第五話『ミクリにゃんとの出逢いにゃん!』のその④
第五話『ミクリにゃんとの出逢いにゃん!』のその④
がばっ! がばっ!
ほぼ同時に、ウチとミクリにゃんは上半身を起こしたのにゃ。気がつけば、どうしたわけか、お布団の中。
(ひょっとして……)
思い当たる節がにゃいでもにゃい。まっ。それはそれとしてにゃ。
どちらからともにゃく顔を見合わせたのにゃん。
「にゃははは」「ふははは」
「アホにゃん」「アホだね」
そして一緒に、『ふぅ』
殴り合ったのを微塵も感じさせにゃいミクリにゃんの清々しい顔。多分、ウチも、と思う。当たり前といえば当たり前にゃ。お互いを『アホ』と認め、ことあるごとに拳を振るい合うウチらに、わだかまりにゃど、起きようはずもにゃいのにゃん。
それから……、『ふにゃあああん』『ふわああぁぁい』とふたりで大あくび。『さぁ起きるとしようにゃん』と口ではいってみたもののにゃ。まにゃまにゃ眠くてたまらにゃい。
「ところで、と」
ウチとおんにゃじ寝ぼけマナコのミクリにゃんから、こんにゃ発言が飛び出したのにゃ。
「ここへなにしに来たんだったっけ?」
「にゃにしに、って……………………そうにゃん!」
化けネコとはいっても、ウチもまた、れっきとしたネコ。忘れる、といった事態も日常茶飯事にゃ。『それにゃら食事も?』にゃんて意地悪にゃことを思ってはいけにゃい。生前、最後に口にした言葉、『もっと食べ物を』との執念から復活した身にゃ。それとこれとは違うのにゃん。
(にゃんで急に自分で自分の弁護を……そうそう、ここへ来た理由を、忘れてしまった理由を想い出そうとしていたのにゃ。ええと、ええと、にゃんにゃったけかにゃあ……むにゃ。たにゃでさえ眠たいっていうのに、理由、理由って、にゃあんか面倒ににゃってきたにゃあ)
それでも友にゃちが問いかけてきたのにゃ。答えにゃいのは乙女として義理がすたるというもの。にゃもんで、『にゃにしに、って』のあと、寝ぼけマナコにゃがらも必死で脳内検索。そしたら……、やってはみるものにゃ。正解らしきものが頭に浮かぶ。答えを導き出せた嬉しさに思わず、『そうにゃん!』と叫んでいたのにゃ。
(こう見えてもにゃかにゃかの利口者にゃの……はぁふぅ)
急にゃ脱力感に見舞われたのにゃ。脳内検索時の焦燥感も、答えを見つけたという高揚気分も、今とにゃっては過去のもの。残ったのは寝ぼけまなこのウチのみにゃ。
「天空の村の終わりを防ぐ為にゃろう? ふにゃあああん」
「そういやあそうだったねぇ。ふわああぁぁい」
あくびをしにゃがらの話ではにゃいと知りつつも、やってしまうウチらにゃん。
「起きたのかえ?」
「あっ、温泉のおばあにゃん」「おばあちゃん、どうも」
現われたのは世話好き精霊のおばあにゃん。『熱』に宿る精霊ということらしいのにゃけれども、熱いのも寒いのも絶対零度も含まれるという。ネコ頭ではにゃんとも理解し難い抽象的にゃ存在にゃん。主にゃお務めは温泉の森での番台。でもにゃ。霊空間であれば、ところ構わず現われては世話を焼くのにゃ。いつもネコ人型モードの姿で、赤茶けた毛並み一色の身体に、袖つきの前掛けをした格好。ホーキを持って掃除していることもあれば、雑巾がけをしていることも。ケガを治すこともあれば、ウチらのようにゃ気を失った者の為に、布団を敷いて寝かせてくれることも。まさに神出鬼没、にゃんでも屋みたいにゃ精霊にゃのにゃん。
両手を後ろに組んにゃ姿。しわがれた声。どちらも年相応、といっては叱られるかも。華奢でありにゃがらも、足取りも言葉遣いもまにゃまにゃしっかりとしている。顔にも老けた感じは見受けられにゃい。優しげにゃ表情が甘えたいという気分を高め、ごく自然に、『おばあにゃん』と親しげにゃ呼び方をしてしまう。お歳めいた精霊は数々居れど、ウチがそう呼ぶのはこの精霊にゃけ。にゃんとも魅力あるお方にゃのにゃん。
「起きたのであれば、お布団は、そこな青い箱に放り込みなされ」
『ははぁっ!』
ウチらは揃って土下座。優しさの中に垣間みえる老輩の威厳に圧されたのにゃろう。無意識のうちに身体が自然とそう反応。立ち上がったあとも、いわれるがままにゃ。そそくさとお布団を畳んで、ふたが開いている『回収箱』と書かれた大箱の中へ。終わると、『こちらへ来なさい』と声をかけられたのにゃ。にゃもんで、すっ飛んでおばあにゃんの前に並ぶ。そしたらにゃ。
「おお、よしよし。いい子たちだねぇ」
そういって頭を撫でてくれたあと、前掛けのポケットからにゃにやら取り出したのにゃ。
「あっ、あれは!」
ミクリにゃんが驚いたようにゃ声を上げたのも無理はにゃい。おばあにゃんが手にしたのは、『たいへんよくできました』と書かれた花丸印の真っ赤にゃハンコ。
(まさか……)
友にゃちの顔を、ちらり、と覗く。ウチとおんにゃじ思いとみえて、目がきらきらと輝いているのにゃ。
「はい。これはそなたたちへのご褒美さね」
ぽん。ぽん。
期待が高まる中、ウチとミクリにゃんはめでたく、それぞれの額にハンコを押してもらえたのにゃ。
(頂いてしまったのにゃん!)
