマサトや獣人の俺達なんかよりも──


「それが本当なら、そんなヤバいミツが『リヴィ()』と呼ぶリヴィアンナとは一体どういう関係なんだ?」


ただ単に、“同居人”でも“店主と助手”でもないだろう。


「何だか、色々気になるね……」


ー少し探ってみるか?ー


「あ、そうそう。聖女ナナカが、マサトが結婚式に来なかった事を寂しがっていたよ」

「そうか……また会えたら謝罪するよ」


“会いたくないし、謝罪する気もない”


ルベールもマサトも、ナナカに謝る事は……ないだろう。





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