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エピローグ『ウチもミーにゃん』のその②

 エピローグ『ウチもミーにゃん』のその②


 にゃんのかんのと三にんで談笑していたらにゃ。ミーにゃんが、ぱたぱた、と飛んできたのにゃ。

「モワンったら寝ていないんだって? 大丈夫なのわん?」

 可愛いお顔の眉間にシワを寄せてにゃ。いつににゃく心配そうにゃ顔をこちらに向けているのにゃ。もちろん、ウチにゃって、やせ我慢をするつもりは更々にゃい。

「くったくたにゃ。準備も終わったことにゃし、夜まで眠り続けるつもりにゃん」

「うん。寝たほうがいいわん」

 そういうとにゃ。ウチの背中にしがみついてきて、小っちゃにゃ手で肩の辺りを、撫で撫で、し始めたのにゃ。

(ねぎらってくれているのにゃ。やっぱり、ミーにゃんは優しいにゃあ)

 あらためてそう思うウチ。でもって、『大丈夫?』と話しかけてきた言葉を心の中で反芻するさにゃか、ふと気づいたのにゃ。

(おおっ、と。うっかりしていたのにゃん)

「ミーにゃん」

「なぁに? モワン」

(これを口にするのは久し振りにゃん)

 にっこり、と微笑んで親友へ口にした返事はもちろん、

「ウチはミアンにゃ」


(さぁて。いよいよ本番にゃ。ここで失敗したら元も子もにゃい。今までの苦労がみんにゃ水の泡……とにゃるのにゃけは是非とも避けねば)

 ……というわけでにゃ。最初の予定通り、夜までの間、おネムにゃん。

 実際、『とても眠れにゃい』と思っていた。ところがにゃ。準備が滞りにゃく終わったことでウチは、自分が思っている以上に、ほっ、としていたのにゃろう。精霊の間に帰って横ににゃるや否や、夢も見ずに眠ってしまったのにゃん。


 そして……目が覚めたのにゃ。

 むくっ。

 起き上がったウチ。目に映るはカスミがかかったようにゃ、ぼんやり、とした光景にゃ。

「ここはどこにゃ? ウチは誰にゃん?」

「なにアホなことをいっているのわん?」

「……ふにゃ?」

 ウチの視界に、すぅっ、と上から入ってきたのは、口が上で目が下の顔にゃ。『ミーにゃんが真っ逆さまの姿でウチと顔を向き合わせている』と頭が知る前に、

「モワン。お空はもう、お星様で一杯だわん」

 はっ!

