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第3話、満面の笑顔だった

「サポーターやってみない?」


「結構です。」


「即答?!」


断られると思っていなかったのか、かなりオーバーなリアクションを取る日野本先生。

そりゃそうだろ。そもそもなんのサポーターなのかも説明されてないし。

俺が内心呆れていると、おずおずといった感じで、雨雲が小さく手を挙げた。


「……えっと、そもそも『サポーター』って誰のなんですか?」


ここはさすが優等生キャラと言うべきか、雨雲は若干困惑の表情を浮かべながらも、先生の提案を速攻で無下にはせず、詳細を聞きに行く。

その質問に対し、日野本先生は右手の人差し指と中指を立て、こちらに向ける。


「サポートしてもらうのは主に二つ。一つは私、『日野本』のサポート!」


「え、普通に嫌ですけど。」


「そんなぁ!」


「まぁまぁ先輩。とりあえず最後まで聞いてみましょ?」


「雨雲さん……!ありがとう!」


「聞いた上で、どうでもいい話だったら無視して帰りましょう!」


「雨雲さん?!」


凄くいい笑顔で先生を見る雨雲。あの笑顔にどんな意味が含まれているかなんて知りたくもないし、考えたくもない。というか、なんであの可愛い顔で圧かけれるんだよ。


「こほんっ、一つ目の私のサポートについてなんだけど、私まだ教師になってからそんなに経ってないから、手が回らないことが多いんだよね。だからそれをサポートしてくれたらなぁって……。」


「んじゃ先生。お疲れ様でした。」


「待ってぇ!こっちはオマケみたいなものだから!」


「それで、二つ目の方はなんなんです?」


「えっとね、基本的にそっちがメインかな?『生徒会』のサポートだね!」


「「生徒会?」」


雨雲と二人して頭の上にハテナを浮かべる。


「そう生徒会!あっちも最近忙しくて色々手が回っていないらしくてね?少し仕事を手伝って欲しいなって!」


つまりだ。先生と生徒会が手をつけれていない仕事を手伝って欲しいと。

詳細はわかった。だからと言って素直に手伝う気にはなれない。


「……それ、俺達がやる理由もメリットもなくないですか?」


その言葉を聞いて、日野本先生はふふんと鼻を鳴らし、ニヤケ顔で俺の方を見る。まるで「待っていました!」とでも言うような、自信ありげな表情だった。

なんだコイツ。ムカつくな。


「蓮見君ならそう言うと思ってた。メリットは色々あるけど、『先生と生徒会の手伝いをした』って事を履歴書とかに書けることかな。生徒会の仕事を手伝ってたって、結構評価高いと思うよ〜?」


「評価ねぇ……。」


「でも先輩。確かに結構高評価に繋がりそうですよ?」


確かに言われてみれば、今後の進路に役立ちそうな評価を得られる可能性が高い。

だが雨雲ならともかく、俺はそこまで高い目標がある訳でもないので、あまり興味が出なかった。


「あとはそうだなぁ、こっそり私の担当教科、『数学』の平常点をプラスしてあげましょう!」


「え?!ホントですか?!」


おっと、ここで俺も無視できないような報酬が出てきた。平常点が多くなるだけで、どれだけ赤点回避が楽になるか。世の高校生たちは理解しているだろう。なんなら平常点目当てで先生に媚び売ってるようなやつまで居るくらいだ。バカにはできない。


「あとは……。」


そう言いながら、日野本先生は俺に人差し指を向ける。


「君のためかな。」


「……。」


日野本先生は真面目な顔をしていた。

おそらく、本当に俺のために言っているのだろう。


「どういうことです?」


「蓮見君は問題児だからね。」


「……問題児。」


「あっ!問題児と言っても、暴力とか怖い系の問題児じゃないよ!」


「怖い系ってなんすか。」


癒し系の問題児とか熱血系の問題児でも居るのか。実は問題児って二百種類居るのか。


「どう?雨雲さん。やってみない?」


「私はやりたいです!」


「じゃあ蓮見君も決定ね!」


「おい教師。生徒の意見をちゃんと聞け。」


「だって君、家帰ってもゲームするだけでしょ?」


とんでもねぇ。なんてこと言うんだこの教師は。


「活動日は月、水、金曜日。放課後の生徒指導室で。仕事がなければ帰ってもいいし、勉強とか読書にこの教室使ってくれても大丈夫。友達と約束があるなら私に連絡してくれれば、そっち優先しても大丈夫。もしかしたら無理言ってお願いすることもあるかもしれないけど、基本的には君たちの時間を尊重するつもりだよ。」


「やります!」


「嫌です。」


「ありがとう雨雲さん!ちなみに蓮見君がオーケーしない場合、この話はナシだからね?」


「「えっ。」」


とんでもない爆弾を投下する日野本先生。


「だってそうでしょ?雨雲さんだけ手伝ってくれるなら、『学級委員長』として私を手伝ってくれれば良いだけだから。その場合は生徒会のサポートは流石にナシになるけれども。」


「マジかよ……。」


「えっと……。」


どう言葉を紡げばいいか分からない様子の雨雲。

彼女の場合、『優等生キャラ』として先生のお願いは聞いてあげたい。評価を貰いたい。と、やるメリットは十分にある。だが彼女の良心なのか、俺を道連れにする気は無いらしい。

だからこそ、どう反応していいのか困っている様子だった。

そんな彼女を見て、俺は内心で溜息を吐く。


「……まぁ、やりますよ。」


「決まりだね!」


してやったり。そんなことを思っていそうな日野本先生。

いつかこの人には痛い目を見てもらおう。

そう思い、若干の反抗心を抱きながら日野本先生に視線を向ける。

その視線に彼女は気づいたが、気にもせずに俺と雨雲を見て、両の掌を合わせる。


「それじゃあ二人とも、明日からよろしくね!」


そう言った先生は、





満面の笑顔だった

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