第十五話『マロンにゃんを助けるのにゃん!』のその⑧
第十五話『マロンにゃんを助けるのにゃん!』のその⑧
(よぉし! 一気に突破にゃあん!)
そして……ついに、
ずぼぼぼぼおおぉぉっ…………ずぼっ!
火口から飛び出した!
びゅうぅぅん!
紙一重の差でマグマの霊力を振り切ったのにゃん。
「やったぁ! ゴールにゃん!」
他の友にゃちも声を揃えて、
『やったぁ!』
一つの勝利を手にしたようにゃそんにゃ心持ちでウチは、にゃあまん様の身体を溶岩石で覆い尽くされた火口の直ぐそばへと降ろしたのにゃん。
……紫の光芒が真っ直ぐに上昇していく気配を背後にしっかりと感じにゃがら。
後日、ダマラの数が急激に減った理由をレミロにゃんから聴かせてもらったのにゃ。
大っきにゃ原因としては二つあげられるとのこと。
一つは、ダマラを掌握していたレイアにゃんが消えたことにゃ。まぁこれはウチも予想はしていたのにゃけれども……。
問題は、も一つのほうにゃ。にゃんと、レイアにゃんと遭う前、火口へと入った時点で起きていたのにゃ。にゃあまん様が霊穴路の中を動けば動くほど、ダマラの粒子が壊れていったそうにゃ。
「今更こんなことをいうのもなんなのですが……、静かに火口の中へ入ったとしても、にゃあまん殿のパワーであれば余裕でマロン殿の元まで辿り着けたのです。
皮肉な見方をするなら、ダマラを利用したレイアが、結果的に、にゃあまん殿の破壊力からダマラを守り、その力が弱まるのを防いでいた。マロン殿も迫りくる霊力に呑み込まれずに済んだ。そういえないこともないのです」との言葉で話は締め括られたのにゃけれども……ふぅっ。本当、今更にゃ話にゃん。
無事に出られたのはいいとして、困ったことが起きてしまったのにゃ。どうやって、にゃあまん様から飛び出したらいいか判らにゃいのにゃん。頼みのレミロにゃんに聴いても、『申しわけありません。何分、記憶が欠落したままなので』としか答えてくれにゃい。にゃもんで、『どうすれば』とみんにゃで話し合っていたらにゃ。友にゃちのひとりから、『私に任せて下さい』の自信たっぷりの一言が。
「ミリアにゃん。一体どうするつもりにゃの?」
「これを使えばいいのです」
そういってから、ぴぃん、と、にゃあまん様の頭より長く延びたもの。どこの誰が見ても、ミリアにゃんの居る尻尾にゃん。
「あんた、にゃんでそんにゃことが出来るのにゃん?」
(頭に居るウチしか、にゃあまん様は動かせにゃいはずにゃのに……)
「やってみたら出来ちゃったんです」
「出来ちゃったって……」
あんぐりと口を開くしかにゃい。見回せば、ミリアにゃん以外が、おんにゃじ顔にゃ。
「そうですね。いうなれば、『愛』です。『愛』は全てを可能に」
「ストップにゃん!」
ウチは慌ててミリアにゃんの言葉を遮ったのにゃ。ここにはマロンにゃんも居る。『おかしにゃことを教えて、とんでもにゃい妖精ににゃったら』との危機感からにゃ。
「『愛』はいいから、『これからどうするか?』を話しにゃさい」
不承不承にゃがらも、ミリアにゃんは、
「そうですね。『愛』の講義はまた次の機会にでも」
(みんにゃで断固阻止するのにゃん)
目配せしたところにゃ。常識ある友にゃちみんにゃが、うなずいてくれたのにゃ。
『近い未来の危機回避にゃん』と、ほっ、と胸を撫で下ろしたのはいうまでもにゃい。
ミリアにゃんの顔には自慢げにゃ表情が。
「これをこうすれば……、と」
ぴきぃん。
「はい、出来上がりです」
「にゃんと!」
尻尾の先から、光沢を放つ銀色のとがったものが飛び出してきたのにゃ。
「注射針です。これでにゃあまん様のお尻を突き刺せばいいのです」
温和にゃ顔立ちにゃのに、いうことが物騒にゃお方にゃん。
「刺してどうするのにゃ」
「ふふっ。答えるよりも、いざ行動です!」
「行動です、っていわれてもにゃあ」
ぶずっ!
「ふにゃん!」
お尻の右ほっぺがやられたのにゃ。
そして……ウチの耳に届いたのは、ミリアにゃんお得意の呪。
「無気力波ぁっ!」
間髪容れずに……ってとこにゃろうか。気を失いそうににゃったウチを始め、仲間のみんにゃが次々と、にゃあまん様から排出されたのにゃ。
みんにゃがみんにゃ、近くの熔岩石へと降り立った、と思っていたのにゃ。
ところが……、ミリアにゃんにゃけが、思いっ切り吹っ飛ばされたのにゃ。
でもって、
ばっがぁん!
