表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/67

第十話『食べたが勝ち、にゃのにゃん!』のその②

 第十話『食べたが勝ち、にゃのにゃん!』のその②


(にゃんかずいぶんと先走った発言を)

 アホのド迫力に圧倒されつつも、ウチは冷静にゃる判断力を失ってはいにゃかったのにゃん。エラいのにゃん。すっごいのにゃん。自分を褒めてあげたいのにゃん。

 ……とまぁ『にゃん』が四連続するほどの奇跡にゃのにゃん。

「ちょいとお待ちにゃさい。いつにゃ?

 いつ、『真心同好会』が結成されたのにゃん?

 それとにゃ。誰と誰が会員にゃん?」

「なにをとぼけていますか。ミーにゃん同盟全員ですよ。

 もちろん、教祖は私。連判状もあります」

 そういって、ひらっ、と、どこからともにゃく現われた紙切れ一枚を手渡されたのにゃ。

「どれどれ……。ふふぅん。やっぱりにゃん」

「やっぱり、って……、なにがでしょう?」

「ほぉら、見にゃさい。名前は書いてあるのにゃけれども、みんにゃおんにゃじにゃ。

 これはミリアにゃん、あんたの字にゃよ」

 真相を暴かれて怯むかと思いきや、泰然とした様子でいい返してくるのにゃん。

「確かに名前は私が書きました。でもその下。押捺印はみなさんの指に間違いありません」

「悪あがきも大概にするもんにゃ。こんにゃのに押した記憶にゃんてこれっぽっちも……」

 そう口にしつつもどこか不安。にゃもんで念の為とばかり、地面の土を指にこすりつけると、ウチの印が押されている隣、にゃんにも書かれていにゃい真っさらにゃ部分に、ぺたん、と押してみたのにゃ。比較してみたら、そりゃもうびっくり。

「にゃ、にゃんと!

 確かにこれはウチのにゃ。しかも……、良ぉく見れば、みんにゃのもそれっぽい」

「当たり前ですよ。みなさんに押してもらったんですから」

「にゃから、いつにゃ! どこでにゃん!」

 全く身に覚えがにゃい。語気も強くにゃろうというもの。でもにゃ。それくらいでうろたえるようにゃ甘い相手にゃど、ミーにゃん同盟にはひとりも居にゃい。ミリアにゃんもまた然りにゃん。

「ええと、ですねぇ。正確には覚えていませんけどぉ……、

 いつものように『遊び場』にて、ごろごろごろごろ、みんなでうたた寝をしていた時だったと思います。一つの夢想が私の脳裏に浮かびましてね。『これは是非とも』と起き上がって、ミーにゃん同盟のひとりひとりに、『真心同好会に入りませんか? 幸せになれますよ』みたいな感じの話をして誘ったんです。連判状だって、こんな時の為に、と常日頃から用意してあります。しかし……、一巡目はがっかりする結果に終わりました。誰も背中を向けたまま、なんにもいってくれないんです。でも、『ミリア、ここでめげてはダメ』と自分にいい聞かせて、二巡目へと突入したんです。今度は声をかけたあとに、ぽんぽん、と肩を叩いてみましたよ。そしたらどうでしょう。ひとり目から、くるっ、とこちらを振り向いて、地面に置いた連判状に、ぽん、と。いやあ、やってみるもんですねぇ。終わってみれば、みんながみんな押してくれましたよ。

 もっとも……、中には押す力が弱くて見えにくかったりとか、見当違いの場所に押したりとかもありましたけど、そこはそれ、です。気持ちは判りましたから、『こちらですよ』って親切心で正しい箇所まで相手の指を持っていって、ぎゅぅっ、と押しつけてあげましたよ」

