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「ブラックバイトから解放されたら、女神の負債(ブラック)を背負わされた件」  作者: 月神世一


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EP 6

地下水道の死闘、魔導チェーンソー無双!

「地球の科学とルルアの魔導で、粗大ゴミ(三枚おろし)に変えてやるよ!!」

拓哉の指が、魔導チェーンソーのグリップにあるトリガーを強く引き絞った。

ギュイイイイイイイイイイイィィィンッ!!!!

薄暗い地下水道に、空気を切り裂くような凶悪な爆音が轟く。

ルルアが組み込んだ魔導エンジンの凄まじいトルクが、地球の規格外素材である『超硬合金のソーチェン(刃)』を目にも留まらぬ速度で自動回転させる。

「ギギッ!? ギギギギギッ!」

未知の駆動音に、特務型シザー・ビートルの群れが一瞬だけ動きを止めた。

だが、すぐに先頭の一匹が、巨大な鋼鉄のハサミを振りかざして拓哉へと襲いかかる!

「行かせるかよッ!」

「ここは通さん!」

前衛のニックとラビーナが、横から『鉄パイプ』を差し込み、特務型のハサミの軌道を強引に逸らした。

鉄パイプとハサミが激突し、激しい火花が散る。絶対に折れない鉄の壁が、拓哉の前に完璧な『キルゾーン』を作り出した。

「ナイスだ二人とも! いくぞオラァッ!!」

拓哉はチェーンソーを大きく振りかぶり、特務型の最も装甲が分厚いとされる頭部――ドワーフ総長ガンツが「秘伝の魔導剣以外では絶対に傷つかない」と豪語した魔力コーティング装甲に、高速回転する刃を真っ向から叩きつけた!

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリッ!!!!

凄まじい金属の絶叫が地下水道に響き渡る。

火花が滝のように吹き出し、特務型の装甲が悲鳴を上げた。

「ギ、ギギギギギギギギィィィィッ!?」

弾かれるどころか、刃が止まる気配すらない。

魔力コーティングなどお構いなし。地球の森林で大木を切り倒すために計算し尽くされた極悪な刃の形状と、魔導エンジンの暴力的な回転数が、特務型の分厚い装甲をまるで豆腐か薄いプラスチックのように、ズブズブと削り、抉り、食い破っていく!

「真っ二つに……なれぇぇっ!!」

拓哉がさらに体重を乗せて押し込むと、チェーンソーの刃は装甲を完全に貫通し、内部の機械回路ごと特務型を縦に両断した。

ズシャァァァァァァンッ!!

黒いオイルと火花を撒き散らしながら、特務型が左右に真っ二つに割れて崩れ落ちた。

「…………えっ?」

「ウ、ウソだろ……?」

後方で壁を作っていたニックとロースが、目玉が飛び出そうなほど驚愕し、口をあんぐりと開けた。

あの、自分たちのフルスイングを傷一つなく弾き返した特務型が。タナントシティの熟練冒険者でも死闘を強いられる化け物が、たった数秒で、しかも『押し当てるだけ』で両断されたのだ。

「す、すげえええええええええッ!? なんだよその武器! 剣でも斧でもねえ! 刃が勝手に動いて、相手を削り殺したぞ!?」

「兄貴、ヤバすぎるッス! それ、完全に魔王が持つレベルの破壊兵器ッスよ!!」

「フハハ! どうだ! ルルアの魔導回路は出力も安定してるぜ!」

拓哉が興奮冷めやらぬ声で叫ぶと、後衛のルルアがVサインを作ってピョンピョンと飛び跳ねた。

「やりましたわ拓哉さん! 私の組み込んだバイパス回路、地球の機械と相性バッチリです!」

「ふむ……。あの破壊力と重量、私のように素早く剣を振るう者には向かんが、我々がこうして足止め(タンク)に徹すれば、これ以上なく凶悪な『処刑兵器』になるな」

ラビーナが冷静に戦況を分析しながら、次々と押し寄せる特務型の群れを鉄パイプで弾き返す。

「ギギギギッ!!」

「おっと、よそ見してる暇はないな! まだまだ数はいるぞ!」

拓哉はチェーンソーの刃に付いた黒いオイルを振り払うと、再びトリガーを引いた。

ギュイイイイィン!と、腹の底に響く殺戮の音が鳴り響く。

「ニック! ロース! ラビーナ! ひたすら鉄パイプで敵を俺の前に押しとどめろ! 俺が端から全部三枚おろしにしてやる!」

「「「応ッ!!」」」

そこからの光景は、戦闘というよりもはや『解体作業』だった。

絶対に折れない鉄パイプの壁で特務型の突進とハサミを完全に無力化し、動きが止まったところに、拓哉が魔導チェーンソーを押し当てる。

ギャリギャリギャリギャリッ! ズドォォン!

ギャリギャリギャリギャリッ! ズドォォン!

火花と黒いオイルが飛び散る中、ドワーフの技術の結晶である魔導剣すら寄せ付けない特務型の装甲が、次々と紙くずのように切り裂かれていく。

「チャリーン! チャリーン! 素晴らしいですニャ! この特務型のハサミと極厚装甲、素材として普通の死甲虫機の10倍以上の値段で売れますニャン!!」

ニャーニャは最後方で、両手に算盤と解体用のナイフを持ちながら、狂喜乱舞して踊っていた。リリスはその後ろで「私、応援してますぅ〜!」と手を振っているだけである。

それからわずか数十分後。

「……ふぅ。これで、最後か」

拓哉がチェーンソーの回転を止めると、地下水道には静寂が戻っていた。

周囲に転がっているのは、綺麗に両断された数十匹の特務型の残骸スクラップの山。味方に怪我人は一人もいない、完全無傷のパーフェクト・ゲームであった。

「はぁ……はぁ……すげぇ。本当に、俺たちだけで特務型の群れを全滅させちまった……」

ニックがへたり込みながら、信じられないというように自分の手と、無傷の鉄パイプを見つめる。

「ああ。お前らが鉄パイプで完璧に足止めしてくれたおかげだ。サンキューな」

拓哉が労うと、獣人コンビは嬉しそうに尻尾を振った。

前衛の鉄壁と、後衛の技術、そして拓哉の地球の遺物。クラン『リサイクル』の完璧な連携が証明された瞬間だった。

「さて、旦那様! このお宝のスクラップ、早く回収してギルドに戻りましょうニャ!」

「ああ。そうだな」

拓哉はチェーンソーを布で包み直しながら、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「この結果を見たら、あのドワーフのオッサン、どんな顔をするだろうな」

タナントシティの地下深くで、クラン『リサイクル』の初仕事は、圧倒的かつ理不尽なまでの大勝利で幕を閉じたのだった。

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