この付近で一番大っきにゃ岩石に、のめり込んにゃ形で張りついたのにゃん。
背中をこちらへと向け、四肢を拡げた姿で。
(にゃんとも哀れにゃお姿にゃん)
ぎぎぎ、と、やや潰れた感のある顔をこちらへと向けて口にした言葉は、
「な、なんで私だけがこんな目に……」
すたすたすた、と近づくウチ。
「あのにゃあ。胸に手を当てて良ぉく考えてみるのにゃ」
「この格好じゃ無理です。早く岩からはがして下さい」
「まぁまぁ。慌てにゃくてもいいのにゃ。しばらくはそうしていにゃさい」
「そんなぁ!」
無気力波を注入すれば、にゃあまん様はやる気を失って、がっくり、とくるのに違いにゃい。そうにゃれば、ロックが外れて自分らは外に出られるはずにゃ。とまぁこれがミリアにゃんの考えにゃったらしい。で、実際はどうだったかといえば……、
にゃあまん様は両足をしっかりと踏ん張らせた姿で神々しくお立ちににゃっているのにゃ。無気力波が通用しにゃかったのは一目瞭然。ウチらが出られたのは、『にゃあまん様のお怒りを買ったから』に相違にゃい。
ミリアにゃん以外の友にゃちも、心に、さざ波をおっ立てたようにゃ。
ウチとマロンにゃんが、
「良かったにゃあ」
「良かったでちゅう」
と喜び合っている直ぐそばでミーにゃんときたら、
「今度にゃあまんに乗り込むことがあったら、ぜぇったい頭だわん。いざとなれば、奪ってでも手に入れてやるわん」といささか物騒にゃ発言をいい放って意気込む始末にゃ。
(目の前に幼子が居るっていうのにぃ。困ったもんにゃ)
ミクリにゃんにしてもにゃ。
「レイアが元に戻れたのは、ボクの拳に威力がなかったせいだよね」と、後悔ともとれる呟きを口にするのはいいとして、
「こうなったら無理矢理にでもミアン君に勝負を挑んで、おのれの力を高めていくしかないのかなぁ」との言葉で結んでしまうのはどうにも頂けにゃい。
(こちらにまで火の粉が降りかかってきそうにゃ。にゃんとも頭の痛い話にゃん)
にゃったら、ミストにゃんは、と目を向けてみるとにゃ。にゃにやらネガティブとポジティブが絡む構図にゃのにゃん。
しゃがんで足元の岩に『の』の字を書きにゃがら、
「結局、わたしはなんにも出来なかったのね」とぼやいているミストにゃんのかたわらで、ミムカにゃんが上半身を屈ませて、
「まぁまぁ。ミムカたちの応援があったからこそ、ことは成就したのだと思いますですよぉ。いうなれば、みぃんなの手柄、勝利なのでありまぁす」と慰めているのにゃ。
(にゃんとも、ほのぼの、とした光景にゃん)
とまぁ思いはそれぞれ違う。でもにゃ。一つの事実にミーにゃん同盟の友にゃちみんにゃが、『やるせなさ』を抱いているのは間違いにゃい……と信じたいのにゃ。
もちろん、それは。
(ミロネにゃんが居にゃいのにゃん)
まっ、『にゃあまん様から出ていく』という目的自体は果たせたのにゃ。
終わり良ければ全て良しにゃん。
お礼の言葉をいおうと、みんにゃで、にゃあまん様の前に立ったのにゃ。
「にゃあま…………」
視界に映ったものが、ウチから言葉を失わせたのにゃ。
身体を形造っていた深碧の真ん丸オモチが、白っぽい石へと戻っていたのにゃん。
続けて足元から白煙が噴射にゃ。
ごごごごごぉっ!
さらば、とばかりに石像のにゃあまん様が上昇していく。
はっ!
