エピローグ『ウチもミーにゃん』のその③(最終回)
エピローグ『ウチもミーにゃん』のその③
お祭りの間は夢の中。でもにゃ。悲しいかにゃ、終われば、誰もが現実へと引き戻される。……ということで、ウチらにもその時がやってきたのにゃ。
『霊華大会』が終わるとにゃ。みんにゃがみんにゃ、『じゃあ、また明日』といって、この場から引き上げていったのにゃん。
長椅子に残っているのは、ウチとミーにゃんのみにゃ。
もっとも……、夜空を見上げれば、今も尚、大霊蛇の姿が。霊華の代わりに、今度は一番大っきにゃ星を眺めているのにゃ。この星って五つに砕けてはいるものの、互いの引き合う力で、元のようにゃ一つの真ん丸星に見えているのにゃ。にゃもんで、人間の間ではこの星を『砕月』と呼び、砕月を眺めることを『お月見』と呼んでいるのにゃ。
……またつまらにゅ余談をしてしまった。話を戻さにゃくては。
大会が無事に終わって、ほっ、としたせいもある。ウチは今、ぐったり状態で、にゃにをするのも面倒くさい。にゃもんで、長椅子の背もたれに寄りかかるようにゃ感じで寝そべっているのにゃん。
「やったね!」
ミーにゃんはまにゃまにゃ元気そう。飛びっきり上等の笑顔を見せたあとは、ウチの脇腹にそっと身を寄せたのにゃ。横向きにもたれた格好にゃもんで、首をちょっと回すにゃけで、顔と顔が向き合えるのにゃん。
(これにゃ。この顔が見たかったのにゃ)
夢見るようにゃ目つきが、どれほどの感動を与えたかを物語っていたのにゃん。
「願いを叶えてくれたからアタシもいうわん。
有難う、モワン」
「どう致しましてにゃん」
上機嫌にゃのも無理はにゃい。打ち上げの成功。霊華の煌びやかさ。『発射だわん!』のタイミング。全てに渡って満足のいく結果とにゃったのにゃもん。
(めでたし、めでたし、にゃん)
ミーにゃんがにゃあんか、もじもじ、し始めたのにゃ。
「ねぇ、ミアン。あれって……ううん。やっぱり、やめておこうかなぁ。
今更こんなことを聴くのもなぁ。
聴いても判らないかもしれないしぃ。ううん。迷うわぁん」
「にゃんにゃ? にゃにか知りたいことでもあるのにゃん?」
「ええいっ。『聴くは一時の恥。聴かぬは一生の恥』ともいうわん。
だったら、この際、聴いちゃうわん。
ねぇ、モワン。あれってどういう仕組みで打ち上げられているの?」
「ふにゃ。まにゃ話してにゃかったっけ? まっ、大ざっぱにいうとにゃ」
……とまぁそんにゃわけでウチは柄にもにゃく、説明にゃんぞをおっ始めたのにゃん。
「ネコダマの中にはにゃ。霊力が星とにゃって空に散らばる時のデザインを記憶している因子『カム』が含まれているのにゃよ。
上昇してきたヴィナにゃんからの霊力はネコダマに穴を開け、内部へと突入する。溜め込まれる間に、今いったカムを帯びることににゃるのにゃけれども、同時に内部の霊圧をも高めていくのにゃ。ヴィナにゃんの霊力は打ち上げ一回分の量毎に放つよう決めてあるから、全部がネコダマに収まれば、開けられた穴から今度は外気が侵入してくる。これがトリガーとにゃって内部の霊圧が一気に上昇。噴射という形で穴から吐き出され、ネコダマは打ち上げられる、といった次第にゃ。
霊圧は飛んでいく間も高まっていく。そして……こちらがあらかじめ想定した高さまで達した時、ネコダマは破裂。あとは見ての通りにゃ。内部の霊力は星とにゃってウチらが決めたデザインを夜空に描いたのにゃん。
どうにゃ? 判ってくれたのにゃん?」
「えっ。……ああ、ちょっとだけね」
(にゃと思った。話の途中から浮かにゃい顔をしていたもの)
「ごめんにゃ。こういう話をするのって苦手にゃんよ」
ネコダマを造ったのはウチにゃのにゃけれども、内部の仕掛けはレミロにゃんが知恵を絞って造ったのにゃ。説明を聴いて、一応、納得したつもりではいたのにゃ。でもにゃ。やっぱり、誰が聴いても判るように話す、っていうのは難しいものにゃん。
「ううん。モワンのせいじゃないわん。
でもまさか、こんなに綺麗なものを見せてくれるなんて……、
すっごく嬉しいわん」
「良かったぁ。苦労した甲斐があったというものにゃ」
ウチとしても、霊華のデザインがあれで良かったのかどうか心配にゃったのにゃ。
(ほっ。どうやら、お気に召してはもらえたようにゃん)
マグマからの霊力を空へと逃す。これを決めた時から、『心ときめくものを』と口にしたミーにゃんの思いがウチの頭をかすめていたのにゃ。ネコダマを使うことにしたのもそれが理由にゃん。
(にゃにもかも上手くいって良かったにゃあ)
村が助かったのも然ることにゃがら、ミーにゃんが喜んでくれたこともまた、ウチにはたとえようもにゃく嬉しかったのにゃん。
ふと想い出した、みたいにゃ感じでミーにゃんが、『ねぇ、もう一つ聴いてもいい?』と半ば遠慮がちに話しかけてきたのにゃん。
「ええと……マロン……だったっけ? 霊穴路に閉じ込められた小っちゃい地中ネコを救おうって、みんなでにゃあまんに乗り込んだじゃない。なのに、どうしてミアンだけが、にゃあまんになったみたいにあれこれ動かすことが出来たわん?
