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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第21章 戦乱の予感

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第769話 スウィフト商会からの情報


「牛魔窟は名前の通り牛系の魔物が多く出現するダンジョンですが、それ以外の魔物もいます。特に脅威度Ⅲ~Ⅳしか出ない低層には、牛系の魔物は全く出現しません」


「そんなら低層はさっさと駆け抜けるか。地図はあるのか?」


 ダンジョンというのは定期的に内部構造が変化する。

 迷宮変化と呼ばれる現象だ。

 しかし各階層の階段付近や、魔物が出現しないセーフティエリアなどは、迷宮変化が起きても位置が変わらなかったりするので、ある程度それを参考にすることは出来る。


 また人里近くの冒険者が出入りしてるダンジョンであれば、迷宮変化後のダンジョンを真っ先に調べ、地図を売っている冒険者もいる。

 流石に強力な魔物がいる奥の方は無理でも、低層であればそういった地図を見て最短距離で移動する事も可能だ。


「ありますよ。牛魔窟は5層ごとにボスが配置されていて、ボスを突破した次の階層には1度登録すれば転移可能な転移碑もありますが、それでも中層まではアーカースのギルドかダンジョン入り口で売っています」


 その後も店員からダンジョンに関する情報を集めた結果、これ以上冒険者ギルドなどで情報を集める必要がないほどに、ダンジョンの情報は集まった。

 流石は選神会の支援組織というだけはある。


 情報によると、目的のホルスタウロスは6~10層の中層に出現するようだ。

 中層は脅威度Ⅴ~Ⅵの魔物が出現するエリアで、他にも雄の方の通常のミノタウロスなども出現する。


 ホルス乳を入手するには中層が一番であるが、問題がない訳でもない。

 当然影治たちであれば、今更脅威度ⅤやⅥの魔物に手こずることはないのだが、それはつまり他の冒険者にとっても美味い狩場であるという事だ。

 流石に脅威度Ⅴ~Ⅵだとある程度冒険者の数も絞られてしまうが、それでも日々中層で狩りをしてる冒険者の数は多いらしい。









「――うむ、分かった。ダンジョンに関する情報はもういい。お陰で有益な情報を得ることが出来た」


「表の方の店でも冒険者向けの品を扱ってますからね。最寄りのダンジョンの情報については、しっかりと集めてあるんですよ。ナンバーズのお役に立てて何よりです」


「これだけでも選神会に所属しといてよかったわ。あー、そんで最初に言ったように元々ここに来たのは選神会について、色々聞こうと思って来たんだよ」


「それでしたら、何なりとご質問下さい。私はここの支店長ですので、ナンバーズのあなたであれば、大抵の事はお伝えできます。尤も私でも知らない事もあるとは思いますが」


 ただの支店ではなく、シャルネイアの中では大国に位置づけられている国の、首都の支店を任されているのだ。

 他の街の支店長と比べても、より詳しい情報を持っているのだという。

 しかもナンバーズである影治には、通常会員には明かせないような情報を伝えることも出来る。


「む、そうか。もしかして、ガルダから余り詳しい話を聞けなかったのも、ガルダがナンバーズではないせいか?」


「それもあるかと思いますが、ガルダさんは勧誘に専念してあの地に留まっておられるので、余り外の情報に執着していないのだと思います」


「そういやそれなりに有名になってるハズの、俺らの事も知らなかったな」


「……最初にお名前を拝見した時にそうではないかと思ったのですが、やはりエイジ様とはあのドラゴンアヴェンジャーのエイジ様なのでしょうか?」


「そうだ、そのエイジだ。流石にお前は知ってるようだな」


「それはもう、勿論です! 先日はドローズグで暴走した魔物の群れも壊滅されたとか……」


「ああ、あれは偶々通りかかってな。まあ今は俺の事より、選神会について教えてくれ。俺とパーティーメンバーの奴が入るまで、選神碑に載ってる連中が12人も所属してるってえ話だが、どんなメンバーがいるんだ?」


「ああ、そうでしたね。ええと、ナンバーズに関しては実は私も詳しい事は知らず、名前と選神碑の順位くらいしか知りません。特にブロマシア大陸の5人は種族や性別などといった情報すらないので、名前から推察するしかない状況です」


