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閑話・1――ポーリン・スローンの独白

私の幼なじみであり、大の仲良しでもあるシンディ・カスターとリチャード・カーターと初めて会ったのは、なんと私が1歳に満たない頃。


元から、社交界で親しくしていたというお母さまとカスター夫人は、お互いウィーラスに嫁ぐと知って大喜びしたらしい。ウィーラスに来てからカーター夫人とも仲良くなり、よく3人で集まっていたそうだ。

そして、リチャードが生まれ、私とシンディが生まれ。当たり前のように、私たちも小さい頃から遊んでいた。


(ちなみに、リチャードのお兄ちゃんは少し歳が離れていたために、あまり遊んでいなかった)


私たちは、よくやんちゃなことをしては叱られていた。今もするけどね!

チョウチョを鷲掴みにしたり、野良猫のしっぽを引っ張ってみたり。あとは、お庭でかくれんぼに鬼ごっこ。それに、お茶会でお菓子を大量に食べる……なんてよくあること。


でも、11歳の誕生日を迎えてから、シンディがそういうことをしなくなってしまった。お母さまは、"シンディも大人になったんじゃない?"って言うけど、何だか淋しい。

だって、シンディは、急にお姉さんみたいになってしまったんだもの!

私の方が、1ヶ月早く生まれたのに、これじゃあどっちが年上か分からないわ。

……それに、シンディの世界はどんどん広がっているみたい。

レスリー・ハンナ・ゴードン様とも仲良くなったみたいだし、こっそり教えてくれたんだけど――従兄と婚約したんだっていうし。

まあ、婚約は口約束だって言っていたけど。


それに比べて、私って……

あんまりお行儀はよくないし、甘ったれだし、お勉強も適当だし。お友達も、もっと作った方がいいのかしら?

そうお母さまに聞いてみると、

「もっと広い方に目を向けるのは大事だけど、急がなくてもいいのよ」

って言われちゃった。



□■□



それ以降、モヤモヤしていた私。

リチャードが学園に行ってしまう日が近づいてきて、ますますへこんでいた。リチャードも、学園に行ったら、世界が広がっていくんだろうし……。

私だけが取り残されていくような気がして、焦ってしまっていた。



□■□



だけど、そんな私の前に現れた人が、私の意識を変えてくれた。


その人というのは、なんと、レスリー・ハンナ・ゴードン様。

この前のリチャードのパーティーで、偶然に話すことができた。

社交上の都合もあるんだろうな、あまり話すことはできなかったけど……


まず、容姿の美しさ。

生まれつきのものもあるけど、努力して磨いてもいるんだろうな。


それに、立ち居振る舞い。

礼を失することはないのに、よそよそし過ぎたり高飛車になったりもしていないんだよね。

ちょっとした仕草に、努力の跡が現れていたの。


……でもね、レスリー様はそれだけじゃないわ。1人の可愛い女の子でもあるのよ!

王太子様の婚約者の筆頭候補って聞いていたけど、リチャードの話をしたら、少し頰を染めて、

「素敵な方のようですわね。お近づきになれたら楽しいでしょうね」

なーんて微笑んだの!

やっぱり、会ったこともない王太子様より、姿を見たことがあって様子も分かるリチャードの方に心を惹かれちゃうのかしら?

それに、リチャードは顔立ちも綺麗だし、それだけじゃなくて、とても優しくて賢いの。

私たちからしたらお兄ちゃんみたいな存在だけど、レスリー様がときめいちゃうのも分かるわ。

だって、私たちの自慢のお兄様だもんね!



□■□



ちなみに、パーティーの数日後、レスリー様からお手紙が来たの。

"近いうちにお誘いします、遊びに来て下さいね"っていうお手紙だった。

舞い上がってしまいそうだったけど、私のマナーは、公爵様のお家に呼ばれても恥ずかしくないものなのかしら?

よし、気合いを入れて特訓しなきゃ。

だって、レスリー様に恥をかかせたくないもんね。


私、レスリー様ともっと仲良くなりたいなあ。……本当は、私みたいな、しがない伯爵令嬢と親しくするのはいけないのかもしれないけど。

それならせめて、胸を張ってお話できるくらいにはならないと!

そうだ、元はといえば、シンディのおかげだもんね。今度、うちにお誘いして、お礼を言わなきゃ。

ううん、今すぐ手紙を書こう!


こういうことを積み重ねていけば、私も素敵なレディになれるかしら?

シンディやリチャード、レスリー様に相応しいような、素敵な素敵な人に……




ここで、第1章は終了です。

次話から第2章に入っていきますが、これからもお付き合いよろしくお願いいたしします。

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