そこんところが今も謎なの。さっぱり判らないわん」
「ああ、そのことにゃん。
実はにゃ。あとでレミロにゃんにも聴いてはみたのにゃよ。でもにゃ。にゃあまん様に関する記憶が欠落しているらしくてにゃ。『こうだから』という明確にゃ答は出せにゃいみたいにゃのにゃん。にゃもんで、ウチが自分の身体として使えたのも、ミーにゃんが右腕に移動したのも、ミリアにゃんが尻尾から注射針を出せたのも、『こうかも』ぐらいの答えで、推測の域を出にゃいのにゃて」
「そうかぁ。……ああでも、推測でもいいから、一応、なんていったか教えて」
「にゃら、いうけどにゃ。先ずはミリアにゃんからにゃ。注射針の件についていえば、あれはにゃあまん様の霊力の一つで、たまたまミリアにゃんの『こうしたい』の念が、にゃあまん様の霊力に感応して、それで、と考えているみたいにゃ」
「ふぅぅん。まぁそこら辺りが妥当な線かもしれないわん」
「でもって、お次はミーにゃんの移動の件にゃ」
「それそれ、それを聴かなくっちゃ」
「吹っ飛んにゃ右手を再生するには、居にゃくにゃったミロネにゃんの代わりがどうしても必要にゃった。にゃもんで移ってもらったのにゃ。
……にゃあんて意味のことをいっていたにゃ」
「あれっ? でも、そうするとぉ」
「まぁまぁ。ミーにゃんがいわんとしていることは、三つ目の件でも当てはまるから、先ずはそれを喋ってからにして欲しいのにゃ」
「うん。判ったわん」
「ウチがにゃあまん様の身体を動かせた件についてはにゃ。こちらはもっと、『そうかもにゃ』と思える答えをしてくれたのにゃ」
「というと?」
「ほら、あの時って、ミーにゃんやウチも含めて、七にんもの妖体が乗り込んにゃのにゃよ。その誰もがにゃあまん様を動かせたとしたら、一体どうにゃると思う?」
「なぁるほどね。返って動けなくなるかも。歩こうとするたんびに、ばたんばたん、と倒れるさまが容易に想像出来るわん」
「にゃろう? にゃもんで、『自分の身体を動かせる者はひとりにゃあ』と、にゃあまん様は考えた。とまぁそんにゃ風に思っているみたいにゃんよ」
「考えた? ええと、さっきのも含めて、なんかいっていることがおかしいわん。
確か、にゃあまんって、心が空っぽ同然なんでしょ?
