3.ちょっぴり本気で
第3開拓州の東部。
エイは馬に乗って依頼の場所へ向かった。
「メェェェ」
「メェェ…」
討伐対象は電気羊で、羊達は身体の周りに青い電撃を放っている。
…近接武器で攻撃した場合、感電するのだろう。
が、エイにはそんなこと関係ない。
エイは馬から降りて、適当な石を両手に持ってスキル『猟銃生成V』を発動した。
ゴツゴツとした小さな石は白い光を放ち、黒い銃…『ヴェンデッタ』としてエイが売っているものと同じような銃になった。
『適正素材でないため、射撃に銃が耐えられません』
『適正素材でないため、射撃に銃が耐えられません』
警告文が視界に映る。
そんなことは百も承知。
エイは二丁を電気羊の群れに向けて、撃った。
ズドンッ!
ズドンッ!
おおよそ中世っぽい世界観に似つかわしくない鋭い砲声が二発鳴る。
グシャッ!ベチャッ!
ドシャッ!グシャッ!
黒い銃は赤黒い光線のようなものを放ち、その光線は電気羊をぐちゃぐちゃに吹き飛ばした。
爽快感が中毒になりそうである。
二丁の銃は案の定バリンッと音を立て、光を放ち消えた。
すかさずエイは石を2つ拾い、新しい銃を作った。
ズドンッ!
ズドンッ!
ペースは落ちない。
ズドンッ!
ズドンッ!
あっという間に電気羊の群れのいた場所は肉片の散らばる血腥い墓場になった。
肉片は数秒ほどでアイテム化した。
『電気羊の胸肉』
『電気羊の心臓』
『電気羊の目』
『電気羊の腸』
どれも売れる貴重なアイテムである。
エイはため息を吐きつつ、自分で散らかした戦場の掃除を始めた。
1時間後。
エイのインベントリには大量の肉片が入った。
…もしこのゲームにインベントリの仕様がなかったら、きっと運べなかっただろう。
そんなことを考えながら馬に跨って、エイは再び州都の方へ戻っていった。
『ここに依頼で狩った生物の肉を放り込んでください』
雑な案内看板が付いているそれを流し見しつつ、エイは目の前にあるゴミ箱のようなものに依頼の紙を放り込んだ。
案内看板はモニターのように一瞬で表示する言葉を変える。
『電気羊000匹分:換金額00000エセン』
エイはインベントリから直接、ゴミ箱のような穴に電気羊の肉や内蔵、目なんかを放り込んだ。
案内看板の数字は、目にも止まらぬ速さで増えていく。
『電気羊150匹分:換金額30000エセン』
そこでピタッと止まった。
エイはついニヤついてしまう。
店の売上と合わせて3,600円。
ファミレスかどこかでちょっぴり贅沢しても全然余るような額である。
そのままエイは換金した3万エセンを受け取り、ログアウトした。