おばあにゃんのくれる花丸印は良い子への勲章みたいにゃもの。オマケにおんにゃじことをやったからといって必ずしももらえるわけではにゃい。ゆえに『当たりくじの勲章』とも呼ばれているのにゃ。最初のうちはどうということもにゃかったらしいのにゃけれども、いわゆる『口コミ』という奴のおかげで評判が評判を呼び、今や、イオラの森では知らにゅ者は居にゃいまでににゃっているとか。ウチが知ったのも化けネコににゃって直ぐのことにゃん。
押されていればイオラの森に棲む誰からも羨ましがれる存在とにゃることから、今や欲しがるものがあとを絶たにゃい貴重にゃお宝アイテムとにゃっているのにゃ。
(そういえば、イオラにゃんもいっていたにゃあ)
「ねぇ、ミアンちゃん。ワタシもね。昔、『ニャムネちゃん、頂戴』ってお願いしたのよ。
ところが」
「もらえにゃかったのにゃん?」
「そうなの。丁重に断わられちゃったわ。『めっそうもない。イオラ様に差し上げるものなどでは到底ございませぬ』とかいわれてね。
今、想い出しただけでも泣けてきちゃって……ぐすん。
ねぇ、ミアンちゃん。どう思う? 冷たい後輩だとは思わない? 先輩の気持ちなんか、これっぽっちも理解してくれないのよ。……ぐすん」
(にゃんか話におっかしにゃ点が多いにゃあ)
そう思って問い質してみたのにゃん。するとにゃ。驚愕……というほどでもにゃいのにゃけれども、そうしとかにゃいと、イオラにゃんがうるさくてにゃ……の事実にゃ。
イオラにゃんが生まれたのは、にゃんと、『天空の村』がまにゃ惑星ウォーレスの大地にゃった時代。『悠久』という言葉を頭につけるのが妥当にゃくらい、大昔らしいのにゃ。それに引き換え、おばあにゃんが生まれたのは、村が大地と切り離され、空に浮かんでからにゃそうにゃ。つまりにゃ。おばあにゃんにしてみれば、イオラにゃんは先輩。いや、年の差が何万年単位までに及ぶことを考えれば、大大大先輩にゃ。イオラにゃんがおばあにゃんのことを『ニャムネちゃん』と呼ぶのもうなずける……とはいうもののにゃ。
ウチを抱き締めて涙ぐんでいるイオラにゃんと脳裏に浮かぶおばあにゃん。どこをどう見ても、どう考えても話と現実の姿とではギャップがありすぎるのにゃ。『見かけにゃけで実年齢を推し量るのは極めて危険にゃ』とつくづく感じ入った次第にゃん。
まっ。それはともかくとしてにゃ。
『ばんにゃあぁい! ばんにゃあぁい!』
ネコ人型モードで、もろ手を挙げて喜ぶウチらを見つめる、にこにこ顔の優しい瞳。
「ほれ。あとはこちらで片づけるでのう。そなたらはどこへなりとも行きなされ」
『有難う、おばあにゃん』
ふたり揃ってお礼の返事したあとは……もちっと話をしたかったのにゃけれども……、手を振るおばあにゃんを背に、ここへ来た最大の目的、宝玉探しに戻ったのにゃん。
「ミーにゃん。イオラにゃん。おばあにゃんにハンコをもらったのにゃん」
「ふぅぅん、だ。
だから、どうした? っていいたいわん!」
ぷいっ。
「ふぅぅん、だ。
だから、悔しがれ、とでもいいたいのかしらっ!」
ぷいっ。
「あのにゃあ」
きらりん!
「うわっ! 神々しいわん!
さすがは花丸印だわん!」
「うわっ! 嫉妬深い自分の心が洗い流されていくような光だわ!
さすがは花丸印ね!」
「今のは銀光虫にゃ。ウチの額を横切った一瞬、光ったにゃけにゃん。
まっ。綺麗にゃ輝きという点ではおんにゃじにゃのにゃけれども」
「…………」
「…………」
「ってにゃことで、第五話も終了にゃん!」
『ええっ!』




