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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第20章 ラテニア連合国

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第757話 新たな事実の発覚


「俺らの事を知っているのか?」


「そりゃあ知っておるわ。ワシはこれでも四魔君主のひとりじゃからな。ヴェリアスからも話を聞いておる」


「む、ラミアの四魔君主というと、レイミーとかいう奴か」


「貴様、レイミー様相手にそのような態度は何事だ!」


「何事もなにも、俺は別にこの国の人間じゃあねえし特に畏まる必要はねえ」


「なにぃっ?」


 いきり立っているのは最初に話した兵士ではなく、別の下っ端と思われるコボルトの兵士だ。

 ちなみに最初に話した兵士はオークの男で、一般兵よりは少し上の立場と思われる。


「やめよ! こ奴らはカウワンに現れた邪竜を討伐し、数万ものデュレイスの軍を打ち破った真の強者じゃ。そこに控えているのも、一見人のように見えるが水の上位精霊であろう?」


「いや? ウルザミィの事を言ってるなら、こいつは上位精霊じゃあなくて大精霊だぜ」


「な、な、なんじゃと!?」


 魔力に敏感な者であれば、人型をした精霊を見分けることも出来る。

 精霊は各々の属性を帯びた魔力を持っているので、それを識別できる者ならば見た目に惑わされる事もない。

 精霊としての格も、感じ取った魔力の強さである程度量ることが出来る。

 しかしウルザミィの魔力制御は巧みで、レイミーはウルザミィの真の実力を見抜けなかった。


「だ、大精霊を使役しているというのか?」


「まあそんなとこだ。んなことより、ヴェリアスから聞いてねえか? 今回のガバラ商会やツォルキンの処罰については、元々俺の方から呼びかけたんだってよ」


「それは勿論聞いておる。じゃが、この件はヴェリアスに任せるという話ではなかったか?」


「任せるとは言ったが、俺が手を出さないとは言ってねえ。つうか、ぶっちゃけ目的地に向かう途中にズライロッジがあるから、ついでにお前達に同行して事の顛末を見届けようと思っただけだ。まあ、多少の手出し位はするかもしんねえが」


「うぬぬ……。余りかき回してほしくはないのじゃがな」


 これまで話だけは聞いていた影治と直接対峙し、レイミーが下した判断は「この少年には絶対逆らってはいけない」というものだった。

 それは判断というよりは、最早本能と言っていい。

 その本能を後押しする材料として、大精霊を使役している事や、更にはアンデッドの大軍を支配しているという事実もある。


「これまでは特に手出ししなかっただろ? それに気になることもあってな」


「何が気になるというのじゃ?」


「この大層な兵の規模だよ。2000までは行かずとも、1500人くらいはいやがる。ガバラ商会とツォルキンを潰すだけにしては、数が多すぎんだろ。そもそもガッコルドじゃあ、商会関係者だけじゃなくて衛兵なんかも捕らえてたな? 俺が頼んだことをきっかけに、ついでに他の問題も一緒に片づけてねえか?」


