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憧れの世界でもう一度  作者: 五味
38章 二度目の降臨祭

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始まりは、確認から

恐らく、という程で不確かではなく。

誰もが、という程には特定のとなる。

そういった問題として、祭りが始まる時にファンタズマ子爵とその伴侶がどこにいるのか、そういった問題が存在していた。

トモエとオユキは揃って今暮らしている公爵邸、そこで借りているゲストハウスというには豪華すぎる屋敷を考えていた。だが、公爵たちにしてみれば神事でもあるため教会に身を置くのが筋ではないのかという話。王家にしてみれば、開催の宣言を行うときに並んでという話にもなっているため、前日から王城の一角にある離宮の一つ、勿論王太子妃の過ごす場とは違う宮にはなるのだが、そちらで過ごしてはという話。さらには、この降臨祭の最中でアベルとの関係を進めようと考え、最たる邪魔となるオユキをその場から、前後も含めて排除を考えるアイリスとしては、最も離れ、かつオユキが忙しく他ごとを考える余裕のない離宮を勧め。オユキの身の回りを預かるというよりも、未だに公の場でトモエ以外にエスコートをされなければならない、公式の行事では間違いなくそうだと、練習の機会が必要だと考えるエステリーゼからはまた異なる観点で王家から各貴族家に与えられる屋敷をこの機会に選んでそこで過ごしてみてはどうかと。また、水と癒しの神殿、月と安息の教会からもそれぞれにファンタズマ子爵家が降臨祭において参加する式もあるため、その確認の機会があるのならば何時なりとも言われている。

では、結局どうなったのかといえば。


「本当に宜しかったのですか」

「ユーフォリアの言う事も尤もではありますし、方々への説明などもあの者が終えましたから」


今は、レジス侯爵をオユキのエスコート、トモエは明確に練習と分かるようにマリーア公爵夫人を相手として。マリーア公爵家をオユキが殊更立てていること、ファンタズマ子爵家への連絡は全てマリーア公爵家経由と基本的にはなる事もあり、公爵夫人をこの祭りの間で相手としていれば新年祭の事でも実に分かり易くはなる。内々に、もうすでに決まっているのだと。


「この後の予定は、正直な所私はオユキさんほど理解はできていないのですが」

「貴方はそうなるでしょう。オユキの隣に、その機会も正直さほど多くは出来ません。貴方がというよりも、オユキはどうにも貴方の位を明かすことに難色を示しましたから」

「位を明かしてしまえば、私にしても望まぬ煩わしさが増えるとオユキさんは酷く言い募りますから」


トモエにしてみれば、それでオユキの負担が減るのであれば望む所ではある。

だが、実際にどうしたことが予想されるのかと戯れにトモエが尋ねてみれば、それはもうオユキは全力でトモエが嫌がるだろうこと、オユキがそれだけは許す気が無いとばかりに大量に並べ立てたものだ。その背景にあるのが、そんな事をしてしまえば、オユキからトモエを取り上げようと、未だに未成年であるため、新年祭までまだ日はあるからとばかりにトモエの相手をオユキ以外にねじ込もうと考える者たちへの警戒だと、それが分かるだけにトモエにしても何を言えるでもない。


「貴方からオユキには新年祭以降、側室に妾を持つことを勧められることになると伝えておきなさい」

「こちらでは、華と恋がと伺いましたが」

「種を植え、育むこともかの女神の仰せになるところです」


曰く、マリーア公爵にしても散々にそうした話をされてきていたのだと公爵夫人からは実に苦々しげに。


「行儀見習い、その内の少なくない割合は」

「かつての事を考えればとも思いますが、今は」

「解消されたと、それが事実である以上は尚の事です。この辺りは、以前にも話した事ではあるのですが、それこそこれまでは華と恋の試練とされていましたから」

「流石に、その程度の事はオユキさんが人口の上限に気が付いた時に聞こえていて欲しかったものです」


こちらの世界では、貴族家というのが跡取りに関して本当に困難を抱えているのだという理解はトモエにしてもあった。だからこそ、伯爵家、今後公爵家へと移される子供にしてもある程度の教育不足が見逃されているのだと考えた。そして、そのような選択、教育を行った者に対する処罰というのも軽いものになっているのだとトモエは考えた。

そのあたりは、どうやら半分正解でと言う事らしい。


「過去から変わらず、いえ、異邦の話ではありますが」

「そちらでも、かかる期間が短いというのが」

「はい。ですが、こちらでは異種族が、いえ、そういえば皆さんタルヤ様のやり様に驚かれていましたね」

「限りなく祖に近い存在というのがどれほどなのかを、改めて思い知らされたというものです」

「ラフランシア、華国、でしたか」

「そちらとは、いよいよ交渉は一部でしたが、人口の上限が解消されているのはわが国だけと、いえ、貴方の心配はそちらですか。ですが、今暫くはそこまで大きくとはなりません。貴方が思うよりも、この世界での移動というのはどうしたところで難しいものですから」


如何にこの世界に風翼の門等と言う物理的な距離の一切を無視できる、そのような奇跡が齎されたとて覆ることなどそうそうない。知識と魔ですら、魔術、マナの取り扱いという意味では間違いなく秀でている国ですら陸に扱えていない門。それが、華と恋といういよいよもって区分の違う国。オユキからは、訪ねてみるまではと他の国、地域に関する話をトモエは聞いていない。そして、周りの者たちにしても、オユキがそうした考えを持っていると言う事をこうしたトモエからの話の端々から察している。


