↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜悪役令嬢は本当に悪役で、王子は彼女を心から愛してるらしい〜  作者: おやまみかげ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

第五話 掴み取ろうよ幸せをさ!


「リ、リーン。今日は来てくれてありがとう」

「いえ、お招きいただき光栄にございます」

「あれ? タイガは一緒ではないのかい?」

「タイガは外で待たせております」

「そうか……。まぁ、ソファにでもどうぞ」


 こいつ……昨日と全然態度違ぇな。

 まぁそうよね! 好きな子の前ではかっこよく見せたいもんね!

 とはいえ、タイガの存在めっちゃ気にしてるじゃん。草。


「なんだいニア。じろじろと……」

「いやぁ? なんでもないよ?」


 ニヤつくなあーし!! 堪えるんだあーし!!


 推しカプを間近で見たいって言うから、手鏡になった元ニアも連れてきていた。

 もうあーしがニアと別人て伝えてあるから、特に隠すこともせず膝の上に乗せている。

 

 そして今、元ニアは絶対ニヤけてる。

 なんでわかるかって? 手鏡が小刻みに震えてんだよ。

 

「殿下、こちら手作りですがよろしければ」

「ありがとうリーン。いつもすまないね」

「え!? リーンの手作りクッキー!?」

 

 この間食べた手作りクッキー、まじでうまかった!

 

「いえ、今回はマドレーヌを」

「マドレーヌって手作りできんの!?」

「はい、とっても簡単なんですよ! 今度ご一緒にいかがですか?」

「やるやる!! めちゃ楽しみなんだが!!」


 コホン、とシルが咳払いをする。


 あーはいはい、本題に入りたいのね。

 おとなしくしてますよー。

 

「それで、今日来てもらった理由なんだけれど……」

「はい、どういったご用件でしょうか?」

「えっと……その……」

「はい……」


 二人の間に沈黙が流れる。

 シルは口をパクパクとさせて金魚みたいになってるし、リーンはそれを不思議そうに見てる。


 ——もう、耐えられない。


「あんね! シルはリーンがタイガと結婚したいんじゃないかって不安なんだってさ!」

「ニア!!」


 シルの大声が、豪華な応接間に響き渡った。




 *


「うるっさ!! 耳キーンなったわ!!」

「どうしてキミはそう、遠慮もなしにズケズケと……」


 んなこと言われても、だから呼ばれたんだが? あーし。


「んで? リーンはさ、タイガが好きなの?」

「あの、何故タイガが出てくるのでしょうか……」


 そらそうよ! そう思うよね!!

 勝手にシルがそう思い込んでるだけなんだからさ。


「……キミは、タイガとよく街に出ているんだろう?」

「それは……彼は護衛騎士なので」

「そう、だよね……」


 ほら会話終わった!!

 シルの聞き方が悪いんだよ!! コミュ障かお前は!!


「シルはその話を聞いて、リーンはタイガのことが好きなんじゃないかって思ったんだってー」

「そんな……! タイガは貧困街へ付いてきてくれているだけです!」

「貧困街……? なんでそんな危険なところに……」


 うん? 待って?

 シルはもしかして、リーンのやりたいことを知らないの?

 結婚したら云々の前に、今やってることも知らないってこと……?


「聖女の力を、必要とされている方に使いたくて……」

「なるほど。つまりタイガと街にいたのは、貧困街に出るためということか……」


 リーンが、申し訳なさそうに頷く。

 

「はい……誤解を招くような行動をしてしまい、申し訳ございません。わたくしは殿下を心からお慕いしております」

「そ、そうなのかい!? それならいいんだよ!! そうか……そうだったのか!!」


 小さくガッツポーズを決めるシル。

 

 めっっっちゃ嬉しそうだな、こいつ。

 でも、問題は解決してない。

 リーンはシルが好きだけど、結婚はしたくないんだからさ……。


「はい。ですが……わたくしは殿下とは結婚できません」


 シルの表情が、天から地へと落ちた。



 

 *


「な、何故だい……? リーンは僕のこと——」

「はい。心からお慕いしております」

「ではどうして!?」


 さっきまで頑張って隠してたのに、もう感情が溢れてる。

 それもそうか。なら婚約破棄を破棄! って思ってただろうしな。


「……わたくしは、聖女の力を今と同じように使いたいのです。王太子妃として、国の象徴になるのは嫌なのです」

「もしかして、そのために馬車に火を……?」

「……はい。わたくしが殿下の婚約者として相応しくなくなれば、婚約を破棄していただけるかと」

「でも、僕はキミのことが——」

「だから……だからお伝えできなかったのです!! 殿下がわたくしなんかを大切にしてくださっていることを、わたくし自身が一番感じておりましたから!!」


 そう言い放つと、リーンは応接間から飛び出してしまった。


「そんな……リーンがそこまで思い詰めていたなんて……」

「ごめん、あーし無神経だったかも。話し合えばなんとかなるかなって……」

「いや……僕がきちんと彼女を見れていなかったんだ。婚約者なのに、本当にやりたいことをわかってあげられていなかった……」


 シルがソファに項垂れる。


 ……これ、誰も幸せじゃなくない?

 好きなのに。大切なのに。なんで拗れんの?

 結婚て、好き同士が結ばれてみんなハッピーじゃないの?

 今、誰も幸せじゃない……。

 

「……あなた様のせいではありませんよ」

「ごめんニア。あーしには無理かもしれない……」

「とりあえず、リーン様の元へ行きませんか?」

「……そうだね。心配だし」


 元ニアに励まされちった。

 あーしは難しいことはわからん。

 でも、好き合ってるなら幸せになってほしい!


「シル! あーし、リーンのとこ行ってくる!」

「え……?」

「今やっと想い通じ合ったんしょ!? なら、掴み取ろうよ幸せをさ!」

「……そう、だね! 僕も、何故あの場で婚約破棄を告げたのか、本当の理由を伝えられていないし」

「だしょ!? まずは女同士話をさせてよ!」


 シルに向かってニカっとピースする。

 あーしと元ニアは、リーンを探しに応接間を駆け出した。


 


 拗れちゃった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。