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今日は、お父さまも帰ってきて、3人での夕食だった。

私は、好物である鶏肉のスープに顔を綻ばせ、テーブルについていた。

「やあ、遅くなってしまったね」

お父さまが、少し遅れてやってくる。

3日ほど、お城で缶詰めだったらしいが、最近は特に忙しいらしい――っていつでも言っている。大丈夫か。


□■□


「そういえば、シンディのエルラーツ語の先生が見つかったよ」

「まあ、お父さま、そうなんですの?」

エルラーツへの悪感情が根強いロードウィンで、話者を見つけるのは大変だっただろうな……。

本当に素敵な親だと思う。

「思ったより手間取ってしまったよ。この話をしたら、大臣――ダルリンプル侯爵がね、"ジェラルディン嬢とシンディが親しくしているからそのお礼に"と、話をつけてくれたんだ。エルラーツの元外交官の方だ」

「…………そ、そんなすごいお方に教えて頂けるのですか?」

お母さまも私も、呆然とする。

給仕をしていたサラの動きも、一瞬止まっていた。

「うん、引退外交官と言っても、つい最近引退したばかりでね。大臣とは気が合ったらしくてね、エルラーツ滞在中にお世話になったと言っていたよ」

「まあ、それはそれは……エリック、あら、まあ…………」

驚きのあまり、口をぱくぱく動かすお母さま。気持ち、分かりますわ……。

当のお父さまは、にこにこしながら鶏肉を口に運んでいた。

私は、お父さまに視線を向け、にっこり笑う。

「とても驚きましたけれど……大変ありがたいお話ですわ。ありがとうこざいます、お父さま!」


やった、エルラーツ語も分かるようになったら、この先の人生も、結構いい感じなんじゃないのかな……!

生き延びた後も、人生は続くからね!



(ちなみに、ダルリンプル侯爵のエルラーツ滞在とは、平和条約の締結のための準備に、密かにエルラーツ側と会談したことを指しているらしい。ダルリンプル侯爵、やり手なのだ。大臣だしね)



□■□



さて。

今年も、あと1ヶ月で終わりである。

ロードウィンでは、1年の最後の1週間に感謝祭が行われる。

1年を無事に過ごせたことに感謝して、国中で盛大に祝うのだ。

王都も大賑わいで、去年、私はポーリンとお揃いの髪留めをゲットした。



しかし、今年は、私は感謝祭から新年の間、祖父母のところで過ごす予定になっていた。

感謝祭の最中に、祖父の誕生日があるのだ。

前にも1度、感謝祭の期間にクロークスを訪ねたらしいが……まだ『シンディ』だったので怯えて街には出られなかったらしい。今年は楽しむぞ。


楽しみなのはもちろん楽しみだが、それだけというわけにもいかない。


実は、祖父母にグレースのことを打ち明けようか、迷っているのだ。

本来なら、先に両親に言うのが筋かもしれないが……まあ、祖父母の方が話しやすいのよ、そういうものよね。


打ち明けたとして、できればライト家の話もしたい。カスター家への悪意があることも伝えたい。



――なんせ、あと半年だ。『シンディ』でなかったからこそ得られた情報を、無駄にするわけにはいかないのだ。

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