「もうそんにゃ時間に!」

 半分眠ったままにゃった頭がフル回転に。親友の言葉が、ウチを寝ぼけ頭と寝ぼけまなこから解放したのにゃん。


 ……ここで、すっ飛ばしても一向に構わにゃい余談を一つにゃ。

『ぐがあぁぁんにゃっ! ぐがあぁぁんにゃっ!』

「……とまぁこんないびきをかいていたわん」

「失礼にゃ。ウチはいびきにゃんて、これっぽっちもかいていにゃいのにゃよぉ」

「口を思いっ切り大きく開けたアホづらこいて、しっかとかいてたわん。

 この耳でちゃんと聴いたもん。間違いないわん」

「にゃから、そんにゃ覚えにゃんてにゃいのにゃ。

 ミーにゃんこそ」

『ぐがががわぁぁん! ぐがががわぁぁん!』

「たまぁに、にゃけれども、こんにゃ風にかいているのにゃん」

「し、失礼なことをいわないで欲しいわん。アタシは生まれてからただの一度だって、いびきなんてかいた覚えはないわん。無実に決まっているわん」

「にゃってこの耳でしかと聴いたのにゃよぉ」

「空耳だわん。誰にでもあることだわん」

「にゃら、ウチもそうにゃん」

「モワンはかいたわん!」「ミーにゃんこそ、かいたのにゃん!」

「モワンはかいたわん!」「ミーにゃんこそ、かいたのにゃん!」

「モワンはかいたわん!」「ミーにゃんこそ、かいたのにゃん!」

 …………………………。 …………………………。

 はぁはぁはぁ。

 にゃはぁにゃはぁにゃはぁ。

「モ……。ねぇ、モワン。キリがないから、ここは引き分けとしない?」

「にゃら、どちらもにゃ、いびきは、かかにゃかったってことで」

「うん。めでたし、めでたし、だわん」

 ……すっ飛ばしても一向に構わにゃい余談はここまでにゃん。


 ついに夜がきたのにゃ。待ちに待った夜が。お祭りの始まりにゃん。

 ウチらは妖体。自らが自然放出する霊波の光のおかげで、昼間みたいに、とまではいかにゃいにしてもにゃ。にゃんの不自由も感じにゃい明るさにゃん。

「みんなぁ! 霊華大会をおっ始めるわん!」

 うおぉぉっ!

 ウチらは一斉に気炎を吐いたのにゃ。

(さぁ本番にゃ)

 ミーにゃんのかけ声でウチは火口の上にネコダマを置いたのにゃ。

 リハーサルではここで、レミロにゃんを中継に、ミロネにゃんとヴィナにゃんの間で意志の疎通が図られたのにゃけれども、あれは念の為。本番は違うのにゃん。ミロネにゃんもレミロにゃんもマザーミロネにゃんの影霊にゃもんで、この三者がネットを通して完全に繋がっている状態であれば、ミロネにゃんの視界や霊覚を他の二者も共有することが出来るのにゃ。これに加え、今回はヴィナにゃんにも、マザーミロネにゃんに依って共有が許可されているとのこと。つまりにゃ。交信を介すことにゃく、リアルタイムでこちらの姿がヴィナにゃんにまで届いているのにゃ。にゃもんで、ウチがネコダマを置くにゃけで、ヴィナにゃんは霊力を放ってくれる手筈を整えた次第にゃん。余計にゃ手間にゃど一切要らにゃい。タイムラグも大幅に減る。とまぁいいこと尽くめの仕組みにゃん。

(霊体って便利にゃ)


 置いて間もにゃくにゃ。ネコダマが、ほんのり、と赤くにゃってきたのにゃん。

(ヴィナにゃんから送られてきた霊力の注入が始まったのにゃん!)

 ネコダマはみるみる間に真っ赤っ赤にゃ。でもって、心にゃしか膨らんにゃようにゃ気も。リハーサルで見たかぎりでは、この状態までくれば、もう打ち上げまであとほんのわずかのはずにゃ。

「そろそろかなぁ」

 打ち上げの時を見極めていたのにゃろう。ミーにゃんは大声で叫ぶ。

「ネコダマ、発射だわん!」

 実は、この命令はにゃんの意味もにゃさにゃい。あらかじめ決めてあった分にゃけの霊力が溜まれば、自動的に発射されるのにゃもん。でもそこはそれにゃ。『総指揮を執るわん』と公言したミーにゃんとしては是非がでも、自分の命令で発射されたという格好を示したいのにゃ。

 そんにゃ親友の思いが、幸か不幸か叶ったのにゃん。タイミング良く、実にタイミング良くネコダマは打ち上げられたのにゃ。

 満天の星空を背景に、ひゅるひゅるひゅるぅ、と上昇。そして…………。


 にゃああぁぁん!


 破裂にゃ! 大輪の霊華が夜空に咲いた瞬間にゃん!