にゃあんか、夢うつつ、みたいに、ぼぉっ、と眺めていたのにゃ。我に返ってみれば、ウチを含むネコ型妖体のみんにゃが、まるで申し合わせたかのようにネコ人型モードで立っていた。でもって翅人型の友にゃちともども、にゃあまん様を見送っていたのにゃん。
「有難うにゃああん! さよぉにゃらぁっ!」
咄嗟にウチの口から出た言葉にゃ。他のみんにゃも、
『さよぉならぁっ! 困ったら、また来てちょおだぁい!』
声が届いていようといまいと構わにゃい。ウチらは手を振りにゃがら叫ぶ。感謝の気持ちが自然とそうさせたのにゃん。
他のネコ型とともに四つ足に戻ったウチは、隣に居る友にゃちに声をかけたのにゃ。
「終わったにゃ、ミクリにゃん」
「うん。終わったね、ミアン君」
「にゃあまん様は一体どこへ行くのにゃん?」
「祠さ。……多分、だけどね」
ミクリにゃんとの会話のさにゃか、別にゃ声が割り込んできたのにゃ。
「ミアンちゅわん、ミクリちゅわん」
マロンにゃんにゃ。大変にゃ目に遭ったというのに、元気で、にこにこ顔にゃ。
『ケガはにゃあい?』とか、『ひとりで怖かったにゃろう?』と声をかけてもにゃ。『平気のへっちゃらでちゅ』と、やや自慢げに答えを返してくれるのにゃ。
(にゃんともまぁタフにゃ幼児にゃん)
ほっ、とするやら、感心するやら。それもこれもみんにゃ、にゃあまん様のおかげと、あの真ん丸おモチの身体を思い浮かべた……まさにその時にゃ。
(ウチとしたことが)
重大にゃる忘れ物をしていたことに気がついたのにゃん。
「にゃあまん様ああぁぁ!」
みんにゃよりも前に出て大声で呼んではみたものの、時既に遅しにゃ。
視界に戦神様の姿はもうにゃい。
(折角、ヨモギ団子の身体とにゃったのに……ぐすん。
一口でいいから食べたかったのにゃん)
ウチに続いてもうひとり、涙にゃがらに叫んでいる者が居たのにゃ。
「ぐすん。どうして私が尻尾でなければならなかったんですかぁ!
ぐすん。私のどこが尻尾だというんですかぁ!」
(にゃあまん様のお尻に注射したじゃにゃい。適材適所にゃ)
うかつに喋って絡まれでもしたら大変。にゃもんで心の中でそっと呟いたのにゃん。
にゃあまん様が去って間もにゃく、『そういえば』とウチとミクリにゃんは互いの額に目を向けたのにゃ。どちらの花丸印のハンコ跡も、綺麗さっぱりと消えていたのにゃん。
(有難う、おばあにゃん。願いは叶ったのにゃよ)
にゃあんか猛烈にゃる疲れに見舞われたのにゃん。もうにゃにもかもが面倒くさい。にゃもんで、大あくびをしたのにゃん。
「ふわあぁぁんにゃ」
『助かった』との安堵の気持ちからか。それともミリアにゃんの無気力波のせいか。どうにも眠い。眠くてたまらにゃいのにゃ。
見回せば、みんにゃもおんにゃじみたい。にゃもんで、風化した白っぽい熔岩石の上で円陣を組むと、それぞれの頭の先を円の中心に向けて、ばたっ、と寝転んにゃのにゃん。
おネムに入りかけ、意識がモウロウとするさにゃか、ウチは、ぽろりん、とメロディを聴いた気がしたのにゃ。優しく話しかけているようにゃ音色。こういっているようにも思えたのにゃん。
『愛してくれて有難う』と。多分、ミロネにゃんを、にゃ。
そして、も一つ、
『お休みなさい、可愛い子供たち』と。こっちは恐らくウチらのことにゃん。
(マザーミロネにゃん……)
目覚めた時にはウチもミーにゃんも、イオラにゃんのそばに居たのにゃ。
知らにゃいうちにウチらが棲み家とする、『精霊の間』へと戻っていたのにゃん。
「長かったにゃあ。でもにゃ。これでやっといえるのにゃん。
第十五話も、めでたく終了にゃあああん!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「まさか一話分でこんなに長くなるなんてね。夢にも思わなかったわん」
「まさに青天の霹靂。
でもまぁハッピーエンドみたいだし、良かったんじゃないかしら」
「そうでもにゃいんよ。
にゃあ、ミーにゃん。今度、にゃあまん様に乗り込むことがあったとしたらにゃ。
どの部位に行きたいのにゃん?」
「アタシ? そりゃあ、頭よ。決まっているわん」
「なら、この次は頼むにゃ」
「本当に? でもどうして?」
「にゃって注射にゃもん。どうしたわけか、頭を占有している者にはにゃ。
にゃあまん様の被った痛みが、ちぃとばかし走るみたいにゃのにゃん」
「ううん……それは……ああでも、必ずしも注射針が出るわけじゃあ」
「ごほん。ミーナさん、お任せ下さい。 私は期待を裏切りません。
乗り込む時がまたありましたら、是非とも私とご一緒に」
「ミリアん! なんでここに居るのぉ!」
「やってみたら出来ちゃったんです」
「あんた、そればっかにゃん」
「でもどうして? 結界でも壊れたのかしら?
そういえば、ここってワタシが生まれたのと同時に造られているのよねぇ。
だったら、無理もないかしら。
たとえるなら、そうね、もう相当に齢食ったオババ……あわわわ」
「イオラにゃん。にゃにを泡食っているのにゃん?」
「ふうっ。
ううん。なんでもないわ、ミアンちゃん。
自分で自分の墓穴を掘るようなお喋りなんて、これっぽっちもしてなくってよ」