「こうした馬車にしても、わが国ではもはや翼人種に頼ってある程度の量は確保され始めています。ですが、オユキが良しとした、アルゼオ公爵から伝えられている魔国では、やはり導入は遅れていると報告を受けています」


なんとなれば、マリーア公爵、アルゼオ公爵に対して馬車の供出を強く求めているという話。

今もウニル、河沿いの町では両国の協議が実に白熱しているという話でもある。そして、知識も経験も足りないレジス侯爵に関しては、年齢の事も考え、もとより後に任せる準備を始めていたこともあり完全に分けるとそちらで決められてしまったと言う事らしい。

それくらいの話は、何やらトモエにも回ってくるようになっている。


「それと、トモエ。貴方ももう少し、作法を学ばなければと言う所なのですが」

「どうにか、及第点は頂いておりますが」

「馬車で座る時にも、今は私のほうが高位となるので、本来であれば」


言われて、トモエとしても少し考えてみるのだが、どうにも思い当たるところが無い。これまで、外出をするとなればいよいよオユキと揃って荷物として扱われるか、それぞれの馬上である事ばかり。


「そのあたりは、教師役の落ち度でしょうね」

「私のほうでも、こう、伝え方の問題と言えばいいのでしょうか」


トモエが要領を得ないといった様子を見せたために、公爵夫人は公爵と侯爵のほうに問題があったのだと判断しているのだが、トモエからは己のこれまでを簡単に伝えて問題が無い、もしくは相手がそのあたりを判断するだけの情報があったのだとするしかない。

それこそ、二人で、トモエとオユキだけで馬車に乗ったことなど、実のところ領都での一件以外一度も無いのだという話までを含めて。


「陛下から下賜された馬がいましたね、そういえば」

「はい。近頃は私は基本としてそちらでの移動が。オユキさんは、ご覧の通りですので」

「ここ暫く、オユキも少しは回復したこともあって、王都の観光を楽しんでいたと報告はありましたが」


そして、公爵夫人がため息一つ。

どうにも、公爵夫人の頭の中では、以前に案内を頼んだ時にみたヴィルヘルミナを伴って船を使った水路下り、そういった物があったからだろう。基本として、馬車でと、そう考えての事であったらしい。だが、実際のところはオユキにしてもトモエにしても己の肌で風を感じる馬上の方がと考えて。さらには、センヨウばかりが主人を乗せて運動をしていると考えるオユキによって、カミトキをとなっている。


「その、そちらの事で」

「二人乗り、ですか。ただ、そうなると流石にデビュタント以降、いえ、婚姻を知らしめてからのほうが無難かしら」


トモエとしても、オユキを己の前にのせて、そうした乗馬には勿論憧れもある。

幸い賢く、かつての世界から考えればあまりにも丈夫な乗馬もいる事だからと、そうした機会を考えてはいる。だが、生憎と現状のファンタズマ子爵家にいる人員の中で、トモエに乗馬をというよりも二人乗りの方法を教えることが出来る人物が存在していない。

かろうじて、オユキが慣れを感じている侍女たちであればオユキも納得はするだろう。過剰な嫉妬などは無いだろう。だが、それ以外となると、覿面に不機嫌に、オユキ自身は表に出さないだろうが、間違いなく機嫌が悪くなりせっかく現状快復してきている体調が逆戻りと言う事にもなりかねない。


「それで、オユキさんを私の前にとしたときに」

「オユキは横向きに、いえ、それもありますか。少し、鞍に工夫がいるかもしれませんね。そのあたりは、それこそ貸し与えている騎士たちに」

「彼らのほうでは、どうにもオユキさんを立てたいようですから」


トモエからの回答に対して、公爵夫人は苦い顔とともにため息一つ。

家格を持っているのは、トモエではない。公式には、未だに婚約扱いだというのにオユキは基本的にトモエを立てる。ならばこそ、仕える者たちとしてはオユキを、ファンタズマ子爵を立てなければならぬというのも事実。だからこそ、その判断が分かるからこそ公爵夫人から何が言えることも無い。

時折乗馬を習うときは確かにある、だが、それにしてもあくまでオユキが共にある時に限られている。

公の場に出る時にトモエが確かに騎乗することもあるのだが、その時には従士役を得た者がセンヨウの轡をとるためそこまでトモエに乗馬の技量が求められる事は無い。要は、指定された場所、それも鞍という分かりやすい物があるため、姿勢を正してそこに座っているだけですべてが済む。


「それにしても、貴方と離れる事をよくもオユキが良しとしましたね」

「あの子たちの言葉もあったのでしょうが、オユキさんとしても予行練習と考えてのことですから」


そして、本来であればトモエがエスコートをしなければならない公爵夫人に、トモエに教えるからという理由をもってトモエがエスコートをされながら。実際には、細かい所作の採点を行われながらでは次はとされる側が動作で示すという本当に難儀な事を平然と公爵夫人が行いながら。


「確かに、当日の流れを考えれば、オユキは神殿で待つ側ですか」

「かつての事ではありますが、揃って式場まで向かったのですが」

「こちらでは、いえ、位を持たない者たちの事までは流石に私は把握していませんが」

「異邦で、そういえば、貴族の方というのはどうされていたのでしょう」


トモエは、こちらで改めて言われた事。

オユキのほうで政治に配慮する用意があると示しながらも、今も着々とオユキ用の婚礼衣装として白無垢を、和装が用意されている現状。では、式次第のほうでという話がなされ、その中で。

今、オユキはレジス侯爵のエスコートを前日に受けた上で、先に水と癒しの神殿でトモエを待っている。

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ツギクルバナー アルファポリス
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