(リハーサルとおんにゃじにゃ)

 ほっ、と胸を撫で下ろしたのはいうまでもにゃい。

 あとはこれの繰り返し、とはいうものの、ウチらの目の前に拡がる霊華の絵柄はいろいろにゃ。時には小さい華とにゃって、時には何本ものしだれた細長い草とにゃって、星々の煌めきが拡がるキャンパスに描かれたのにゃん。

「綺麗にゃあ」「綺麗だわん」

 誰もが、うっとり、とした表情。見上げた視線の先には、『霊華』が咲き乱れるさま。

「あ、あれはアタシだわん!」

(ぶふっ。予想通り、びっくりしているのにゃん)

 そう。風変わりにゃ霊華も用意したのにゃん。

 ミーにゃん同盟の仲間、友にゃちひとりひとりの顔が、次々と浮かんでは消え、浮かんでは消えたのにゃ。

「お次は……うおっ! ボクだよぉ!」

「今度は……、うわぁい! あれはミムカでありまぁす!」

 ミムカにゃんの今の姿は白黒入り混じった翅人型にゃ。ミーにゃんと手と手を取り合って、ともに、にこにこ顔にゃん。

「あっ、これは、あたちゅでちゅにゃあ!」

 特別ゲストのマロンにゃんも、ご満悦の様子にゃ。

(ぶふっ。みんにゃ驚いている。喜んでいる。楽しいにゃあ)

 気がつけば、上空に大霊蛇の姿が。ウチらとおんにゃじで霊華を眺めているのにゃ。

(イオラにゃんも来てくれたのにゃん)

 ネコダマを乗せるたんびに、ウチは『まにゃ見れる、まにゃ見れる』と心浮き浮き状態。

(いつまでも見ていたいものにゃん)

 そう思いにゃがら続けていたのにゃ。

 安全第一を考え、今夜ここに集まっているのはウチら関係者のみ、にゃのにゃけれども、

星空に瞬く霊華の煌めきは、森中の生き物が見ていたのに違いにゃい。


 楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていくのにゃ。

 打ち上げもこれで百発目。とうとうネコダマが最後の一つ、とにゃったところで、

 ヴィナにゃんの声が心に届いたのにゃん。

『これで終わりだ』

 にゃああぁぁん!

 打ち上げ成功! そして……打ちどめにゃん。

『ようやくマグマ内の霊圧を正常に戻すことが出来た。これでヴィナも元のお務めに戻れよう。全てはお主らのおかげだ。

 村を思う温かい志。なされた尽力の数々。ヴィナは生涯忘れぬ。

 ゆえに我が名をもって心からの感謝の意を表わしたい。……「有難う」と』


 お祭りの最後を締め括るに相応しい言葉が心に届いたのにゃん。

 続いてミーにゃんの声。

「霊華大会、これにて終了だわん!」

 ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。

 この場に居る誰もが拍手を送ったのにゃ。でもって顔にもにゃ。『満面の笑み』と呼ぶに相応しい表情が浮かんでいたのにゃん。

(自分の顔は見えにゃいのにゃけれども、もちろん、ウチもにゃ)


「ワタシだって、いびきなんかぜぇったい、かかないわ!」

「ふぅぅん。そうにゃの」

「ふぅぅん。そうわん」

「……ねぇ、お願い。こっちのテンション下げるの、やめてくれないかしら」

「しょうがないわん。

 だってさ。アタシもミアンも、お話の中でたぁっぷりと口喧嘩したもん。

 もうどうでもいいわん」

「そんなぁ。

 くうぅっ。ワタシとしたことが時代に取り残されてしまうなんて……」

「いや、時代じゃにゃくて。単純に出番があるかにゃいかの」

「しいぃっ。

 ミアン。イオラの前では、『出番』の『出』の字も口に出してはいけないわん。

 傷口に『塩』どころか、『砂利』をすり込む結果になるわん」



「ねぇ、ミアンにイオラぁ。そろそろ時がきた、とは思わない?」

「うんにゃ」「そうね」

「だったら、最初はミアン、次はアタシ、最後を締め括るはイオラ。

 これでいいわん?」

「もちろんにゃ」

「異議なんてないわ」

「よぉし! それじゃあ、ミアン。始めちゃってぇ」

「うんにゃ」


「いよいよ次回はにゃ。『感動の』」

「とはいかず、ごめんなさいわぁん、と謝るくらいに『感動じゃなくても』」

「いいんじゃないかしら。ふふっ。だって、『どちらであろうと』」


『最終回!』


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