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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第23章 ラテニア侵攻 後編

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第817話 3チーム編成※


「出発前にも言ったじゃろう! 水魔術をクラスⅩまで使えるので、役に立てるのだと」


「でもレイミー。君は今呪いを受けて魔術が使えないんじゃなかったの?」


「それならエイジに解呪してもらったので、問題ないわい。という訳でワシも一緒にいくぞい!」


 一度荷台から降りてきていたレイミーだが、また自ら荷台に乗って影治が即席で付与した【強化浮遊】の効果を発動させる。

 影治はすでに運転席に座って発進させようとしていたが、エリーが何か言いたそうに近づいてきたので、一旦手を止めて車の窓を開けた。


「ちょっと待ちなさい。少数精鋭で行くというなら、私とラリィ。それからヴェリアスも一緒に、クゥに乗って付いていくわ」


「クゥ?」


「私がテイムしているレッサーダークドラゴンよ。今は後方で警戒させているけど、私が呼べばすぐにこっちにくるわ」


 初耳の名前が2つ出てきたが、乗るというのが気になってまずはクゥについて尋ねる影治。

 なおもうひとつのラリィというのは、黒髪の少女の名前だ。


 影治としては別に自分達だけでも問題ないと思っていたので、同行者が若干増えようと関係ない。

 付いて来るなら好きにしろと告げると、撤退中のラテニア兵の集団をグルリと回り込んで、戦場に通じる街道を進む。


「さ、私達も行くわよ」


 いかに影治の専用魔導車が高速で移動できるといっても、空を飛ぶドラゴンには敵わない。

 エリー、ラリィ、ヴェリアスを乗せたクゥは、影治達の魔導車と並行しながら空を飛ぶ。

 急な事ではあったが、残りのラテニア兵たちの指揮はローレンスに任せ、ヴロブリックまで退却するよう伝えてある。


「うわ、あの鉄の車、結構速度でてない?」


「そりゃあ車ならあれくらい出るでしょうね。多分だけど、あれでもまだ全速力じゃないと思うわ」


「ええぇ? クゥに乗りながらだとちょっと分かりにくいけど、かなりの速さだと思うんだけどなあ」


 クゥの背中には専用の鞍が付けられており、4人くらいまでならそこに乗ることが出来る。

 そこから地上を行く魔導車を見て感心するヴェリアスに、物知り顔でエリーが答えた。


 エリーのその推測は正しく、今は即席の荷台でレイミーを乗せて運んでいるので、全速で移動してはいない。

 だがそれでも普通に魔獣ではない普通の馬を、襲歩(しゅうほ)で走らせた時と同じくらいの速度は出ている。


 競馬などで見られるこの走り方は、いかに競走馬といえど数分走るだけで精一杯という速さだ。

 この世界の魔獣には更に早く長時間走れる魔獣もいるが、それでも十分驚くべき速さである。


「車の事は確かに私も気になるけど、それよりもほら。見えて来たわよ」


 影治達と移動を開始してから1時間もしない内に、前方に魔獣に乗った帝国の騎兵部隊が見えてきた。

 ここでエリーは一旦高度を上げるように指示を出し、高いところから地上を見渡せるようにする。


「どう? 見た感じ結構な数だけど、別動隊が編成されてる可能性はあるかしら?」


「うーん、戦っている時は地上視点だったから、大まかにしか判別はできないけど、多分これで全部だと思う。別動隊がいたとしても、少数の斥候部隊くらいじゃないかな」


 一度戦火を交えたが、そのまま帝国軍が纏まって侵攻してくるとは限らない。

 街道を通らず、湿原地帯を通ってくる可能性もあったが、どうやらまだ纏まって行動しているようだった。

 この段階で既にばらけて散って行動していた場合、奥地に侵攻した帝国騎兵によって多くの被害が出ていた事だろう。


「まあ部隊を分けるにしても、出来るだけ街道を利用して、もう少し進んだ先で分けた方がいいからね。幾ら私達が駆け付けたとはいっても、まさか逆撃してくるとは思っていないんでしょ」