 ……謎は全て解けたのにゃ。霊体にゃのに腸が煮えくり返る思いにゃん。

「あのにゃあ」

 びりびりびり。びりびりびり。

 ミリアにゃんが、『あっ! ダメです!』と悲鳴にも似た声を上げるのも構わずウチは、連判状にゃる紙っ切れを引き裂いたのにゃん。でもって、

 ぷふぅ。

 口から吐き出した霊気で塵と化したのにゃ。

「それはたにゃの寝返りにゃん!」


 ミリアにゃんって基本、のんびり屋さん、と思うのにゃ。とにかく暇さえあれば、ぼけぇっ、としている。歩いている時でも、『脇目も振らず、すたすたと』にゃんてのをお目にかかったことが一度もにゃい。見慣れた景色にゃろうに物珍しげにゃ様子で周りをじっくりと眺め、時には、ご丁寧にもその場で、くるっ、と一回り。でもって足取りもゆっくりの、自然を満喫しにゃがらのぶらぶら歩き。連れ立っていると、こっちが眠たくにゃるくらい。お喋りでもそう。良く口にする『そう……ですねぇ。ああ、そう……かもしれませんねぇ』にしてもにゃ。のんびり感が、ひしひし、と伝わってくるのにゃん。

 とまぁ『のんびり』がそのまま妖体とにゃったのでは? と勘ぐるほど、ミリアにゃんはいっつも慌てず騒がずの、ゆったりと構えた風。それでいて、世話好きにゃ一面も覗かせるのは、きっと、根が親切で優しいからにゃ。おんにゃじネコ型妖体ってこともあり、一緒に居ると、ほのぼの、とした気持ちにさせられる……と、ここまではいいところにゃ。

 でもにゃ。悪いところも、しっかとあるのにゃん。のんびりが度を越して、にゃにを話しかけても上の空、みたいにゃ呆然自失の体とにゃるのが、しばしば見受けられる。夢想とやらに、ハマった証拠にゃ。こうにゃったらもういけにゃい。我に返った途端、のんびり屋さんの欠片もにゃくにゃる。まるでネコが変わったように、自分を教祖とする妖しげにゃサークルを提案。他ネコを引きずり込もうと、そりゃあもう懸命にあれこれと画策する始末にゃ。

(これさえにゃければにゃあ)

 つくづくそう思うのにゃん。

 愚痴はここまで。ウチの一喝と連判状を失ったことで、ミリアにゃんの同好会熱も一気に冷めたようにゃ。にゃもんで話を『条件を一つ』にまで戻してもらったのにゃん。するとにゃ。ミリアにゃんの顔に、にやり、とにゃにやら意味ありげにゃ笑みが浮かんできたのにゃん。

「さてと。ミアンさん、ここで問題です。にゃんもさんは、なんていったと思います?」

(そんにゃ、いきにゃり)

「ええと……あっ!

 ひょっとして、遊びたいから、じゃんけんぽん!」

「木とどうやって?」

「にゃら……そうにゃ! にらめっこ!」

「ミアンさん。しつっこいようですけど相手は木ですよ」

(んもう、判らにゃいのにゃん!)

「にゃあ、ミリアにゃん。意地悪をしにゃいで、にゃんでもいいから一つヒントを」

「あれを見れば、一目瞭然だと思いますけど」

 ミリアにゃんが指し示すほうには、ミーにゃんの食べ続ける姿が。

「判ったのにゃん!」

「ですよね」

 ウチにしては珍しく、ぴん、と閃くものがあったのにゃ。にゃもんで、口にするセリフも自然と勝ち誇ったようにゃ口調に。

「ふたりともこういわれたのに違いにゃい!

『食べた物の残りカスを、どちらが早くお尻から出せるのか興味があるから競争してみにゃさい』って!」

 ばしっ! ぼがっ! ぐさっ! ずぶっ!


 教訓。思いついたからといって、にゃんの考えもにゃしにそのまま口にしてはいけにゃい。身の破滅へと至る早道と知れ、にゃのにゃん。


 そして……ウチはお目目を、ぱっちり、と開けたのにゃ。誰かにゃんと誰かにゃんから袋叩きの目に遭わされたのはおぼろげにゃがらも覚えているのにゃ。でもにゃ。あとの記憶が全くにゃい。気を失った、と悟ったのにゃん。

「大丈夫ですか?」

 声が聞こえてきたのにゃ。にゃもんで起き上がってみたらにゃ。誰かにゃんのひとりが真ん前に居たのにゃよ。にゃらばと、ちょっと離れた先にも顔を向けてみたらにゃ。気を失う前とおんにゃじ場所に、もうひとりの誰かにゃんも居たのにゃ。相も変わらず一心不乱に貪り食い続けるそのさまは、あたかも修験者のそれの如くに思えてにゃらにゃい。

