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社長の依頼
「おう、ねぇちゃん、久しぶりだなぁ、こんなとこでなにしてる?」
「あっ! 源三おじちゃんだ!」
競馬の世界では有名な予想屋、神の買い目の源三、てんとは以前、競馬場で会っている
「おじさんこそ、どうしてここへ?」
「ここの社長に呼ばれてよう」
「社長に?」
その時、後ろでドアの開く音、社長があわただしくやってくる
「おう、すまんな源さん、待たせちまって、あ、てん、おまえも座ってくれ」
てんを源三の横に座らせ、二人の前に社長がどっかと腰を下ろした
「実はよ、二人に頼みてぇことがあんだよ」
社長がポケットから封筒を取り出しぽんとテーブルに投げる、札束、かなりの厚み
「臨時収入ができちまって、なぁ」
封筒を手に取り中身を二人に見せる
「70万ある、これを競馬で倍にしてもらいてぇ」