 帝国の布陣を確認したエリーは、再び高度を下げさせる。

 すると影治側でも帝国兵の姿を捉えたのか、魔導車を停車させて中から影治達が下車した。


「それで、真っ直ぐここまで突き進んできたけど、このあとどうするつもりなのかしら?」


 車から降りたのを見たエリーは、影治の近くにクゥを着地させる。

 そのままクゥの背の上から話しかけようとも思ったが、少し距離があったので一旦クゥから降りて影治に話しかけた。


「んー、ああ、そうだな。お前達はそもそもどうやって戦うつもりだったんだ? そのクゥとやらのブレスか?」


「勿論それもあるけど、私もラリィもヴェリアスも。全員ハイクラスの魔術の使い手よ。空から魔術攻撃をして離脱を繰り返せば、少しずつでも数は削れるわ」


「ハイクラスというのは具体的にどのクラスの事だ?」


「……私もラリィも闇魔術ならクラスⅩまでいけるわ。ヴェルは魔術より物理寄りだけど、それでも血魔術ならクラスⅩまで使えるわよ」


 すでにエリーは、影治が転生者である事を確信している。

 だが幾ら同郷だからといって、実際に会うのが初めての相手に手の内を明かすタイプではない。

 それでも正直に答えたのは、今はそんな事を気にしている余裕がないからだった。


「クラスⅩまでか。その上は使えるのか?」


「その上って……まさか超級魔術のこと? 生憎とそこまでは使えないわ。この子(ラリィ)もね」


「そうか。となると、メインの攻撃は闇爆か闇の大柱になるか」


「そうね。クラスⅩの一筋の昏き闇は威力は高いけど、集団相手には……って、ちょっと待って。闇の大柱って何よ。ただの闇の柱じゃなくて?」


「ん? 知らねえのか? 闇の柱の範囲と威力を更に高めた、クラスⅨ闇魔術だ。同じく光の方でも光の大柱ってのがあるぜ」


 影治としては大分前からピー助が使っていたので、すっかりそれが当然のものと思っていたのだが、この魔術はクラスⅦに下位版の魔術があるにも関わらず、一部の人しか知らないマイナー魔術となっている。


 それは【光の大柱】にせよ【闇の大柱】にせよ、クラスⅨまで熟練度を上げないと使えないという条件による影響だった。

 扱える者が少ないと、どうしてもそれを伝授することが難しくなってしまう。

 口伝で伝えようにも、魔術名の発音は転生者以外の者には難しいので、上手く伝承出来なかったりもする。


「闇の柱の上位魔術……。確かに出来そうな気もするけど、攻撃範囲の方はどうなのかしら?」


 エリーは転生者なので、魔術名と魔術の内容が分かれば、あとは熟練度さえあれば即座に使用出来る。

 とはいえ、流石にクラスⅨの魔術をここで無駄撃ちする訳にもいかない。


「んー、そうだな……。範囲としては闇爆くらいだろうな。闇の大柱の方は、上空にも結構伸びるから、敵が空と地上に溢れてたらこっちのが良いと思うが」


「ならここは素直に闇爆にしておくわ。ヴェルも炎の嵐の方がいいでしょうね」


 クラスⅧの【闇爆】と、クラスⅨの【闇の大柱】では、消費魔力に差が生じる。

 特にエリーとラリィはクラスⅩまでの闇魔術を使えるので、2段階下の【闇爆】ともなれば魔力の軽減される割合も大きい。

 一般にも少数の強敵相手ならともかく、効率的に大軍を相手にするには、クラスⅧの上級範囲攻撃魔術が最も適していると言われている。


「闇爆2人に炎の嵐1人。それにブレスか……。ならそうだな、お前達は敵の左側面から魔術で攻撃を加えてくれ」


「分かったわ」


「んで、レイミーはどのクラスの魔術が使えるんだ?」


「ワシの最大戦力はクラスⅩの水魔術じゃ。エリーの使う闇魔術とは違って、水のクラスⅩ魔術は広範囲に効果があるから、こちらを使おうと思っておる」


 クラスⅧの水の範囲攻撃魔術【大瀑布】は、それなりに広範囲に効果はあるものの、クラスⅩの【津波】には及ばない。

 魔力が潤沢にあるのなら、大軍相手に使うのは【津波】一択だ。


 レイミーはそこまで魔力量が多い訳でもないが、湿原地帯が広がるこの辺りでは、恐らく効果範囲や威力に若干プラス補正が入ると思われる。

 状況や術者の好みにもよるが、この場合はクラスⅩ魔術という選択も十分アリだ。


「水のクラスⅩか……。なら、レイミーはカレンとピー助と一緒に、右側面に回り込んでくれ。大魔術を使うなら戦場を見渡せた方がいいだろうから、飛行の呪符も渡しておく」


「承知したわい」


「影治たちは中央を担当って訳ね」


「まあ……そうだな。最初に俺等が派手に魔術をぶっ放すから、最初はエリーもレイミーも攻撃は控えてくれ。俺等が最初に派手にぶちまけたら合図を出すから、その後に残った奴を殲滅してもらう」


「随分自信があるようね。お手並み拝見させてもらうわ」


 こうして本当に大まかな作戦会議を済ませると、影治達は作戦通り3手に分かれる。

 影治にとって久々の帝国兵との戦いの火蓋が、今、切られようとしていた。


本当に初期の頃に生成したエリー


挿絵(By みてみん)


それから大分後になって再生成した新エリー


挿絵(By みてみん)


黒髪の少女ラリィ


挿絵(By みてみん)

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範囲攻撃が始まる直前の雰囲気はどきどきしますね
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