(あれから、さほど時間は経っていにゃいようにゃ)

 どちらの誰かにゃんもウチを見る目は呆れ顔。謝罪の様子は欠片もにゃい。

(やれやれ。口は災いの元にゃ。……にしてもにゃ。ここまでやらにゃくったって)

 後悔と不満とで頭がこんがらがっているウチに、真ん前の誰かにゃん、いや、ミリアにゃんが再び声をかけてきたのにゃ。

「このままだとなにをいい出すのか判らないので私がいっちゃいますね。

 正解は次の通り。

『「にゃんも」との勝負に勝てたのであれば、貸してやっても良いわ』です」

(にゃんと! 面白そうにゃん)

 たちまち頭がすっきり。思わず身を乗り出したのにゃん。

「ほほぉ。で? 勝負ってどんにゃ?」

「それが……」


『ほれ。そなたらの真後ろに、麻呂と同輩の、たんと果実が生っている樹木があろう?

 これからそれな木の枝より、どんどん果実を落っことしては生らせよう。たとえ一瞬でも良い。地面に一個足りとも残っておらぬ状況が生まれれば、そなたたちの勝ちとする。むろん、勝負の開始は最初の一個が落ちてからとなるが。

 どうだ? 勝つ自信はあるかな?』

『ええと……、どうしても勝たなきゃいけませんか?』

『むろん』

『どうしてです?』

『ただの意地悪……いや、単に暇だから……ごほん。いいや、違う。

 そのぉ……そう、苦難を乗り越えてこそ、栄光をつかむことが出来る。欲しいものも手に入る。それを身をもって体験する機会を与えてやろう。とまぁそういうことだ』


「ってなわけでして。それなら、落ちたらすかさず拾って食べて、『はい、終わりです』としようとしたのですが……、

 ほぼ同時に、ばらばらっ、と降るわ降るわの勢い。いやはや、あれではとても」

「にゃ、にゃんと!」

 ウチは心にゃらずもミリアにゃんの言葉を遮ってしまったのにゃ。先に話してくれた、にゃんもにゃんとの会話から、自分の誤解に、はた、と気がついたからにゃ。

「しまったぁ! 深読みしすぎたのにゃん!

 見たまんまじゃにゃいか。裏の裏をかかれてしまったのにゃん!」

 聴けば、にゃんの捻りもにゃい、ありふれた、そばだてた耳ごとごみ箱に捨てたいようにゃ平凡極まりにゃい勝負の内容。いや、にゃからこそ、ショックは大きかったのにゃん。

「ミアンさん。裏の裏は表。だから、まんまで良かったんですよ」

 ミリアにゃんは静かにゃる口調でそう諭したのにゃん。


 ウチは勝負と聴いて、一応、苦言を呈したのにゃ。

「でもにゃあ。ことによると、村の一大事とにゃるかもしれにゃいのにゃよぉ」

「私に文句をいわれましても。それに、『ヴィーナスさんに逢いたいから』とはいえても、どうして逢いたいのかまでは、少なくとも今の時点では出来るだけ伏せておかなければならないのですよね? となれば」

「にゃるほど。で、始めたというわけにゃん」

「お判り頂けたようで。やれやれ……うっぷっ」

「おや、どうしたのにゃん?」

「……いえ、なんかまだ消化し切れていないみたいで」

「それはいけにゃい。事情は判ったから、しばらくは休んでいるがいいにゃん」

「はい。では、……お言葉に……甘えて……」

 ミリアにゃんは、ぐったり、と地べたに横たえたのにゃん。

(まぁにゃんといっても霊体にゃし。じっとしていれば直ぐに)

 と、ここでにゃ。にゃにやら不吉にゃ予感を感じさせる音を耳にしたのにゃん。



『今回のお話は初っ端から大混乱にゃあ。

 目玉はにゃんといってもミリアにゃんと『真心同好会』。

 陰謀渦巻く闇を断て! といったところにゃん」

「本当本当。ミリアんにも困ったもんだわん」

「本当本当。幾らなんでも食べ物のカスを……って、これは違ったかしら?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