なのに、どうやって?」
「『空っぽ同然』と『空っぽ』とは違うのにゃと。
今もわずかにゃがらに残されているにゃあまん様の心の力が、これらを可能にした、との見方をしていたにゃ」
「なんか、へ理屈っぽいけど……」
(いうと思ったのにゃん)
「しょうがにゃいんよ。最初にもいったように、これらはみんにゃ推測にゃ。ウチやミーにゃんが、『こうにゃんじゃにゃいの?』って考えるのとおんにゃじぐらいの『確かさ』しかにゃいんにゃと」
「ふぅぅん。まぁまるっきり違うとも思えないから、レミロんの考えでいいわん。
アタシたちやマロンが取り込まれたことだって、それなら一応の説明がつくしね」
「レミロにゃんの考え、というよりかは、マザーミロネにゃんの考え、といったほうが正しいのかもにゃ」
「どっちでもいいわん。レミロんでも、マミんでも。考えの出所は一緒なんだから」
(ミもフタもにゃいのにゃあ)
「でもさ、モワン」
「うん?」
「もし仮によ。アタシとモワンのふたりだけだったとしたら……、
心と心、シンクロ出来たと思うわん。
アタシの思いはモワンの思い。モワンの願いはアタシの願い。どっちが動かそうとも上手くいったし、ちゃんと、目的も果たせたと思うわん。
絶対よ。だって家族だもん」
「ミーにゃん……」
胸に熱いものが込み上げてくる。にゃもんで、
「うんにゃ」とうなずくのが精一杯にゃん。
見上げて大霊蛇を眺め始めたミーにゃんを、ウチはそっと見つめたのにゃ。
小っちゃい身体に、まにゃまにゃあどけにゃい顔……にゃがらも生きる力を、生きていたいと思う力を与えてくれる。ウチにとってはこの上もにゃく、でっかい存在にゃ。
(有難う、ミーにゃん)
逢えて良かったと思わずにはいられにゃい。
(でもにゃあ。相変わらず、名前は間違っているのにゃ)
「ミーにゃん」
話しかけた声に、ぴくっ、と反応。でもって再び向き合ったらにゃ、
「うん? なに?」と聴いてきた。にゃもんで、にっこり、と微笑んにゃのにゃ。
「ウチはミアンにゃ」
口癖とにゃってしまった言葉とともに。
(そうにゃ。これもいっておこう、っと)
「それから、も一つにゃ」
「も一つ? なんなの?」
笑顔はもちろん、きょとん、とした顔も、とぉっても可愛いのにゃん。
(ミーにゃんの親友で良かったにゃあ)
そう思えるひととき。いつまでも大事にしたい。
ミーにゃんの言葉通り、心を一つでいられたら。
この気持ちが別の言葉で口から飛び出したのにゃ。
「ウチもミーにゃん」
おしまい、にゃん!
「えっへん! アタシはでっかい存在だわん!」
「エピローグもこれでおしまい。にゃあまん『ウチのミーにゃん』の最終回にゃ。
みんにゃ、お疲れ様でしたのにゃん」
ぱちぱちぱち。
「本当、終わってしまったのね。ミアンちゃんこそ、お疲れ様でした」
「ええと、アタシはでっかい存在」
「最後の最後までつき合ってくれて痛み入るのにゃん。
物語が前後してしまったのにゃけれども、前にも話した通り、今回が第一作目にゃ。
でもって二作目の……ええと、にゃんにゃったっけぇ……そうにゃん!
にゃあまん『ミリアにゃんが居にゃいのにゃん!』へと続くわけにゃ」
「残念ながら二作目って、ワタシの出番がないのよねぇ。
まっ、これも運命と思って諦めるとしますか」
「あのね、アタシはでっかい」
「イオラにゃん、申しわけにゃい。
二作目は、『パン』にゃんていうヨモギ団子の串の力を借りて、ウチが『にゃあまん様』を動かす物語にゃ。でもって、もちっと詳しくいうとにゃ」
「いいんじゃないかしら。ここで話さなくても」
「それもそうにゃん。にゃら、最後はみんにゃで」
「だからね。でっかい」
「ほらほら、ミーにゃんも」
「そうそう。一緒にね。声を揃えて」
「でっかい……もういいわん。
ミアンもイオラもやる気まんまんみたいだし、ここは気を取り直してやるとするわぁん。
よぉし! それじゃあ」
「ちょっと待ったぁ!」
ききぃっ。
「つれないじゃないか。ボクも入れてくれよ」
「そうでちゅにゃ。あたちゅもお願いしまちゅ」
「ふにゃ!
ミクリにゃんに、マロンにゃんも来たのにゃん」
「ミーナ。ミムカをお忘れなくぅっ、でありまぁす」
「ふふっ。来ると思ったわん。ミムカん、こっちこっち」
「わたしもね」「済まない。強引に押しかけて」
「にゃんのにゃんの。ミストにゃん、ミロネにゃん」
「済みません、折角来たのに、これといった同好会も思いつかなくて」
「ほっ、としたわん」
「ミリアにゃん、大助かりにゃ」
わいわい。がやがや。
「あらまっ。ずいぶんと集まったわねぇ。
……にしても、精霊の間が、こんなに賑やかになったのって初めてじゃないかしら。
ちょっと感動。
ということで、ミーナちゃん、あとはよろしくぅっ」
「ミーにゃん、頼むにゃよぉっ」
「うん!」
ぱんぱん。
「ほぉら。お静かにするわぁん!」
わいわい……ぴたぁっ。
しぃぃん。
(うっそぉっ。本当に静かになったわん。
アタシって、保母さんの才能があるのかなぁ?
それともぉ。みんなが物分り良すぎなのかなぁ?
……まっ、この際どっちでもいいわん)
「それじゃあ、みんなぁ! いっくよぉっ!」
おぉうっ!
「せぇのぉっ!」
『おっしまいにゃああぁぁん!』