 影治がそう言うと、レイミーは手でこっちに来いというジェスチャーをする。

 その意図を読み取った影治は、近づきながらも収納魔導具(アイテムボックス)から遮音の香炉を取り出して起動させた。


「これで周囲には声が漏れねえぜ」


「魔導具か、流石じゃな」


「で、どうなんだ?」


「……実はな。エイジから情報を受けた後、我々の方でも調査を進めたのじゃが、ツォルキンの奴めが裏でとんでもない事を企んでいたことが発覚したのよ」


「内乱でも企んでたのかあ?」


「或いは将来的にはそれも視野にあるのかもしれぬが、今回明らかになったのは違う。その内容とは、我らの同意なくカベリアに攻め込もうというものじゃ」


 妖魔と言っても様々な種族が存在しており、種族ごとに性質も異なる。

 レイミー達ラミアやリザードマン、それからハーピーやアラクネなどの種族は、余り大きな集団を形成することはない。

 小から中程度の集団が散らばって群れを築いている。

 これは元々ゴブリンのように繁殖力が旺盛ではない事と、生息に適した地域が限られているといった事が背景にあった。


 しかしゴブリンやコボルト、そしてオークなどはヒューマンに近しい性質を持っている。

 すなわち勢力を拡大させようとする性質と、欲望を満たそうとする欲求の強さだ。


「ワシらラミアには、領土を増やそうという野心を抱く者はほぼおらぬ。じゃがツォルキンら一部のバカ共は、自らの勢力を強める為にヒューマン差別を利用しておった」


 具体的には、ヒューマンから富や権力を奪って奴隷にすることで、搾取した側のオークが力を得る。

 1度そのうまみを覚えた一部のオーク達は、段々ヒューマンから搾取するのが普通だと思うようになっていく。


 そうしてまずは自領のヒューマンがターゲットにされたが、元々ラテニアはヒューマンが少ない。

 そこで目を付けたのが、目と鼻の先にあるカベリアだった。


「そこまでアホの集まりなのか? やってる事がハベイシア帝国と変わらねえじゃねえか」


「はぁ……、まったくその通りじゃわい。この事が報告された時、ワシもヴェリアスも呆れ返った。じゃがただ呆れるだけでは済まんでな」


「更に酷い事実でも発覚したのか?」


「……それがたちが悪いことに、これらツォルキンが行っている行動の裏には、扇動者による裏工作の痕跡が見つかったのじゃ」


「裏工作? それは対立する他の氏族長の仕業か?」


「それが詳しい事は分かっておらんでな。すでにその扇動者は姿を消しておるし、名乗っていた名前も当然偽名じゃった。調べてみたら、過去の経歴などを辿る事も出来なかったので、他国の工作員か専用の諜報機関で育てられたかといった所じゃろう」


 レイミーの話によると、元々一部の小さな派閥でしかなかった差別主義者をそそのかしたのが、その謎の扇動者らしい。

 言葉巧みに差別主義者を増やしていき、今では四魔君主であるツォルキンをもその思想に染め上げられてしまった。

 そういった経緯もあり、ツォルキン自身に操られているという自覚はない。


「幸いなのは、まだまだ計画の途中であったことじゃ。ガッコルドの街も年々酷くなっていったようじゃが、それでもまだドローズグを治めるマニク族など、ツォルキンとは正反対の考えを持つ者も多い」


「要するにこの大軍は、これ以上ツォルキン派閥が力をつける前に潰しておこうってことか」


「そういう事じゃ。ワシらだけでなく、北からはヴェリアスが兵を率いて進軍しておる。北と南から挟み撃ちにするつもりじゃ」


 すでに前もってズライロッジには、ヴェリアス達の手の者を送り込んである。

 街道も封鎖するように兵士達が進軍しているので、ズライロッジは一時的に情報が封鎖された状態だ。


 ただこの状態も長続きはしないので、ガッコルドを制圧したレイミー達は休息も入れずズライロッジに向かっている所だった。

 普通に国同士が争うのでもなく、国内の奥深くに入ったところにある街である。

 主に魔物対策として街壁で囲われてはいるが、堅固な城塞都市とは比べるべくもない。

 おまけにもし街門を閉ざそうとも、先に侵入している工作員が扉を開ける手筈になっている。


「ここまで大きな騒ぎになるとはな」


「全くいい迷惑じゃが、かといってそのまま気づかず放置しておったら、将来どうなっていたか分からん。ワシも噂程度には小耳にはさんでおったが、実際に現地に赴くまであそこまでヒューマンへの差別が酷くなっているとは知らなんだ」


「問題を先送りにしても、結局更に状況が悪くなってくだけだぜ」


「あのっ、レイミー様! そろそろ進軍を再開した方が良いのでは?」


「そいつの言う通りだ。聞きたい事は大体聞けたし、俺らも一緒についてくぜ」


「はぁ……、分かった。お前達が加わる事は兵士達に伝えておこう」


 思わず話が長くなってしまったせいで、兵士が待ちきれずに近づいてきて進言してくる。

 そこで影治は盗聴防止の魔導具を停止させ、仲間の下へ帰っていった。


 ここからは兵士達と歩調を合わせる為に、一旦ドラゴンベースは収納して徒歩での旅となる。

 といっても、ズライロッジはもう目と鼻の先だ。

 レイミーの話では、街の反対側の街道の先にはヴェリアス達が同じように街に迫っていることだろう。


 影治も思っていなかった程自体が大きく推移したが、やる事は変わらない。

 レイミー率いる兵士達と共にズライロッジに向かう。

 そして次の日には、奇襲作戦が実行されることとなった。


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