「そっか。なら知っているのだけでもいいから教えてくれ」


「分かりました。では……」


 店員――実は支店長だった男が、ナンバーズの名前を挙げていく。

 ひとりだけ選神碑には載っていない名前があったが、どうやら普段は別の名で活動しているようで、本名が選神碑に載っていることは確からしい。

 その者に関しては、会長自らが登録したので間違いはないようだ。


 それ以外のナンバーズについては、この間選神碑を見に行ったばかりなので、しっかり名前を記憶していた。

 その結果判明したのは、自分が一番順位が上だったという事だ。


「ふむ……。つまり俺を除くと、32位の会長が一番上ってことになんのか」


「あ、少し違いますよ。会長の順位は…………えっ、もしかしてっ!?」


 言っていて途中で気づいたのか、支店長がびっくり仰天といった顔をする。


「ガルダも驚いていたが、俺が13位に割り込んだせいだろう。会長は31位から32位に落ちたみてえだな」


「じゅ、13位ですって!?」


 会長の順位を抜いた事による驚きと、その順位が13位というかなり高い順位であることに、律儀に2段階の驚きを見せる支店長。

 一方影治の方は、教えてもらった情報についてリュシェルに尋ねる。


「リュシェルは今名前が挙がった奴らの事を知ってるか?」


「2名ほどは。いずれも逸話などで語られている話なので、実在しているか。実在していたとしても、現在生きているかは不明でしたが、どうやら実在していたようですね」


「ふーん。そいつらは普段何してるんだ? 俺みたいに冒険者やってんのか?」


「それは人それぞれですが、やはり冒険者の方は多いですね。或いは人知れず、山奥で修行に明け暮れる人もいるようです」


「そういやガルダから聞いた話じゃあ、会長も滅多に人前には出てこねえみたいだな。魔物使いだって話は聞いてるが」


「会長に関しましては、この大陸にいるだろうことは分かってますが、具体的にどこで何をしてるのかは私達にも分かりませんからね」


 選神会は、支援組織であるスウィフト商会と合わせればかなり大きな組織だ。

 だというのに会長の存在が謎過ぎて、何の組織なのかいまいちハッキリとしない。

 影治はその事についても尋ねてみることにした。


「そういやよお。ガルダの奴が選神会には当初ある目的があったって話なんだが、それについては何か知っている事はあるか?」


「それについては、会長ですらも正確に知らないという話ですね。幾つか説はあるようですが、確実にこれだという話はないと聞き及んでおります。ですが有力な説ですと、何者かを倒す為……という事になってますね」


「随分曖昧な話だよな」


「そうですね。それとこの話に関しては、伝承の一族が鍵を握っているとも言われているようです。もっとも、その伝承の一族そのものが伝承になってしまっているので、雲を掴むような話ではあるのですが……」


「伝承の一族……ねえ」


 そう言われると、影治は間延びする話し方をするエルフの姿を思い浮かべてしまう。

 ウグルデュルの言っていた厄災の話が、選神会の当初の目的と絡んでくる事を否定できない。


「エイジ様」


「ああ、うん。分かってる。なんだかコツコツとフラグを回収してる気分になってきたわ」


 今の所厄災が蘇った兆候も蘇りそうな兆候も聞かないが、影治が長命種の天使である以上は、いずれ厄災とまみえる時がくるかもしれない。

 今の影治に出来ることは、その時に備えて情報を集めたり、より自らを鍛える事だけだ。


「まあ話は大体分かった。また聞きたい事が出来たら、顔を出す事もあるかもしれん。そん時顔を出すのは他の支店かもしんねえから、俺のことはしっかり伝えといてくれ」


「はい、分かりました」


 そうして一旦支店長との話を終えると、特別ルーム内にある商品を閲覧してまわる。

 今では色々な魔導具を作れるようになったので、以前のように魔導具が並んでるのを見てウキウキとする気分は少なくなっていたが、魔導具以外にも希少な素材なども取り扱っているようで、肥えた影治の目を楽しませるのに十分な品ぞろえであった。










「まさか、神聖石まで取り扱っているとはな」


 最後に特別ルームに展示されている商品を幾つか買い、大いに散財した影治が帰り際に呟く。

 場所が首都の支店だった事もあるだろうが、特別ルームにはかなり希少な品も並んでいた。


 なんでも昔から続く選神会には、ナンバーズや会員が売り払ったり残した者が残っているのだという。

 中には売れずに何百年も経っているような品もあるのだとか。


 そんな店内で影治とカレンが発見した神聖石は2つ。

 そのどちらもが、色が灰色にくすんでいたり欠けていたりしたせいか、元の持ち主である天使の意思や記憶は残っていなかった。

 以前カウワンで入手したものと似たような状態だ。


「これを私が使用してしまっていいのでしょうか?」


 言葉少なに宿まで戻ってきた影治たち。

 その宿の一室で、購入してきた神聖石を手にカレンは困惑の表情を浮かべる。


「構わん。前確保したのは、グレイスを蘇らす触媒にしたかったってのもあったからな。上手くいくかは分からねえが、この神聖石は2つともハーフエンジェルのものだ。なら、カレンでも力を引き出せるかもしれねえ」


「まあ、上手くいくとは限らないのですから、さっさと無駄な試しをしたらどうかしら?」


 そう言って煽るセルマも、実はあの店で暗黒石を見つけて購入している。

 とはいえ、彼女の場合は自分用に購入したものではない。

 主であり神でもあるデグレストの力を僅かでも取り戻す為に、購入したものだ。


「むっ……。分かりました、では試してみますわ!」


 セルマに煽られる形で、意を決したカレンがまずは1つ目の神聖石に触れながら、魔力を通した。


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