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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第6章:リスリーの気持ち

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第97話 カレー味じゃなくて良かった

 うえええええ!

 リスリーは声を上げて泣きじゃくっていた。


 こんなリスリーは見たことが無かった。

 どんな苦しいときでもリスリーは一歩前に出て。

 よほどのことが無い限り、弱音を吐かない……


 そんな女性だったはずだ。

 それなのに。


 ……正直、俺は泣いて誤魔化すのは卑怯だと思っていて。

 反感みたいなものを持っていた。


 だけど


 リスリーのこの行為には、俺は不愉快さを感じなかった。

 何でそう思ったのかはちょっと上手く言えない。


 ただ


(すごく辛かったんだろうな)


 それだけは分かった。

 だから


 俺は彼女をそっと抱き寄せて


 耳元で


「分かったから。もういいから」


 そう言った。


 彼女が乗り込んで来たのは、放っておいたら俺がキャサリーンさんと恋仲になるかもしれない。

 そうなったら自分が自動的に失恋することになる。


 その状況に追い込まれて、自爆覚悟で踏み込んだ結果だったのか。


 でも、だけど……


(そんな決断する前に、俺に気持ちを伝えるチャンスなんていくらでもあっただろ)


 そう思った。

 彼女の話をそのまま受け止めると、彼女が俺を好きになってくれたのは、あの地下闘技場の賭け試合のときだろ?

 そこから数えると、2ヶ月くらい時間経ってるんだぞ?


 やってること、まるっきり


 夏休みの8月31日に、全く手つかずの宿題を泣きながらやってる小学生じゃん。


 リスリーはそんな馬鹿な人間じゃないはずだし。

 怖がりでも無いハズ。

 らしくない……


 そう思ったから


「……何で今まで黙っていたんだよ?」


 思わずそう言ってしまった。

 俺の方に告白して貰おうと思ったんだろうか?


 ……2ヶ月以上一緒に居てたらさ、それは難しいだろうって分かるだろ……?

 だって俺、この世界に無理矢理呼ばれて、強制的に修行を積む環境にあったんだ。


 その状況で、自発的に女の子のことを考えることなんて、普通にあり得ないだろ。


 なので


 俺の方にキミの気持ちを察して欲しいなんてムリゲーだ。


 そう言おうとした。

 だけど。


 ……俺の言葉で必死で泣き止もうとしていたリスリーが、俺にまた怒りの目を向けて来て。

 その目で言葉が止まった俺に


 続けて


 こう言ってきた。


「……言えるわけ無いでしょう? 私はマサヤ様たちを誘拐して来て、挙句その大切なご友人を殺害した邪悪な国の国民ですよ?」


 その言葉で。

 俺は彼女の苦悩を理解した。


 ……確かに言えないかもしれない。


 フラれるとかそういう問題じゃない。


 客観的に見て、クズ過ぎる。




 普通に暮らしていた人間たちを突如拉致し。

 その後、抗議して来たその人間を1人見せしめ目的で処刑し。

 それで震えあがらせて残りに言うことを聞かせ。


 その後


 あの子良いじゃん。

 とてもかわいい。


 ……と、拉致して来た女子の1人を見初めて。


 なあ、俺の女になれよ。結婚しようぜ。

 そう囁く。




 ……こういうことだろ。

 立場を入れ替えるとしたら。


 客観的に見て、クズとしか言えない。


 この囁く奴が処刑を行った奴と別だったとしても、だ。


 やったのは俺じゃない! 関係無い!


 ……これ、通じるか?


 通じるわけ、ないよな……?


 少なくとも俺はそう思う。


 だから俺が彼女の立場でも、同じように思ったと思う。

 自分から「好きです」なんて口が裂けても言えない、と。



 だけど



「……リスリーがソウジを殺したわけじゃないだろ」



 俺はそう言っていた。

 当然だけど俺は


 リスリーをノーザリアの騎士だからという理由で、嫌悪するようなことは無い。

 むしろ俺は彼女のことが


 好きなんだよ。


 ずっと俺に尽くしてくれて。

 真面目で。

 支えようとしてくれる。


 レフィカルの残虐な行為を、国の恥だと思い。

 具体的な勝算も無いのに手を貸してくれた。

 貴族としての高潔さを併せ持ってる、尊敬できる女性。


 ……俺だって、好きだったさ。

 ただ「彼女は従者として仕えてくれてるだけだ。責任感で一緒に居るだけだ」と思って、気持ちを制御してただけだ。

 勘違い野郎になりたくなかったから。



「でも、レフィカルの勝手な行為を問題視しながら、止めることができなかった罪が!」



 リスリーは俺の言葉になおも食い下がる。

 彼女はそれがどうしても許せないのか。


 彼女のせいじゃないのに。


 俺は彼女のその振る舞いに彼女の気高さを感じて。

 同時に


 こっちも自棄になっていた。

 苛立ちもあった。


 俺が良い言ってんだよ!

 俺の意思は無視か!?


 そういう想いがあったから


 俺は次の瞬間


 彼女を抱き寄せて。


 了解も取らずに、強引にキスをした。

 その瞬間、彼女の身体が震えた。



 ……我ながらメチャクチャな行動だ。


 だけどさ。


 ……そのとき。

 ちょっとだけ、思った。



 ……さっき、カレーを食べる前に店を出ることになって良かったよ。

 もし食べ終わってから出ていたら……



 ファーストキッスがカレー味になるところだったよ……!

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